1. トップ
  2. エンタメ
  3. キタニタツヤ、新アルバム『DEKAI』『PURE』に映る二面性 「存在をデカくしたい。でも、偏るのは怖い」

キタニタツヤ、新アルバム『DEKAI』『PURE』に映る二面性 「存在をデカくしたい。でも、偏るのは怖い」

  • 2026.10.26
キタニタツヤ、新アルバム『DEKAI』『PURE』に映る二面性 「存在をデカくしたい。でも、偏るのは怖い」 width=
キタニタツヤ、新アルバム『DEKAI』『PURE』に映る二面性 「存在をデカくしたい。でも、偏るのは怖い」

11月4日にニューアルバム『DEKAI』『PURE』を2枚同時リリースするキタニタツヤ。両作は、2024年1月発売の『ROUNDABOUT』以来となる2年10ヵ月ぶりのオリジナル・アルバムで、『DEKAI』は“大言壮語”、『PURE』は“幼児性”をテーマに、各11曲を収録する。今回クランクイン!はキタニにインタビューを実施。2枚同時リリースが決まった経緯や、新曲含む収録曲について、両作を携えて12月から始まる自身最大規模となるアリーナツアー「TATSUYA KITANI ONEMAN ARENA TOUR “DEKAI / PURE”」への思いを語ってもらった。

【写真】「TATSUYA KITANI ONEMAN ARENA TOUR “DEKAI / PURE”」ツアービジュアル

――2枚同時リリースとなるニューアルバム『DEKAI』『PURE』、とても楽しく聴かせていただきました。キタニさんとしてもかなり大きな手応えを感じているのでは?

キタニ:そうですね。いい曲がたくさんできたので、「やったぜ!」って感じというか(笑)。アルバムに向けて作った新曲はもちろん、すでに世に出ている楽曲たちに関しても、同様の思いがありますね。曲順を決めるために既発曲をあらためて聴いたとき、「いい曲がいっぱいあって、いいな」と自分でも思えました。

――アルバムとしては前作『ROUNDABOUT』から約2年10ヵ月ぶりとなりますが、昨年12月の段階で新作が2枚同時リリースであることと、それぞれのタイトルがすでに発表されていましたよね。それを考えると、今作の制作はかなり早い段階からスタートしていたのかなと想像したのですが。

キタニ:スタッフとの間で具体的にアルバムの話が出始めたのは去年の夏ごろだったと思うので、そこまでめっちゃ早くスタートした感じではないですけどね。ただ、自分の中で「次のアルバムはどうしようかな」っていう思いは、『ROUNDABOUT』を出してすぐからあって。前作を作り終えた後は、基本的に目の前にあった仕事…いろいろなタイアップもののシングル曲に向き合っていたんですけど、そこでシングルのことだけを考えて作っていると、後々アルバムをまとめる段階できっと大変になるなと思っていたんですよ。

――ある種、取っ散らかった内容になりかねないというか。

キタニ:そうそう。だから、まずは自分のスローガンを決めておこうっていう気持ちがあったんですよね。そこで出てきたのがまず“DEKAI”というコンセプトで。要は「青のすみか」をきっかけに自分の曲を聴いてくれる人が増えた状況を踏まえ、今までやれなかったことをしたいと思ったんです。これまでの自分は、あくまでも自分の手の届く範囲のことだけを歌っていた感覚があって。でも、例えば有名なロックスターとかってキレイごとをめちゃくちゃ歌ったりもするし、ある種、現実的ではないファンタジックな生き方をしていたりするじゃないですか。だから自分も身の丈に合わないことを歌う曲を作ってもいいんじゃないかなと。

――アルバム『DEKAI』に通底する“大言壮語”というキーワードが出てきたわけですね。

キタニ:ライブで歌い重ねていくと、その曲が持っているモードに心が自然と近づいていく感覚をよく感じているので、そういう“大言壮語”な曲を作り、歌っていくうちに、自分も多くの人の前で理想を語るに足る人間になっていけるのではないか、いきたいぞっていう気持ちですよね(笑)。『ROUNDABOUT』以降は、そういう思いを持って曲作りをしていたので、「次回予告」には「デカいことを言おう」っていう気持ちが全面に出ているし、「ファタール」なんかは企画自体がデカいことをやってみようっていう思いの表れだったりして。それが結果としてひとつのアルバムのコンセプトになった感じでしたね。

――勝手なイメージではあるんですけど、キタニさんが身の丈に合わないデカいこと、キレイごとを楽曲にすることに対して、ちょっと意外な感じもあったんですよ。どこか、そういう音楽を忌避するようなタイプなのかなあと。

