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出口夏希×蒔田彩珠、3度目の共演で深まった絆 互いに下の名前で呼び合う関係に

  • 2026.10.21
(左から)出口夏希、蒔田彩珠 クランクイン! 写真:松林満美 width=
(左から)出口夏希、蒔田彩珠 クランクイン! 写真:松林満美

是枝裕和が監督・脚本・編集を務め、藤本タツキの人気マンガを実写映画化した『ルックバック』が現在公開中。藤野役の出口夏希と京本役の蒔田彩珠は、本作で3度目の共演となり、お互いを下の名前で呼び合うほど親しい間柄だ。そんな二人は、是枝監督がつむぐ、美しい日常と残酷な運命が隣り合わせにある世界にどう息づいたのか。起用の喜びや撮影時の思い出について話を聞いた。

【写真】出口夏希&蒔田彩珠 撮り下ろしソロショット

■大変なシーンもあったが「アットホーム」な撮影裏

『舞妓さんちのまかないさん』『わたしの一番最悪なともだち』で共演し、本作で3度目の共演を果たした二人。出会った頃は「さん付け」だった二人は今や「夏希」「彩珠」とお互いを下の名前で呼び、、インタビュー中も藤野と京本を彷彿(ほうふつ)とさせる固い絆をのぞかせる。

「撮影現場では役名で呼び合うことが多いのですが、今回はプライベートを一緒に過ごすことが多かったので自然と距離が縮まりました」と出口。お互い「ちゃん付け」が苦手で、下の名前で呼び合うようになったというが、「彩珠、最初は照れくさそうだったよね?」と笑う出口に、「うん。最初はちょっと頑張りました(笑)」と蒔田も恥ずかしそうにはにかむ。

秋田県にかほ市を中心に四季を通して撮影が行われた本作。青々とした田んぼ道や、ザクザクと歩くたびに音を立てる雪道など、是枝監督が切り取る四季折々の風景は、実写ならではの息遣いとともに見る者の心を引きつける。

中でも大変だったというのが雪のシーン。「ひざが埋まるくらいの雪の深さだったんです」という蒔田に続けて、出口も「歩くたびに息が切れちゃって、転びそうになって、手を取り合いながら撮影しました」と振り返る。セリフがなく、一言一言がアドリブの場面もあったそうだが、そんな中で是枝監督が大切にしたのは「息遣い」だったという。

ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(2012)で10歳の時に是枝監督にオーディションで選ばれて以来、何度も是枝監督と作品づくりを共にしてきた蒔田。一方で出口は『舞妓さんちのまかないさん』以来、2度目の是枝組だ。

現場の雰囲気について二人が何度も口にしたのは「アットホーム」。自分の仕事をこなしながらも、コミュニケーションが取れるのが是枝組の現場で、みんなが笑顔を見せており、機嫌の悪い人が誰ひとりいないのだそう。それは『舞妓さんちのまかないさん』でもそうだったと二人は回顧する。

「眼差しが温かいんだよね(蒔田)」「分かる。遠くからモニターを見る監督の顔がちょっと笑ってるの(出口)」

二人から飛び出す是枝監督のエピソードはどれも温かく、その穏やかな現場の空気がありありと浮かび上がってくる。

和やかなエピソードが次々と飛び出した一方で、二人の作品への向き合い方は実にストイック。スクリーンにその情熱を宿らせるため、撮影の4ヵ月前から地道な準備を重ねていた。はじめはGペンを使う感覚を養っていたというが、絵はおろか、細い線を描くことすら苦戦していたそう。出口は人物画、蒔田は背景画とそれぞれの役柄に合わせた猛特訓が続く。

■出口&蒔田が「役者」でいる理由

求められたのは、絵のクオリティーではなく“音”だったという。「たくさんペンの種類を用意していただいて、手になじむものを選ばせてくださったんです。カッコいい線が描けるようになって、シャッと良い音が鳴った時は気持ちよかったです」と、描く喜びを語る出口の姿は不思議と藤野と重なる。

また、「背景画は定規が使えるので夏希よりは線を描くのは怖くなかった」という蒔田は、マンガに加えて方言の練習にも挑んだ。秋田弁の先生の指導の下、台本に書き込みながら体に染み込ませていったそうで、「完成した作品を見て違和感がなかったのでうまくいったと思います」と少し照れ笑いをにじませながら満足げな表情を見せる。

10月に25歳の誕生日を迎える出口と、8月に24歳になった蒔田。同世代ならではの軽やかな掛け合いはほほ笑ましく、どこかキラキラとした魅力にあふれている。一方で、芝居について語る二人の言葉には確かな重みがあり、その若さと成熟が同居する姿には、二人が放つ独特の引力を感じずにはいられない。

そんな二人に京本の「藤野ちゃんはなんで描いてるの?」という言葉にかけて、「なんで俳優を続けているか」を聞いてみた。すると「分かんない!」と出口が明るく即答。「一番難しい質問…」と頭を抱えつつも、「わたしもまだ藤野と同じで分かっていないのかもしれないです。藤野は最初は分かっていなかったけど、京本を思って絵を描いていて…」「見てくれているファンの方たちもいてくれるので…」とポツリ。

「大変なこともあるけど楽しさも感じるんです」と言う蒔田に「わたしに限らず皆さんきっとそういう思いでお仕事されていますよね」と出口が続く。また蒔田は「やっぱり見てくれる人がいるからですかね」と作品に触れてくれた人がモチベーションになっているとも語る。「友達とか家族はもちろんですが、『ルックバック』のファンの方など、いろんな人に作品を見てもらえるのは役者にとってやりがいがありますね」と語った。(取材・文:編集部 撮影:松林満美)

映画『ルックバック』は公開中。

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