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前川優希&橋本真一「身も心も委ねられる」関係値 『文豪メランコリーRevue』絆感じるインタビュー

  • 2026.10.23
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(左から)橋本真一、前川優希 クランクイン! 写真:双海しお

狂音文奏楽『文豪メランコリーRevue』が、12月に幕を開ける。文豪たちの作品や人生を、歌とダンスで鮮やかに描いてきた「文豪メランコリー」シリーズ。その最新作で、夏目漱石と芥川龍之介という師弟を演じるのが、前川優希と橋本真一だ。「真ちゃん」「前ちゃん」と呼び合い、互いに全幅の信頼を寄せる2人。一度は演じ切った役を改めて生きる今作について、終始にこやかに語り合ってくれた。

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■文メラ“らしさ”と“違い”が共存する新作

――今回「Revue」というタイトルを聞いて、率直にどんなことを感じましたか。

前川:「レヴュー」という単語に聞きなじみがなくて、宝塚歌劇くらいでしか聞かない言葉だなと思ったんです。でも、エキセントリックなことを、きらびやかな衣裳や音楽で表現してきた「文豪メランコリー」なら、確かに似合うのかなという気はしました。

橋本:僕も「レヴュー」と聞くとショー的なイメージがありつつ、「re‐view=見せ直す」みたいな解釈もできるなと、個人的に思っていて。初演で、芥川の人生も夏目の人生も、没するところまで見せている。だからこそ、今回はどう見せて、どこまで深掘りするのか。そこが「Revue」というタイトルと関連づけると、すごく大事になってくるのかなと感じたので、初演以上のものをお見せしないといけないな、と思いました。

前川:なるほどね~。真ちゃん、それ正解だわ!(笑)

橋本:いや、まだ分かんないけどね(笑)。

――お2人とも初稿を読まれたとのことですが、橋本さんがおっしゃった「見せ直す」意味も含めて、本作の意義をどう感じましたか。

橋本:シリーズものって基本、続編をやっていくものじゃないですか。でも、夏目と芥川の人生は初演でもう語られているし、死後の世界もやった。そこから何をどう描くのかな、と。いざ読んでみると、生きてから死ぬまでの話という大枠は変わらないけど、それをより掘り下げて描いている。ライブ形式でお届けしてきたこのシリーズに、お芝居の要素が新しく入っていて、もっと深いところで芝居ができるというのを感じました。僕ら2人が主演という立場に据えてもらった意味は、物語を引っ張るというより、みんなより一段深いところで「もう一度人生を見せる」ことにあるのかなと思ったし、そうしていきたいなと思いました。

前川:文メラらしさを抽出しながらも、お芝居の部分はこれまでとは明らかに違う部分もあって、シリーズ作品ながら新しい感動とともに臨める、新鮮な気持ちになる脚本だなという印象です。文メラ自体が、何度でも解釈し直せる、味わい直せるというテーマを持つ作品ですし、一度演じた芥川と夏目の人生を、Revueで再び見つめ直し、味わい直せるのが、今回のおいしいところなのかなと思います。

橋本:本当にそうだよね。シリーズで新作が出ると、知らない物語を提供するととらえがちだけど、同じ人物の人生を、より深めて再び見せるのって、なかなか他にないじゃない。

前川:(大きく頷く)

橋本:同時に、今回登場する他のキャラクターには新しい物語もあって、すごく面白い構成だなと思いました。

■「真ちゃん」「前ちゃん」絆感じる関係値

――芥川と夏目の関係性が本作の核になります。初演で一度師弟を演じ、今回より深く演じるにあたり、この関係性の魅力や、演じていてワクワクする瞬間は。

前川:僕、真ちゃん(橋本)に甘えている部分があって。

橋本:いやいや(ニコニコと前川を見つめながら)。

前川:後輩ながらに「真ちゃん」と呼んで仲良くさせてもらっていて、相談もしやすい人で。文メラ初演が初共演だったけど、すごく接しやすかったんです。この作品の夏目漱石って、みんなから先生と呼ばれて場を取り持つ、大人という立ち位置でいることが多いんですけど、今作の台本を見て、「そうでなくちゃいけない」という気負いを、漱石は感じていたんだなと改めて気づかされて。だからこそ今作が、夏目と芥川の関係値を僕らに近づけてくれるというか、「甘えていいんだよ」と言ってくれるものになるんじゃないかな、と現時点では感じています。

橋本:僕もすごく前ちゃん(前川)に甘えているんですよ。年齢は僕が上なんですけど、本当に頼りにしているんです。人としても、役者としてもすばらしいし、センスも知識も考え方も、全部すごい。