キタニ:あーそうですね。どっちかと言えば、自分はそういう人間だと思います。キレイごとばかり歌って、みたいな言い方ってJ-POPを冷笑する時によく使われがちじゃないですか。浅い歌詞で、ない希望を歌って、みたいな。だから自分にとってのJ-POPは、そういうイメージなんですよね。そもそも自分がメインに聴いてきたジャンルの音楽ではないので、どこか空虚な商業音楽なんじゃないか、みたいな感覚は確かにある。そういう疑いの目は幼少期から持っていたと思うし。ただ、自分も大人になり、人前に立つ人間になった今思うのは、空虚に見えるあの言葉たちも、唱え続けるうちに力になっていくんだなっていうことで。そこにある本当の意味、ショービジネスには聴き手に夢を見せる意味があるんだなということに気づき始めることができたから、今あえて自分もそれを能動的にやる意味があるなって思ったんですよね。

――なるほど。そこにはJ-POPシーンを自ら背負って立とうという覚悟もあるのかもしれないですね。

キタニ:そうですね。「背負いたいぜ!」とは思っています。だからこそ今、『DEKAI』というアルバムを出すことができたんだと思う。

――一方で『PURE』が生まれたのはどんな流れからだったんですか?

キタニ:当初は「アルバムを2枚出すぜ!」みたいな気持ちはまったくなかったんですけど、“DEKAI”というスローガンを掲げて曲を作っていく中で、どうしてもそこにそぐわないものも生まれてくるわけですよ。その最たるものが、2024年に初めて日本武道館でライブをするにあたって活動10周年記念ソングとして作った「ずうっといっしょ!」という曲で。あの曲は自分らしさが出ればいいなと思って、本当に作為なく、何も考えずに作ったんです。自分の手の赴くまま、流れに身を任せて書いたというか。結果、それがファンの方にはすごく愛していただける曲になったんですけど、『DEKAI』というアルバムに入れるにはかなり異色だなと。で、他にもそういった曲がちらほらあったので、それらを俯瞰で眺めてみたところ、こっちはこっちで1枚にまとめられるかもなと思えたんです。

――『DEKAI』とはある種、対極とも言えるコンセプトを持った曲たちがご自身から同時にアウトプットされているのがすごくおもしろいですよね。

キタニ:たぶんね、そういう曲たちは、デカいことを言おうというモードに対して自分自身が若干、疲れたときに出力されてる部分もあるんだと思う(笑)。ただ、『PURE』に通底する思いっていうのもまたここ数年、自分の心の底に常々あったものなんですよね。自分は元々、自分が好きな音楽をただただネットに上げていて、それらはたくさんの人が好むものではないよねっていう環境で活動してきたんです。でも、いつの間にか今のような状況、今の場所まで来てしまった感覚があって。紅白に出たとき、すごい思いましたもん。「周りはみんなすごい芸能人たちばかり。俺、めっちゃ浮いてない?」みたいな(笑)。

――いやいや、そんなことはまったくないですけど(笑)。

キタニ:テレビ越しに見てくださっている方々は全然そんなこと思ってないんでしょうけど、自分としてはすごくそわそわする感覚があった。あと似た感覚として、キタニタツヤを清廉潔白な人間、聖人みたいな感覚で見てくれている人がすごく増えたっていうことがあって。自分は自分らしく振る舞っているだけなのに、「あのキタニさんがそんなこと言うんだ。意外!」みたいな反応が起こったりするわけですよ。そこに対してもけっこう違和感があるんですよね。

――清廉潔白な人間だとは思われたくないわけですか?

キタニ:人間性を誤解されたくないというか、そういう思いは強いですね。だから、僕は皆さんと同じ普通の人間で、ただただ凡庸な、ただただ音楽が作れるだけの人間でございます、下品な人間でございますっていうのをラジオとかでも積極的に言ってたんです。で、今後はそれを作曲でもやっていくべきだなと思って。世間的に見たら間違っているかもしれないことであっても、自分の価値観、自分の中の常識を信じて、それを楽曲でも包み隠さず歌っていこうっていう。自分本位な考え方であっても、音楽でだったら許してもらえるやろ、みたいな(笑)。そういうモードでまとめたのが『PURE』というアルバムですね。自分では美しいと思っているけれども、世間的に見たらグロテスクなこととか、そういったことを歌っている曲たちが詰まっています。

