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「日本の俳優」が韓国で受け入れられる背景。TWICEミサモ、NCTユウタ…韓国で奮闘する日本人の影響が!?

  • 2026.10.27
【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】今回のテーマは「日本の俳優の韓国進出」と、韓国で高まる「日本カルチャー人気」について。M世代の韓国エンタメウオッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者がゆるっと語ります。※写真:Mydaily/アフロ
【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】今回のテーマは「日本の俳優の韓国進出」と、韓国で高まる「日本カルチャー人気」について。M世代の韓国エンタメウオッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者がゆるっと語ります。※写真:Mydaily/アフロ

M世代の韓国エンタメウオッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!

K-POPゆりことZ世代編集者がゆるっとトーク
K-POPゆりことZ世代編集者がゆるっとトーク


#64のテーマは、「日本の俳優の韓国進出」と、韓国で高まる「日本カルチャー人気」について。韓国が日本の俳優にとって“憧れの舞台”になる一方で、韓国でも日本の音楽や映像作品が愛され始めています。その距離を縮めてきたのは、韓国で奮闘する日本人たちでした。日韓エンタメが「両思い」になった今と、そこに至る流れを読みときます。

日本の俳優が、なぜ次々と韓国作品に出演するのか

K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):今回は、日本の俳優が韓国に進出するメリットと、韓国で高まっている「日本カルチャー人気」についてお話ししたいと思います。

編集担当・矢野(以下、矢野):シンプルに、韓国作品に出たら世界進出への扉が開かれるからかな、と予想するのですが。合っていますか?

ゆりこ:もう冒頭から答えが出てしまっていますが、確実にそれはあると思います。イギリスのAmpere Analysis(アンペア・アナリシス)という大手リサーチ会社の調べによると、世界のNetflixで2番目に見られているのが韓国のコンテンツです(1位はアメリカ)。2023年以降「非英語コンテンツ視聴数1位」を韓国がキープしています。「アニメ」というジャンルだけに絞れば、日本の方が見られていますが、実写作品となると日本は韓国に及ばないのが現状です。

矢野:リアルの交通網でも成田や羽田ではなく、仁川国際空港が東アジア最大のハブ空港になって久しいですが、エンタメの世界もソウルが世界への玄関口になっているんですね。今、ふと浮かんだ疑問なのですが……直接アメリカ・ハリウッドに行ってしまった方が早いのでは? とも思ってしまうんですよね。

ゆりこ:これは私見ですが、日本の役者やその所属事務所から見て、ハリウッド進出は韓国進出に比べると「コスパ」「タイパ」が悪いんだと思います。まずは単純に距離と時間。韓国なら簡単に行き来できます。K-POPアーティストが同じ週に日本のライブと韓国での収録を同時並行できるように、「自国の仕事に大きな穴を空けない」で活動することも可能です。

矢野:確かにNetflixドラマや、大作映画となるとある程度まとまった期間の滞在を余儀なくされると思いますが、それでも「時差なく3時間以内に帰国できる」のは大きなメリットですね。
 
ゆりこ:それにアメリカの作品の中で、アジア人の役がどれだけあるかと考えると、狭き門です。言葉の壁もあります。韓国が舞台の作品に、日本語を話す日本人、または韓国語がつたない日本人の役が出てきても不思議ではありません。「日常にありうる風景」だからです。でも英語圏だと話が違ってきますよね。

矢野:『SHOGUN 将軍』で脚光を浴びた真田広之さんだって、アメリカに移住して長年頑張ってこその結果ですもんね。アジア系でいうと、オスカー俳優のミシェル・ヨーさんも同じくです。またスティーブン・ユアンさんのようにアメリカ育ちの英語ネイティブなアジア系俳優も大勢いらっしゃると考えると……ハードルは高そうです。
 
ゆりこ:真田さんのように、日本の仕事や生活をほぼ投げうって挑戦できるか、という話ですよね。『SHOGUN 将軍』シーズン2に出演するSnow Manの目黒蓮さんは、相当な覚悟で行ってきたのだと思いますし、彼は日本に帰って来られる場所(グループ)と、揺るがない強固な人気があります。そんな条件がそろっている役者さんは多くないと思うんです。

