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【中学受験】第一志望の合格率は全体の30% 「行きたかった」と一生恨まれない親の接し方

  • 2026.10.29
cocreco写真:graphica/イメージマート

中学受験伴走中に「子どもに強く当たってしまった……」と自己嫌悪に陥る。そんな経験はありませんか?

第一志望に合格できる割合が約3割とされる過酷な中学受験。合否以上に大切なのは、受験が終わったあとも続いていく親子関係です。

この記事では、子どもの中学受験の親のサポート方法を徹底的にまとめた新刊『中学受験伴走力 親が知るべきこと、すべきこと』(2026年9月3日発売)の活用法を、出版ジャーナリスト・飯田一史さんが解説します。

中学受験で親の言動がトラウマに?

cocreco写真:beauty_box/イメージマート

私の知り合いに、50歳を超えていても「親のせいで行きたかった学校に行けなかった」と、悔やみ、周囲にこぼす方がいます。10代のころの受験に関する恨みや後悔をずっと引きずったまま歩む姿を見ると、深く考えさせられます。

自分の子どもを育てるにあたって、受験に関する負の記憶を一生抱えて生きてほしいと思う親はいないでしょう。

受験をめぐる後悔や親への恨みと言っても、「第一志望の学校に行けないこと」自体と「進路や受験期の過ごし方をめぐって、親子の関係がこじれること」とは別々の問題です。

両者が重なるとダメージが深くなる以上に、後者が前者のダメージを深くします。

勉強も受験も子どもがすることなので、親はサポートできてもコントロールはできない部分が大きい。しかし、親子関係のこじれについては、親のふるまいや言動によって気をつけられることが多くあります。

そして合否以上に、家族の関係のほうが、その後の親子それぞれの人生に響いてくるのです。

受験の失敗より怖い「親子関係の破綻」を防ぐ伴走の心構え

自分の経験を思い返してみても、受験のために暗記したことは忘れても、子どもは親に言われたイヤなことは、ずっと覚えているものです。

逆に親子の絆が強固であれば、子どもも「親のせいで失敗した」などと感じることもなく、第一志望に行けなかったことも、意外と時間が経てば引きずらなくなるでしょう。

ということは、子の受験に伴走する親にとっては、「上位校、志望校に行けるようにサポートをする」と同時に、「たとえ行けなくても後悔しないように備えておく」かつ、「親子関係を険悪にしない」のが大事になってきます。

仮に第一志望の学校に受かっても、親子の関係性が壊れてしまったら、お互いにとって幸福にはなりません。

私は個人的にはそう思っています。

第一志望に合格する割合が30%の世界で親が知っておくべきこと

教育ジャーナリストで、自身も中学受験経験者で、親としても息子の中受に2度寄り添ってきた佐野倫子氏の『中学受験伴走力 親がすべきこと、知るべきこと』(講談社刊)は、自分の体験も踏まえ、多数の親の取材も。

この本にはリアリティが詰まっている。

本書にもあるように、首都圏では約6人に1人の小学生が中学受験をするが、第一志望校に合格できるのは受験生全体の3割程度。厳しい世界だ。

令和の受験は情報戦で、ただ「勉強ができる」だけでは受からない。専門の塾に行き、勉強のためのみならず、中学受験のプロから受験に対する適格な情報を得る必要があります。

けれども、親が不安に駆られて塾の言うこと以外にもあれこれ調べまくった結果、情報過多で判断がつかなくなり、右往左往している場合もよくあるといいます。

しかし『中学受験伴走力』では、科目別や塾ごとに中受のプロである塾や家庭教師に取材し、情報の交通整理をしてくれているので、何に取りかかればいいのか大変わかりやすくなっています。

また、この本には具体的な勉強への取り組みや、塾との付き合い方も書かれているが、それ以上に複数のプロの口から、「切羽詰まりすぎている親が多い」ことが何度も言及され、親は「信じて待つ」「口を出しすぎない」こと、「焦らずに落ち着く」ことと説かれている。

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さらに中学受験にかかる総額も。中受を決意して塾に通わせると、小学校4~6年の3年間、毎年100万円単位でお金が飛んでいくというが、それでも子どものやる気や成績に火が付くとは限りません。

親としては、月数千円の習いごとや通信教育でもちゃんとやらないと「こっちはお金を払っているのに」と思うが、金額が上がるほどその気持ちも強くなるというもの。

やきもきする親は、つい余計なひとことを子どもに言ってしまったり、焦りが子どもに伝わって余計なプレッシャーをかけたりしてしまう。

しかし、子どもに強く当たったところで勉強したり、成績が上がったりするものでもない。たいていは逆効果になり、干渉しすぎると親子関係がギクシャクしていくものだ。

この本は、受験のプロがそういうことにクギを刺してくれているのです。

また著者は、親に対して受験ではとにかく早め早めの段取り、備えが大切だと伝えると同時に、いざというときにパニックにならないこともいかに必要なのかを、慌てがちな親に、改めて気づかせてくれます。

とにかく受験期には親も視野が狭くなり、ピリピリしがちだが、そうやって子どもと摩擦や衝突をしても、振り回されても、遠回りに。

だから、いったん距離を取ってはどうかと、俯瞰させてくれる一冊なのである。

受験のあとも人生はつづく

さらに読者に「読んでよかった」と思わせてくれるのは、例えば「受験当日にうっかり上履きを忘れて子どもからひんしゅくを買った」「受験当日に雨や雪に濡れて着替えが必要だった」「面接用に買った服が受験太りで当日着せたらパッツンパッツンになっていた」などの、「そんなところにも落とし穴があるのか!」という保護者からのエピソードだろう。

また、「全落ちした家庭の親の率直な気持ち」や、「夫婦間の考えの違いから受験日程の組み方を妥協したが第一志望が最初の受験校になって失敗した」といった、「うまくいかなかった」家庭の話も胸に刺さります。

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受験生の7割が第一志望に受からない中受の世界では、親子ともどもに覚悟しておくべきことばかり。

親も子も、必死にならないと見えない世界、手に入らない成果は確実にある。受験は真剣に取り組めば、成長の機会になる。それは間違いない。

と同時に

「ダメならダメで、違う道がある」。

がんばってみても「合わない」こともある。

これは本に書いてあることではなく私の意見ですが、中受のような勉強の進め方、週に何日も塾に通う生活、ペーパーテストでの競争を3年もやりきれたら、たとえどこにも受からなかったとしても、ある種の才能、適性があるといえます。

また逆に、「そのような勉強の仕方は、自分の子には到底無理だ」とわかったなら、それに気づいたことがその後の人生の選択につながっていく。

cocreco写真:アフロ

大人がする仕事と同じで、子どもの勉強だってすぐに成果は出ません。本気で一定期間取り組んでみないと、適性があるのかないのかも見えてこないものです。

親も真剣に伴走することで、子どもは受験までの長い道のりを走り切れる。加えて、もし中受で結果が出なくても、親子でやったことはムダにはならない。

ただ、そうはいっても、闇雲に走るのは、親にとっても子にとっても怖すぎるもの。「中受を考えている」、あるいは「すでにその渦中にいる」親子が、受験のあとの関係も見すえた「備え」として、手元に置いておきたいのがこの一冊なのです。

文/飯田一史

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