――この2枚が同時にリリースされることで、キタニタツヤという人間がリアルに浮かび上がってくる印象がありますよね。

キタニ:そうですね。こういうことをする人って、あんまりいないんじゃないかなとは思います。デカいことを言って、さらにどんどん売れていく、それこそ存在をもっとデカくしていきたい気持ちはもちろんあるんですけど、そっちだけに偏ることを非常に怖がるタイプでもあって。自分の中でバランスを取ろうとしてしまうんですよね。そういう意味では、自分の二面性が見えてくる2枚にもなっていると思います。

――『DEKAI』に収録される新録曲は、まず「めんどくせいな」。日々の生活の中、様々な物事に対して“めんどくせえな”と言えてしまう強さってありますよね。

キタニ:まさしくそういうことですね。自分は「めんどくせえな!」と言って、何かを投げ出してしまうことができないタイプなんですよ。もちろん投げ出してしまうことは絶対ダメなんだけど、でもそう言えてしまうのってなんかカッコいいし、憧れちゃう感覚がある。例えば友達と飲んでるときに何か相談をしたとして、その友達が「お前、そんなこと考えてんの? どうでもよくね?」って言ってくれたりすると、「ワイルド! かっこいい!」って思うんですよ(笑)。でも、俺はどうでもいいとは分かっていても、どうにもならないっていう。そういうことがめっちゃあるので、それを曲にした感じ。「めんどくせいな」と連呼する曲を作ることで、そうやって思えるようになりたいという気持ちです。ここまで投げやりに言い切れたのは、自分としてはけっこう頑張ったなと思います(笑)。

――弾き語りによる「たったひとつの」は、ものすごくあたたかい曲ですね。

キタニ:僕には高校時代からの仲のいい友達が6人いて、よく7人衆でつるんでたんですけど、そのうちの1人が結婚式を挙げるときに作ったのがこの曲なんです。友達が結婚するたびに歌える曲を作りたいなと思って。今、もう4回歌いましたね。残りの2人は、ちょっともう歌うことはなさそうなんですけど(笑)。

――この曲が『DEKAI』に収録されたのはどうしてなんですかね?

キタニ:結婚式で歌うとなると、初対面の新婦さんや両家のご家族がもちろんいらっしゃるわけだし、言ったらその方々が全員主役なわけじゃないですか。だから、この曲を作るにあたっては言葉遣いにすごく気を配ったんですよね。何か間違いがあってはいけないという思いはタイアップの曲以上に強く意識したし、音楽に関心がないおじいちゃん、おばあちゃんにも聴いてもらえるようにポップであることもめちゃくちゃ意識した。そういう意味で、自分なりに“DEKAI”の心で作った曲なんです。

――いつも以上にシュッと襟を正している感じがありますよね。

キタニ:うん、本当にそうですね。そういう書き方をするという意味では、今までで1番頑張ったんじゃないかな。しかも結婚式では弾き語りで歌うことを想定してたし、歌詞とメロディにものすごく気を配って作っていたから、アルバムに入れるにあたってアレンジを新たに考えようとしても何も思い浮かばなくて(笑)。この弾き語りのアレンジしかありえねぇ、みたいな。なので自分の曲としては珍しく、弾き語りで完結している曲になりました。そういう部分も、言ったら“DEKAI”かも。自分の歌をこんなにも丸裸で出すようなことは今までならできなかったと思うんで。シンプルなまま世に出すことを、勇気をもって決断しましたね。

――一方の『PURE』に収録されている新曲は、まず「WITCHCRAFT」。これは提供曲のセルフカバーになりますね。

キタニ:はい。元々はLiSAさんに書き下ろした「うぃっちくらふと」という曲なんですけど、作ってる段階から自分でも歌いたくなっちゃって(笑)。「人にあげたくないぜ」ってなることはほとんどないんですけど、この曲に関してはなっちゃいましたね。なので今回、このタイミングで自分でも歌わせてもらいました。

――曲を書く段階で、『PURE』が持つコンセプトを意識されていたところもあったんですか?

キタニ:いや、その段階では「PURE」という言葉もまだ思い浮かんでいなかったし、提供するLiSAさんのことだけ考えていた感じでした。ただ、LiSAさんっぽくない曲をやりたいなという思いがあって、その中で“魔女っ娘LiSAさん”みたいなイメージが浮かんだんですよ。LiSAさんには、あえてそういう曲を書くのはおもしろいかなと。で、歌詞を書き進めていったところ、自分の中にあるちょっと猟奇的な側面がどんどん出てきたので、結果として『PURE』に入れるに相応しい曲になったんですよね。「間違ったことを堂々と言いたい!」みたいな気持ちで作りました(笑)。