前川:いやいやいや(笑)。でも今話していて思い出したんだけど、初演の稽古時に、真ちゃんが「芥川の持っていき方をどうしようかな」と話してくれた時があって。僕が当時思ったことを言ったら、すごく納得してくれたんです。

橋本:懐かしいね。それからは「1人で抱えなくていいんだ」って思えるようになって。だから、橋本真一本人の感覚としても、芥川が夏目先生を慕うのにとても近い状態で、稽古場で前ちゃんに向き合えるんです。身も心も委ねてお芝居できるし、さらけ出せば返ってくる。この関係性があるから、お芝居のところは何の心配もないです。

前川:そうだね。共演はまだ2回しかしてないけど、でも濃いよね。「俳優やってて、なかなかないよね、この経験」っていう作品で一緒だったから、やり遂げた感覚があるよね。

橋本:本当にそうだよね。ただ、芥川と漱石に関しては、初演との違いは結末が違うこと。それが今回の面白いところだし、僕としてはチャレンジだなと思いました。

■「磯貝龍乎ってユニバース」“全部に納得”の磯貝演出

――チャレンジという言葉がありましたが、再び芥川と夏目を演じるうえで、ご自身なりの挑戦、役作りで軸にしたい部分はどんなところでしょうか。

前川:ちょっと変な視点かもしれないですけど、文メラって、舞台上だけで完結しない、ライブのような形式で、客席と僕らの間の壁が曖昧な部分があると思うんです。だからこそ、“舞台上の登場人物が見ている夏目漱石”と、“お客さんが見ている夏目漱石”がいる。今回はそれを生かしたいなと。彼も1人の人間であることを描く話ではあるんですけど、ずっと先生のように一歩後ろにいた人の、真に迫る人生が描かれる以上、「お客さんからどう見られているか」という、夏目漱石のあり方へ向けられる視線を、いろんな角度から取り込んでいきたいですね。

橋本:前回は、文メラらしさみたいな部分を、ソリさん(反橋宗一郎)や秋沢健太朗くんが背負ってくれていて。僕はどちらかというと、ドラマ的な部分を担っていた感覚があるんです。今回は特にそれが強いかなと。文メラらしさの全体的な部分はめんちゃん(校條拳太朗)や他の人に託しつつ、芥川の人生に演劇的にフォーカスして、お客さんの心をつかめるよう、突き抜けていきたいです。プラス、新しい要素として、今回は発信者でもあるなという感覚があって。そこもしっかり担って、お客さんや作品自体を導くことができたらいいなと思っています。

――演出の磯貝龍乎さんとの作品作りはどうですか。

橋本:笑いもドラマ性も、歌もダンスも、全部を1個にまとめるセンスが本当にすごいですし、役者さんでもあるから、こちらも全部納得できるんですよね。

前川:稽古場では、演出家という顔をあまりせず、役者みたいなテンションで「いいね、面白いね」ってずっと褒めてくれるんですよ。そんな人の中から、あの物語が出てきたのが不思議で。「どういう時に思いつくんですか」って真剣に聞いたんですけど……答えを聞いても全然分からなくって。磯貝龍乎ってユニバースなんですよ(笑)。

――最後に、楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。

前川:僕は初演から「文豪メランコリー」という作品世界の広がりを見つめてきましたが、今作は文メラのあり方がまた1つ広がる作品になるんじゃないかなと感じています。役者って、セリフやバックボーンで「こういう人間だ」と限定された人物を生きることが多い。それは、作品を世に遺し、世間からイメージを抱かれている文豪への見方にも、どこか通じるものがあると思うんです。それに対して「あなたが見ている世界は、その人の世界のすべてではない」という気づきを、エンターテインメントとして届けられる作品です。この座組と、真ちゃんと一緒に、龍乎さんの世界の中で夏目漱石として生きられることをうれしく思います。劇場でお待ちしております。

橋本:龍乎さんのすばらしいところは、最後に持ってくるメッセージが、単に過去の文豪たちの言葉を並べるのではなくて、今の時代の僕たちが思っていることも全部内包して、お客さんに伝える終わり方にしてくださっているんですよね。役を演じるだけにとどまらず、僕ら自身が人として伝えたいことも、お芝居に乗せて嘘がなく届けられるんです。すごく素敵な台本だなと思ったので、楽しみにしていただきたいですし、今までの文メラが好きな人はもちろん、今までのシリーズとは違う新しい要素も楽しめる作品になるんじゃないかなと。それも含めて楽しんでもらえればと思います。

(取材・文・撮影:双海しお)

狂音文奏楽『文豪メランコリーRevue』は、12月19日〜27日に東京・こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて上演。

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