矢野:事務所の規模や、俳優の立ち位置によっては「背水の陣」で挑む必要があるということですね。そこまでリスクをとってアメリカへ行くのか、というのは悩ましいかもしれません。

ゆりこ:そして、アメリカよりも韓国の方が日本のエンタメが浸透していて、人気もあるので「日本から来たスター」として尊重してもらえる部分も大きいんじゃないかなと。重要な役柄ももらえるでしょう。でもそれは事務所や周囲の人の視点であって、一番のポイントは「韓国作品に出たい」と望む、韓国エンタメファンの俳優が増えた、ってことだと思っているんです。

韓国ドラマ、韓国映画がいつしか「憧れの舞台」に

矢野:それこそ、Netflixなどのサブスクリプションサービスの発達で、年代、地域を選ばずにいろいろな作品にアクセスできるようになりました。日本の人が韓国作品に触れる機会が本当に増えましたよね。世界進出へのステップというよりも、純粋にクリエイターや作品へのリスペクトから「あの現場に飛び込んでみたい」と熱望するケースも増えているんでしょうね。

ゆりこ:私の肌感覚で恐縮ですが、コロナ禍前は韓国ドラマも韓国映画も、まだ「オタク趣味」の域だったと思います。さらにさかのぼって『冬ソナ(冬のソナタ)』『チャングム(宮廷女官チャングムの誓い)』の時代は「中高年女性だけの趣味」というレッテルが貼られていましたし、映画『シュリ』『JSA』の頃なんてもっとニッチな世界でした。有名な男性芸能人で、韓国エンタメ好きを公言していたのは草なぎ剛(※「なぎ」は、弓へんに前の旧字体、その下に刀)さんぐらいだったと記憶しています。

矢野:確かに『梨泰院クラス』『イカゲーム』あたりから、性別や世代を問わず、韓国ドラマが日常会話の話題に上がるようになった印象があります。

ゆりこ:私もこの20年間、K-POPライブやドラマイベント、試写会などに足を運んできました。その中で、K-POPを通じて若年層に、コロナ禍以降は韓国ドラマを通じて男性に、韓国エンタメの人気が広がっていったのを実感しています。以前から好きでも、ファンだと言わなかった……言えなかった人もいたと思うのです。でも最近は韓国の誰かのファンだと公言する芸能人も爆発的に増えました。韓国のアーティストや俳優だけではなく、映画監督のファンも多い印象です。

矢野:三吉彩花さんはBIGBANGのファンなのだそうですが、調べてみたところ笠松将さんはハ・ジョンウさんとカン・ドンウォンさんのファンなのですね。目標や憧れがあるからこそ、本気で頑張れるのかもしれません。

ゆりこ:きっとほかにも、そんな役者さんが大勢いらっしゃると思います。そして日本からの熱視線に加えて、韓国国内での日本カルチャー人気も上がっています。相思相愛な時代がやってきたなと思います。

韓国で再び愛され始めた日本のエンタメ

矢野:Netflix『ガス人間』のクリエイターさんの対談記事(※)を読んだところ、「蒼井優さんは韓国でも非常に人気があり、製作・脚本で携わっていたヨン・サンホ監督の強い希望でキャスティングされた」という内容が書かれていたんです。ギャランティーの問題と関係なく、純粋に韓国側から「出てほしい」というラブコールもあるんだなと思いました。

※Esquire「後編:Netflix × 東宝『ガス人間』はなぜ生まれたのか? クリエイター鼎談【Esquire独占】」

ゆりこ:韓国では1990年代から岩井俊二監督の人気が絶大です。蒼井優さんは『花とアリス』の主演ですし、認知度は高いでしょうね。加えて、近年は配信サービスを通して日本の映画やドラマを見る機会が増えたので、以前よりもずっと日本の作品が見られていると思います。今は経営難に陥っていますが、韓国独自の配信サービス「WATCHA」が、『孤独のグルメ』などの日本のドラマを積極的に配信していました。

矢野:『鬼滅の刃』シリーズ、『THE FIRST SLAM DUNK』など、日本のアニメ映画が韓国でヒットしているというニュースはたびたび見かけるのですが、実写映画も見られているのでしょうか?

