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【彼女が舞台に立つ理由】蟹澤麗羅

  • 2026.10.23

中学生からミュージカルを続けてきた彼女が大学2年生になると、大きな転機を迎えることになる。新型コロナウイルスの流行だ。

「この時にレッスンもできなくなってしまって。そもそも外出もしにくいし、そろそろミュージカルもやめ時なのかなって。ただ好きなことは好きだったので、裏方として舞台に関わる仕事がいいかなとか色々と考えました。そうやって悩んでいる時に友達がダンスのイベントに出演しようって誘ってくれたんです。まだ完全に収束している時期ではなかったですけど、とにかく10分くらいのショーを作りました」

ステージにも立てなければ、レッスンもできない生活だった。そんな中でのイベント出演で、あらためて彼女は気づいた。

「やっぱり表現するのってすごく楽しい」

〈プロフィール〉
■蟹澤麗羅

出身地 神奈川県
生年月日 2000年3月16日
身長 162cm
趣味 ジャズダンス、ドラマ鑑賞
特技 ジャズダンス、よさこい、お囃子、習字
資格 英検準1級、フランス語検定3級
経歴 劇団俳優座33期生 2024年入団

幼い頃から、よさこいやお囃子を習っていた。ただ最初は何も考えず踊っていたものの、やがて知り合いに見られていることを意識してしまうと、笑顔になれなかった。そんな彼女が小学校6年生の時の区民ミュージカルに出演することになる。前年に友達が出演していたことに触発されたことで、ステージに立った。

「すごく楽しそうだったんです。普段の友達からは想像もできないくらいいきいきしていて。それで私もぜひ立ってみたいって思って。公演が終わってからもずっと忘れられなくて、家でミュージカルの曲を歌っていました」

これまでも人前でパフォーマンスをする機会はあった。しかし、ミュージカルのステージは格別だった。そして舞台の上で照明を浴びた経験は忘れることができなかった。そして中学2年生の時にミュージカルを英語で行う劇団であるユースシアタージャパンが関東で一期生を募集することを新聞で知った。母に勧められたこともあって通うことになった。中学校では陸上競技部にも籍を置き、忙しくも充実した日々であった。

「夏に大きなミュージカルを1回、そのほかはダンスの大会やショーケースみたいなものがあったり。年に3回から4回は舞台に立つ機会がありました。とにかく目の前の舞台へ向けて、がむしゃらに頑張っていました。それに周りのメンバーもすごく良かった。本当にみんな仲が良くて今でも付き合いは続いているんですよ。年齢も関係なくて友達でもあって仲間でもあってライバルでもあった。1つの目標に向かって、みんなで意見を言い合える関係でした」

ただ、周りのレベルには驚かされた。

「私はダンスではジャズとかヒップホップとかはやっていなかったから、初心者という立場でした。レッスンでバレエをやるのですが、今までやってきた子たちに比べると何の知識もなくて、動きが全然違う。それに振りを覚える速さも違う。これは大変で……。それに今でも歌は苦手かな」

蟹澤麗羅 「英語は得意な方だった」

それでも根っからの負けず嫌いだった。決めたことはやり遂げないと気がすまない。とにかく地道に一歩ずつ歩み、足を止めなかった。そんな中で、自信を持てることもあった。歌詞は英語で配られていたが、学校でも英語は得意な方だったので理解することは苦ではなかった。それにダンスが下手であったことがきっかけとなり、新たな気づきを得ることにもなった。

「ダンスでのポジションが良くなかったことがすごく悔しくて。でも技術的なことで追い越そうとしても、それはやっぱり経験が違うから難しい。そこで何か他の人とは違うアプローチをしないと目に留めてもらえないだろうなって考えるようになったんです。そこで“表現力”を意識するようにしました。あとはちょっとしたお芝居みたいなものを周りの子たちから少し褒めてもらえることもあって。それはすごくうれしかった」

そして大学生になった彼女は、新型コロナウイルスの流行の中で、冒頭のイベント出演をする。これがきっかけとなり、表現者として生きていこうと決意をした。ただ、冷静に自身を分析すると、ダンサーとしては力が足りない。歌も決して得意ではない。そうなるとミュージカルは難しい。そこで考えた道が舞台俳優であった。

「お芝居はちゃんと学んだことはなかったから、とにかく演技を勉強したいと思って受験したのが俳優座の養成所だったんです。俳優座に入りたいというよりも、演技の勉強をしたいということで入りました」

演技を学ぶようになって、感じたことは何か。

「ダンスはある程度の形があって、そこを目指すみたいなものがあると思います。でも演技って奥が深くてとにかくきりがない。明確な正解もわからない。俳優それぞれに正解があるとも思うので、好きな俳優のモノマネをしても、それが正解にはならない。ただ自分にしかできないものができるってことでもあるので、それはすごく面白いんです」

役を追求するために作品の背景を調べて、突き詰めるのが楽しい。情報のないものは、とにかく想像を膨らませて考える。そんな彼女が舞台に立つ理由とは……。

「私が知らなかったことって、観劇してくださる方たちも知らないこともあると思います。そこで作品を通して何かしら知るきっかけになるって、すごく意味があることだと思います。それにやっぱり私は表現をしたいんです」

これからも彼女は表現を続けていく。

蟹澤麗羅「やっぱり私は表現をしたい‥」

■蟹澤麗羅出演情報

劇団俳優座 No.364 2026年11月公演『ありふれる』
公演日程 2026年11月19日~12月4日
会場 俳優座スタジオ

蟹澤麗羅コメント
広島で生まれ育った人たちのお話になります。日常の中で伝えたい言葉、伝わらない言葉、伝えられない言葉を繊細な会話の中で作り上げていきます。見に来てくださる皆さんが、何かを考えてもらえるきっかけになれればと思っています。

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