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web制作のRFP(提案依頼書)の書き方|盛り込む10項目と記載例・提案を比較する評価軸

  • 2026.10.23
web制作のRFP(提案依頼書)の書き方|盛り込む10項目と記載例・提案を比較する評価軸

Web制作会社に相談したのに、返ってきた見積書の金額が3社でまったく揃わない——という経験はないでしょうか。原因の多くは、制作会社側ではなく「渡した条件がバラバラだったこと」にあります。同じ相談のつもりでも、口頭やメールでの依頼は伝わり方に幅が出るため、各社が想像で範囲を補って見積もりを組むことになります。

この差を埋めるための文書がRFP(提案依頼書/Request For Proposal)です。この記事では、Web制作を外部に依頼するときのRFPについて、盛り込む10項目と記載例、規模別の分量の目安、配布から発注までの進め方、提案を横並びにするための評価シートの作り方までを、発注する側の視点でまとめます。

なお、「そもそもどんな会社に頼めばよいか」「費用はどのくらいが目安か」を知りたい段階の方は、先にWeb制作会社の選び方と費用相場をお読みください。本記事はその次の段階、候補が絞れたあとに「こちらの条件を文書で揃える」ためのガイドです。

RFP(提案依頼書)とは|要件定義書・見積書との違い

RFPとは、発注側が「何を実現したいか」「どんな条件で提案してほしいか」をまとめ、候補となる制作会社に配る文書のことです。日本語では提案依頼書と呼ばれます。仕様をすべて確定させる文書ではなく、提案の土俵を揃えるための文書である点が重要です。

似た名前の文書と混同されやすいので、役割を整理しておきます。

同じ条件で集めた3社の提案を、天びんと虫めがねで見比べているイラスト
RFPで条件を揃えておくと、各社の提案を同じ物差しで比べられる
文書作る人タイミング目的
RFP(提案依頼書)発注側依頼先を決める前条件を揃えて提案を比較できるようにする
提案書制作会社RFPを受け取った後解決方針・体制・概算費用を示す
見積書制作会社提案とほぼ同時作業範囲に対する金額を示す
要件定義書主に制作会社(発注側と合意)契約後の最初の工程作るものの仕様を確定させる
ガイドライン・運用マニュアル制作会社公開前後公開後の更新ルールを定める

よくある誤解が、「RFPには仕様をすべて書き切らないといけない」というものです。ページ構成や機能仕様を細部まで確定できるなら、そもそも提案を募る必要は薄くなります。RFPで書くべきなのは「目的・制約・判断基準」であり、実現方法は各社の提案に委ねる、という切り分けが現実的です。

RFPを作らないと何が起きるか

RFPは手間のかかる文書なので、「口頭で伝えれば十分では」と感じるかもしれません。ただ、文書化しないまま進めると、比較の段階と制作の段階の両方で、あとから効いてくる問題が起きます。

  • 見積もりが比較できない:A社は原稿制作込み、B社は原稿支給前提、といった前提の違いで金額が数倍に開き、安い高いの判断ができなくなります
  • 提案の良し悪しを説明できない:社内で稟議を通すとき、「なぜこの会社なのか」を条件に照らして説明できません
  • 契約後の追加費用が増える:「言ったつもり」の要望が範囲外と判定され、都度の追加見積もりになります
  • 社内の合意が後ろにずれる:目的や優先順位が言語化されていないため、デザイン提示の段階で関係部署から根本的な差し戻しが出ます
  • 制作会社側の見積もりに保険が乗る:範囲が読めない案件は、リスク分を上乗せした金額になりやすくなります

逆に言えば、RFPを作る本当の目的は「制作会社に伝えること」だけではなく、「社内の考えを先に固めること」にあります。書けない項目が出てきたら、それは社内で決まっていない論点が見つかったということです。

RFPに盛り込む10項目と記載例

Web制作のRFPで、最低限そろえておきたい項目を10個にまとめました。すべてを詳細に書く必要はなく、「決まっていること」と「これから一緒に決めたいこと」を分けて書くのがコツです。