――自己中心的な恋愛を描いた「カラメル」も似た雰囲気を感じますよね。

キタニ:そうですね。「カラメル」に関しては、アルバムのコンセプトがカッチリ決まった後に作り始めたので、逆に「PURE」という言葉を念頭に置いていたところはありましたけどね。ここで描かれている恋愛に関しては…自分の私生活をそのまま反映しているわけではないですよ。自分には、そこにプラスして、ちゃんとした社会常識があるから(笑)。でも、ぶっちゃけこういう恋愛でもよくない? みたいな感情は間違いなくありますね。自分の感性として、ウソ偽りのある言葉は一切書いていないので。

――実生活の中では自身の社会常識に救われることが多いとは思うんですけど、ミュージシャンとしてはその社会常識がクリエイティブを邪魔してくることもありそうですよね。

キタニ:確かに。それは本当に目下の悩みですね。だからこそ、そこに邪魔されないように、なるべく裸の言葉を書いていきたいっていう。そういう意味での「PURE」でもあるんですよね。

――そんな中、「君と生きて君と死にたい!」はけっこうな問題作のような気がしますね。

キタニ:こんなこと言っちゃダメだろうと自分でも思います(笑)。

――「たったひとつの」を書いた人が(笑)。

キタニ:そうなんですよねえ。でも、どっちも本当の気持ちではあるんですけど。「君と生きて君と死にたい!」は、ある種、「たったひとつの」を作り、いろんな人の結婚式に出席したことが影響していたりもするんですよ。そこで思ったことを自分なりにシンプルな言葉を使って書いていった感じですね。

――簡単に言えば、“家族”というシステムに対するキタニさんなりの思いですよね。

キタニ:うん。一旦、これが自分の人生観ではあります。この曲を10年後の自分が聴いたときにどう思うんだろうみたいなことがすごく気になったりはしますけどね。ただ、子供のときにこういう曲が存在していたら、俺はたぶんすごく救われたんだろうなみたいなことは思ったりするので、過去と未来の自分のために書いた日記みたいな歌ですね。

――もう1曲、「エメラルド」という新曲も収録されています。スマートフォン向けリズム&アドベンチャーゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」の6周年アニバーサリーソングとして書き下ろされたものですね。

キタニ:“DEKAI”みたいなことを考えていくと、いろんな人に聴いてもらいたい、誰かに共感してもらいたいという思いに繋がっていくんですけど、一方の『PURE』ではその共感を意識しないことがテーマになっているんですよね。そういう意味で、この「エメラルド」という曲は、共感してくれる人がそんな多くないであろう、自分の歩んできた道のりや個人的な経験をただただ歌っているだけではあるんです。自分が影響を受けた世界、その中で感銘を受けたいろんな人たちの曲、そしてその中のひとつになっているかもしれない自分自身への思いを書いている。そういう意味ではめちゃくちゃ自分のための曲なんですよね。タイアップ曲でそんなことやるなよって感じなんですけど(笑)。

――ものすごく感動的な1曲だと思います。キタニタツヤとしての原点をあらためて見つめ直し、そこから始まって辿り着いた今、そして未来に向けた思いもしっかり込められていると思いますし。

キタニ:自分の小さな人生の中で、こういう過去を卒業し、こういう未来に歩き出しますみたいなことですよね。自分の中での決意表明みたいな気持ちで書いた曲。これを聴いて、何かしら響いてくれる人がいるのかな。『PURE』の曲に関しては、「誰かに響くといいなあ」みたいなこともあまり考えないようにしてるんですよ。それは自分の中にある創作におけるピュアさを守るためにも。そういう感覚を残しておかないと、ここから先、たぶんしんどくなっちゃうと思うので。さっきも言いましたけど、タイアップ曲なんでね、反応は気にしろよって話ではあるんですけど(笑)、自分の感覚としてはそんな感じです。

――異なるコンセプトを持って編まれた2枚のアルバム。楽曲ごとに様々な景色が描き出されていますけど、共に開けた印象で終わっていくのが実にキタニさんらしいなと感じました。エンターテインメントとしてハッピーエンドであることは、すごく大事にされているんじゃないですか?