ゆりこ:実写映画だと『今夜、世界からこの恋が消えても』は、韓国の若年層を中心にヒットしています。主演の道枝駿佑(なにわ男子)さんの人気もすごかったです。そして坂元裕二さん脚本の『花束みたいな恋をした』も、日本作品ならではの雰囲気を感じられると好評でした。日本の人が韓国作品を見て衝撃を受けるのと同様、向こうからも「自国作品にはない魅力」を感じるそうです。いわゆる「エモさ」や、細かい心の機微。そして大きな事件が起こらず、淡々とした日常の中で主人公たちが変化していく物語にも、日本らしさと新鮮さを感じるみたいです。

矢野:確かに、韓国作品はよく事件が勃発しますし、下克上もの、御曹司と平凡な会社員の恋愛ドラマなど、ドラマチックな展開が多いイメージがあります。そして、最近は韓国でJ-POPもよく聞かれているというニュースを見ました。imaseさんの 『NIGHT DANCER』やCUTIE STREETの『かわいいだけじゃだめですか?』は知らない人の方が少ないとか。

ゆりこ:K-POPアーティストにインタビューするとtuki.さんの『晩餐歌』の話もよく挙がります。米津玄師さんやYOASOBI、Vaundyさんに加えて、シティポップや昔の懐かしい曲を再評価する動きもあります。今年の「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル」で、Original Loveのライブを見たのですが、20代を中心とした韓国のオーディエンスが盛り上がりまくっていました。

矢野:以前、ゆりこさんが「90年代後半まで、韓国では日本の音楽やエンタメが厳しく制限されていた」と話していましたよね? それを考えると、たった25年ほどで状況が大きく進展したんだなと驚きます。きっと、韓国で頑張るK-POPの日本人メンバーの存在も大きく影響しているのではないでしょうか?

日本の好感度を上げている、韓国で頑張る日本出身アーティストたち

ユウタさん ※写真:Mydaily/アフロ
ユウタさん ※写真:Mydaily/アフロ


ゆりこ:まさに! そこは必ず言っておきたいなと思っていました。TWICEのミナさん、サナさん、モモさん、NCTのユウタさん、LE SSERAFIMの宮脇咲良さん、カズハさん、IVEのレイさん。韓国籍に帰化されましたが、カンナムさんも韓国の芸能界や、大衆の中の日本のイメージを親しみやすいものに変えてきた存在だと思います。

矢野:最近ではRESCENEのミナミさんのブレークが話題ですよね。いろいろな韓国の有名人がミナミさんをまねて「ヤッホー」って言っているのがすごい! そしてBilllieのツキさんもよくショート動画で見ますし、お二人が今の韓国で愛されている、ホットな存在だというのが伝わります。

ゆりこ:K-POPアーティストだけではなく、笛木優子さんや、大谷亮平さん、藤井美菜さんも演技の世界で活動されていました。まだまだ名前を挙げきれないぐらい、日本人の韓国進出のための土壌を耕した存在がいると思っています。

矢野:BoAさんや東方神起が頑張って日本市場を開拓したからこそ、今K-POPグループが日本の音楽番組に続々出演できているように、反対側でも「日本の顔」として好感度を上げていた人がいたってことですよね。

ゆりこ:そうだと思います。いまだかつてない、日韓のエンタメやカルチャーが「両思いな時代」の到来です。かつてイギリスと北米などの英語圏が一緒になって大作映画や名盤をバンバン作ってきたように、日韓のアーティスト、役者、そしてスタッフが「アジア発」の面白い作品を作っていくことを期待しています。もちろん、課題もあると思いますが、楽しみな気持ちの方が大きいですね。
 
【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ:音楽・エンタメライター。雑誌編集者を経た後、渡韓し1年半のソウル生活を送る。帰国後は、K-POPや韓国カルチャーについて書いたりしゃべったりする「韓国エンタメウオッチャー」として、雑誌やWebメディアなどでの執筆活動や、韓国エンタメ情報ラジオ番組『ぴあ presents K-Monday Spotlight』(TOKYO FM)でパーソナリティーを務めるなど幅広く活躍中。

編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやビジネス記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)&MOA(TOMORROW X TOGETHERファン)。

文:K-POP ゆりこ

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