#項目何を書くか省くと起きること
1プロジェクトの背景・課題いま何に困っていて、なぜ今やるのか手段だけの提案が集まる
2目的とゴール指標何が起きたら成功か(問い合わせ数、採用応募、更新工数の削減など)提案の評価軸がなくなる
3対象ユーザー誰に届けたいか、優先順位付きで訴求のずれた設計になる
4依頼する作業範囲設計・デザイン・実装・原稿・写真・移行・保守のどこまでか見積もりの前提が各社で食い違う
5現行サイトの情報ページ数、CMS、サーバー、更新体制、アクセス状況の傾向移行工数が読めず金額が膨らむ
6機能・技術の要望必須と希望を分けて列挙「あって当然」の機能が抜ける
7スケジュール公開希望時期と、動かせない締切の有無体制が組めず後半に無理が出る
8予算の考え方上限の目安、初期と運用の内訳の考え方桁の違う提案が混ざる
9体制と進め方自社の担当者、決裁者、レビュー頻度意思決定が滞り納期が延びる
10提案してほしい内容と提出要領提案書の項目、提出期限、様式、質問受付の窓口提案の粒度が揃わず比較できない

背景・目的の書き方(項目1・2)

最も差が出るのがここです。「デザインが古いので刷新したい」だけでは、提案は見た目の話に寄ります。困りごとの具体と、それによる実害まで書くと、提案の質が変わります。

記載例:「営業資料代わりに使いたいが、サービス内容の説明が分散しており、商談前に読んでもらえていない。問い合わせは月あたり一桁で推移しており、内容も想定と異なる相談が多い。半年後をめどに、サービス理解が進んだ状態で問い合わせが来る状態にしたい」

ゴール指標は、数値で置ければ理想ですが、置けない場合は「達成したい状態」を文章で書くだけでも構いません。無理に指標を作って、後から現実と合わなくなるほうが問題です。

作業範囲の書き方(項目4)

見積もりの金額差は、ほとんどがこの項目から生まれます。「誰がやるか」を工程ごとに明示してください。特に原稿と写真は、支給できるのか制作会社に依頼するのかで工数が大きく変わります。

工程自社で対応制作会社に依頼要相談
戦略設計・情報設計○
デザイン○
原稿(テキスト)○(素案まで)編集・リライト
写真・撮影既存素材あり不足分の新規撮影
実装・CMS構築○
既存コンテンツの移行○
公開後の保守・更新○

この表をそのままRFPに貼り、自社の状況に合わせて印を付け替えるだけでも、前提のずれはかなり減ります。「要相談」に印を付けた項目は、提案時に工数と金額を分けて出してもらうようRFP側で指定しておくと、後の比較が楽になります。

予算の書き方(項目8)

「予算を書くと上限いっぱいの見積もりが来るのでは」と心配して伏せる方は多いのですが、実務上は書いたほうが噛み合います。予算が分からないと、各社は自社の標準的な進め方で見積もるしかなく、桁の違う提案が混ざって比較そのものが成立しなくなるためです。

金額を確定できない段階なら、幅で示す・優先順位で示す方法があります。記載例:「初期費用は上限の目安を提示します。この範囲で最大限できることを提案してください。範囲を超える提案をいただく場合は、超過分を分けて記載してください」「今期分と次期以降に分けた段階的な進め方の提案も歓迎します」といった書き方です。

費用の内訳がどう構成されるかを先に把握しておきたい場合は、Web制作会社の見積もり完全ガイドも参考になります。

RFPの分量と粒度|規模別の目安

RFPは長ければよいものではありません。小規模な案件に何十ページもの文書を用意すると、作る側の負担が重いうえ、制作会社側も読み込みに時間を取られます。案件の規模と、社内で決まっている度合いに合わせて粒度を選ぶのが実用的です。

案件の規模RFPの分量の目安書き込む深さ提案依頼先の数
小規模(数ページ〜十数ページのサイト、機能は最小限)A4で2〜4ページ程度背景・目的・範囲・スケジュール・予算感を1ページずつ2〜3社
中規模(数十ページ、CMS更新あり、既存サイトからの移行あり)A4で5〜10ページ程度上記+現行サイト情報、機能一覧(必須/希望)、体制3〜4社
大規模(多言語、会員機能、外部システム連携など)A4で10ページ以上上記+非機能要件(性能・セキュリティ・保守)、既存システムの構成3〜5社

提案を依頼する社数は、多ければ多いほどよいわけではありません。比較の手間が増えるうえ、選定に時間がかかると、提案してくれた各社の稼働が空いてしまい、着手が後ろ倒しになることもあります。3社前後で、事前に候補の実績や得意領域を確認したうえで声をかけるのが現実的です。