キタニ:あー確かにそうだな。僕、バッドエンドの映画なんかはすごい好きなんですけど、音楽に関してはそれだと楽しめないんですよね。自分は幼少期から1日たりとも音楽を聴かない日なんてなかったから、バッドエンドなアルバムを聴いて気持ちがしんどくなるのはちょっとイヤなんですよね。だから作り手としても、そういうしんどさを与えない作品を作ることは意識してるかも。自分なりのエンタメ的な感覚なんでしょうね。最後はちゃんと上を向いててほしいなっていう。

――本作を引っ提げ、ご自身にとって2度目となるアリーナツアー「TATSUYA KITANI ONEMAN ARENA TOUR “DEKAI / PURE”」も開催されますね。

キタニ:ライブハウスだと基本的にやれることがシンプルなんですけど、アリーナはやれることがたくさんありますからね。その自由さゆえに、考えれば考えるほど無限の思考になってしまうんですけど(笑)。昨年、アリーナツアーをやったとき、めちゃめちゃ視界が開ける感覚になったので、「俺は会場デカイ方が輝ける!」みたいな感覚はありますね。ノンストレスで、ほんとに楽しかったから。なので今回もいろんな演出を盛り込んで、聴くだけではなく見ても楽しいエンタメ的なライブをやろうと思ってます。

――前回のアリーナでは、ダンスもされてましたよね。

キタニ:しましたねえ。あれもずっとやりたかったことだったんですよ。曲単位でやりたいことがどんどん溢れてくるので、今回もいろいろ考えてますよ。

――セットリストに関しては『DEKAI』と『PURE』の楽曲が軸になってくる感じですかね?

キタニ:そうですね。だいたい僕のライブは19曲くらいなんですけど、この2枚のアルバムを全部やったら22曲ですからね。全部やるかは分からないけど、ほとんどがアルバムの曲になると思います。ライブで披露するのが初めての曲もいっぱいあるんで、それがすごく楽しみ。音源とは聴こえ方が変わる曲もあるだろうし、なんなら「アレンジも変えちゃおうか」みたいな思いもあるし。

――キタニさんの場合、ライブと音源を切り離して考えているところもあるんですか?

キタニ:どちらかと言うと、個人的にはライブでも音源通りにやってくれ派閥ではあるんですよ。でも今回に限っては、割と全然そこに囚われる必要もないかなとは思ってますね。理由としては、音源通りのライブはいつでもできるから、みたいな感じかな。やっぱりアリーナは特別な場所なので、アリーナでしかできないことを考えたい。演出を豪華にしたら、原曲通りにやらない方がいい場合もあるだろうしっていう。アリーナに相応しい、もっとも美しく見えることを優先していくと、自分が頑張って作った音源のアレンジに関しても、わりとどうでもよくなってくるんで。だったら変えちゃおうっていう感覚ですね。それくらいアリーナは自由に何でもできるんです。広い庭の方が犬も駆け回るでしょ? そういう感じ(笑)。

――『DEKAI』のコンセプトに則って、大言壮語なMCが飛び出す可能性もありそうですか?

キタニ:あーなるほど。でも自分の場合、曲を演奏していない時間はめっちゃ普通のキタニタツヤになっちゃうんですよ。時間をしっかり取って自分の思いの丈を語らせていただくこともけっこうあるんですけど、めっちゃ普段の自分だから自分の身の丈のことしか言えないんですよね。それこそワンオク(ONE OK ROCK)のTakaみたいにみんなを引っ張っていけるようなことを言えたらかっこいいんですけど、たぶんできないでしょうね(笑)。それができないから自分は音楽をやってるのかもしれない。曲の中でだったらできるけど、実際にしゃべるとなるとまったくできないっていう。自分はそういう人間でございます(笑)。

――先ほどエンタメ的な感性でハッピーエンドにこだわるというお話がありましたけど、ライブにおいても同じ気持ちはありますか?

キタニ:そうですね。ライブが終わった帰り道にお客さんが何を考えてくれるかはすごく気になるかな。自分は子供の頃、ライブ帰りの電車がしんどくてめちゃくちゃ最悪だなと思ってたんですよ。だから、僕のライブを観終わったお客さんには、そんな電車の中でさえもめっちゃいい気分でいてほしいなって思うんです。「めっちゃ良かったわー」っていう感想を持って、気分よく帰ってもらえるライブにします。そこはぜひ期待していてください。

(取材・文:もりひでゆき)

アルバム『DEKAI』『PURE』は、11月4日発売。

「TATSUYA KITANI ONEMAN ARENA TOUR “DEKAI / PURE”」は、以下の日程・会場にて開催。

【愛知公演】
2026年12月5日 18時開演
会場:クロコくんホール(日本ガイシホール)

【神奈川公演】
2027年1月16日 18時開演
2027年1月17日 17時開演
会場:ぴあアリーナMM

【兵庫公演】
2027年1月23日 18時開演
2027年1月24日 17時開演
会場:GLION ARENA KOBE

「hmv museum『キタニタツヤ 「DEKAI」「PURE」 MUSEUM』」は、10月31日から11月15日(日)までhmv museum 渋谷とhmv museum なんばで開催。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