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スターバックス、中国で「購入しない客は座れない」新ルール導入

  • 2026.10.23

中国のスターバックスで、現地時間10月22日から「商品を購入しなければ席を利用できない」という新ルールが全国一斉に導入された。対象は約8,000店舗。長年「居心地のよさ」を売りにしてきたスターバックスが、なぜ今、このルールの導入に踏み切ったのか。(フロントロウ編集部)

店内に「購入してからお座りください」の告知

スターバックス・チャイナが新たな座席利用ルールを発表したのは、導入前日の10月21日。各店舗には、座席は商品を購入した客のためのものだと知らせる告知が掲示されている。

ただし、購入していない客を一律に退店させるわけではないという。妊娠中の人や体の不自由な人など、配慮が必要な人を優先するよう従業員に求めており、統一された接客ガイドラインに基づき、想定外の状況にも柔軟に対応するとしている。

背景にあるのは、注文せずに長時間席を占有する客の存在だ。英Independentによると、上海の2店舗を取材した地元メディアに対し、従業員は夕方以降、なかでもテラス席でこうした問題が起きやすいと話していたという。席を確保できない購入客からは、不満の声も上がっていた。

居心地のよさが裏目に。苦戦する中国のスターバックス

スターバックスは中国でも、自宅でも職場でもない「第3の居場所(サードプレイス)」を掲げ、友人と会ったり、仕事をしたり、ゆっくり過ごしたりできる空間づくりを続けてきた。しかし、その居心地のよさが、皮肉にも商品を購入せずに長時間滞在する客を生む一因となっていた。

業績の低迷も背景にある。1999年に北京で中国1号店を開いたスターバックスにとって、中国は重要な市場のひとつ。しかし、中国市場の既存店売上高は2024年度に14%減少し、2025年度もさらに1%落ち込んだ。ドリンクの価格がスターバックスより約3割安いとされる中国のコーヒーチェーン、ラッキンコーヒーには、2023年に年間売上高で追い抜かれている。2025年11月には、中国事業の過半数の株式を中国の投資会社、博裕資本(ボーユー・キャピタル)に売却することで合意し、現地パートナーとともに事業の立て直しを進めている。

新ルールの導入とあわせて、2027年度には3億元(約67億円)以上を投じ、混雑する時間帯の人員増強や設備の刷新、約1,000店舗の改装を進める計画も明らかにした。同社は声明で、「引き続き店内体験の向上に力を注ぎ、お客様とともに、心地よいサードプレイスの体験をつくり、守っていきます」としている。

アメリカでは過去に逆の方針を打ち出していた

今回の決定には、アメリカでの方針転換を思い起こさせる部分もある。アメリカのスターバックスは2018年、フィラデルフィアの店舗で、商品を購入せずに知人を待っていた黒人男性2人が逮捕された騒動を受け、商品を購入しなくても、誰でも店舗やテラス席、トイレを利用できるという方針を打ち出した。

しかし、2025年にはこの方針を撤回。購入客を優先するため、新たな行動規範を導入している。中国の新ルールも、こうした流れに続く形となった。

現地では、混雑時に席を確保しやすくなると歓迎する客がいる一方、反発の声も上がっている。英Independentが紹介した地元メディアの取材では、「何年も、時間がある時はスターバックスで座って人を待つのが習慣でした。急に何かを買わないと座れないと言われても慣れません。適切だとは思いませんし、会社のイメージを大きく損なうかもしれません」と語る客もいれば、「結局は彼らの店だから」と理解を示す客もいた。

誰もがくつろげる「居場所」と、商品を購入する客のための「店舗」。その線引きをめぐる議論は、しばらく続きそうだ。

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