RFPを書く前に社内で決めておくことチェックリスト

RFPの筆が止まる原因は、文章力ではなく社内の未決事項です。書き始める前に、次の項目を確認してください。半分以上が「未定」なら、まず社内の整理を優先したほうが、結果的に早く進みます。

  • 目的:何が起きたら成功と言えるかを、一文で書けるか
  • 優先順位:目的が複数あるとき、どちらかを取れない場面でどれを優先するか決めているか
  • 決裁者:最終的に発注を決める人は誰か。その人はこの案件の目的に同意しているか
  • 予算:初期費用の上限の目安があるか。運用費を別枠で確保しているか
  • 期限:公開希望日はあるか。それは動かせない理由(イベント、期初など)があるか
  • 担当者の稼働:社内の窓口を誰にするか。原稿確認やレビューに割ける時間はどれくらいか
  • 原稿と写真:既存で使えるものがどれだけあるか。新規に用意できるか
  • 現行サイトの情報:ページ数、CMS、サーバー、ドメインの管理者が分かるか
  • やらないこと:今回の範囲に含めないものを線引きできているか
  • 公開後の運用:誰が更新するか。自社更新なら、その人が操作できる前提になっているか

特に見落とされやすいのが「公開後の運用」です。更新担当が決まっていないまま高機能なCMSを入れると、結局更新されないサイトになります。RFPの段階で運用の想定を書いておくと、制作会社側も管理画面の作り方を合わせてくれます。

配布から発注までの進め方|工程と期間の目安

RFPを配ってから発注先を決めるまでの流れは、おおむね次のようになります。期間は案件規模や社内の意思決定のスピードで変わるため、あくまで目安として捉えてください。

段階やること期間の目安発注側の負荷
1. 社内整理目的・予算・体制の確認、上のチェックリストを埋める1〜3週間大
2. RFP作成10項目を文書化、評価軸を決める数日〜2週間大
3. 候補選定・打診実績を確認し、対応可否と受注枠を確認1週間程度中
4. 配布・質問受付RFP送付、質問への回答を全社へ共有1〜2週間中
5. 提案・プレゼン提案書と見積書を受領、説明の場を設ける1〜2週間中
6. 評価・選定評価シートで採点、社内で合意1〜2週間大
7. 条件調整・契約範囲と金額の最終確認、契約締結1〜3週間中

合計すると、RFPの検討開始から契約まで1〜2か月程度を見ておくのが無難です。公開希望日から逆算するときは、この選定期間を忘れずに確保してください。ここを圧縮すると、制作の工程にしわ寄せが行きます。

質問受付は、個別に答えず、全社に同じ内容を共有するのが原則です。片方だけが前提を知っている状態になると、提案の比較が公平でなくなります。

提案を横並びにする評価シートの作り方

提案を受け取ったあと、印象で決めてしまうと社内説明が難しくなります。RFPを配る前に評価軸を決めておくと、提案の見方が定まり、選定の議論が短くなります。

評価軸見るポイント配点の考え方
課題の理解度こちらの背景を自分の言葉で再定義できているか重く配点。ここが弱い提案は後半で必ず揉める
提案内容の妥当性目的に対する打ち手が説明されているか。装飾的な提案になっていないか重く配点
実績・類似案件業種や規模が近い経験があるか中程度。近すぎる競合実績は要確認
体制・担当者誰が担当するか、窓口の人数と役割が明示されているか中程度。営業と制作の分断がないか見る
費用の妥当性内訳が読めるか。前提条件が書かれているか中程度。総額だけで判断しない
公開後の支援保守・更新・改善の提案があるか軽め。ただし自社運用が前提なら重く
コミュニケーション質問への回答が具体的で速いか軽め。ただし全社で明確な差が出る

採点は、複数名で個別に付けてから突き合わせると、偏りが見えて議論しやすくなります。「安いから」で決めた案件は、追加費用と手戻りで結局高くつくことがあるため、費用の配点を突出させないほうが安全です。金額の読み解き方はWeb制作会社の選び方と費用相場の見積書チェック項目も併せて確認してください。

RFPでやりがちな失敗と回避策

ありがちな失敗何が起きるか回避策
手段だけを書いている(「WordPressで作りたい」など)目的に合わない手段が固定される目的を先に書き、手段は「希望」として分ける
要望を全部「必須」にしている金額が膨らみ、削る議論ができない必須と希望を分け、優先順位を付ける
予算をまったく書かない桁の違う提案が混ざり比較不能幅や上限の目安、段階実施の可否を書く
提出物の形式を指定していない提案の粒度が揃わず比較できない提案書の項目立てと提出期限を指定する
社内で目的が合意されていないデザイン提示後に根本的な差し戻しが出る配布前に決裁者の合意を取る
選定期間を短く取りすぎる提案が薄くなる、制作工程にしわ寄せ提案期間は2週間前後を確保する
公開後の運用を書いていない更新されないサイトになる更新頻度と担当者の想定を明記する

もうひとつ、実務でよく問題になるのが「無償での詳細提案の要求」です。デザイン案の作り込みやページ構成の詳細設計まで無償で求めると、提案を辞退する会社が出ます。比較に必要な範囲(方針・体制・概算)に留め、詳細は契約後の要件定義で詰める前提にしておくと、良い会社が土俵に残りやすくなります。案件全体の進行イメージはWeb制作案件の完全ガイド(選定から進行管理まで)も参考になります。

よくある質問

Q. RFPは必ず作らないといけませんか?

義務ではありません。小規模で、依頼先が実質1社に決まっている場合は、目的と範囲を箇条書きにしたメールで足りることもあります。複数社を比較するなら作る価値が高い、と考えてください。

Q. 決まっていないことが多いのですが、書き始めてよいですか?

問題ありません。むしろ「未定」と明記した項目があるRFPのほうが健全です。未定のまま伏せておくと、各社が別々の想定で見積もることになります。「この点はご提案いただきたい」と書き添えれば、提案の余地として扱ってもらえます。

Q. 制作会社にRFP作成を手伝ってもらってもよいですか?

相談自体は問題ありませんが、比較対象の1社に作ってもらうと、その会社に有利な条件になりやすい点は意識してください。どうしても社内で書けない場合は、要件整理だけを別途依頼する、あるいは選定を伴わない前提で相談する、といった分け方があります。

Q. SEOの要望はRFPにどう書けばよいですか?

順位の約束を求めるのではなく、「守ってほしい前提」を書くのが実用的です。リニューアル時のURL引き継ぎとリダイレクト、既存ページの評価を落とさない移行方針、表示速度、構造化データの扱いなどが該当します。制作とSEOの分担を分けたい場合は、SEO対策に強いWeb制作会社の比較記事も参考にしてください。

Q. 提案を断るときは何を伝えればよいですか?

選定理由を簡潔に伝えるだけで十分です。提案には各社の稼働がかかっているため、結果連絡は決まり次第、早めに出すのが礼儀とされます。次の案件で再度声をかける可能性もあるため、関係を悪くしない伝え方を心がけてください。

Q. 進行中の窓口は誰が担当すべきですか?

社内側は、決裁者と日常の窓口を分けたうえで、窓口を1人に固定するのが基本です。制作会社側の進行役がどんな仕事をしているかを知っておくと、依頼の出し方が整います。Webディレクターの仕事内容も参考になります。

まとめ|RFPは「相手のため」ではなく「自社のため」に書く

RFPの効果は、良い提案が集まることだけではありません。書く過程で、社内の未決事項が洗い出されることが最大の価値です。目的、優先順位、予算、体制、公開後の運用——このあたりを先に決めておけば、制作が始まってからの手戻りは確実に減ります。

  • RFPは仕様書ではなく、提案の土俵を揃える文書
  • 10項目のうち、特に目的・作業範囲・予算の考え方を丁寧に書く
  • 分量は案件規模に合わせる。小規模ならA4数ページで十分
  • 配布前に評価軸を決めておくと、選定の議論が短くなる
  • 選定期間は1〜2か月程度を見込み、公開日から逆算する

依頼先の候補をこれから探す段階の方は、Web制作会社の選び方と費用相場で会社のタイプ別の違いと見積書の見方を確認したうえで、本記事のRFPで条件を揃えると、比較がぐっとやりやすくなります。

※本記事に記載した期間や分量はいずれも一般的な目安であり、案件の規模・体制・社内の意思決定プロセスによって変動します。実際の条件は依頼先とご確認ください。

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