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傲慢でも、好かれる人、嫌われる人。自己顕示欲が、許される人、許されない人

  • 2026.10.17

英国に帰ってくるメーガン妃を改めて考える

申し訳ないけれど、私たちが社会を生きていく上で反面教師にさせてもらわなければいけない、負の要素を持つ人っていて、結局そういう人は、放っておいてもまた次から次へと格好の教材を提供してくれる。

その典型的な例が、それこそ申し訳ないけれど、英国王室を離脱したメーガン妃。この人は本当に次々にいろいろやってくれてしまう。なんと、近々ヘンリー王子とともに、英国にまた移住してくるようなのだ。

英王室を離れて6年、カリフォルニアでセレブ王国をつくるつもりであったのに、それがなかなか難航し、経済的にも厳しくなってきたことが、やはり大きな理由だろう。アメリカのメディアの多くも、彼らを敬うこと自体に疲れてきているといわれるし。もちろん報道では、がん治療をしているチャールズ国王のそばにいたいという、息子としてのヘンリー王子の思いと、アーチーとリリベットという二人の子どもたちを、英国で教育したいという思いがあったからだといわれるが。

「案の定」という感想を持つ人は少なくないはずだが、それにしても予想通りにも程がある、この決断。メーガン妃一人の判断ではないにしても、私たちが懸念しているそのツボをやはり見事に押してくる。ここは学ばせてもらう以外ないのだ。

英王室にはそういう意味での因縁ともいえる歴史があるのをご存知だろうか。亡くなったエリザベス女王の伯父にあたるエドワード8世が“王冠をかけた恋”と騒がれたアメリカ人のシンプソン夫人との不倫の末、彼女を取るか王冠を取るかを迫られる。結果として王冠を弟であるジョージ6世、つまりエリザベス女王の父親に譲ることになるのだが、映画『英国王のスピーチ』でも描かれたように、このジョージ6世は吃音の問題を抱えており、苦労の多い王位継承だったのだ。でも、王冠を捨てた二人はその後、海外に住み、英国に帰ることはなかったとされる。公爵としてヨーロッパ社交界の中心にはいたものの、英王室や国民を再び惑わすようなことはなかったのだ。

しかしヘンリー王子とメーガン妃は、ご存知の通り「英王室でいかなるイジメを受けたか?」といった批判をアメリカの人気トーク番組で華々しく展開した。あれほど罵った英国になぜ戻ってくるのか?という批判が起きないわけがない。ある報道によれば、メーガン妃は、Netflixで女優復帰を目論んでいたというが、英国民の強烈な反発によって取りやめになったとか。突っ込みどころは尽きないが、これが本当ならなおさら、英国への移住はずいぶんと大胆かつ切羽詰まったものだということがわかる。

ちなみに、王室に復帰するわけではないので、今後も公務はやらないといわれるが、それも暫定的なものなのだろう。日本の皇室も皇族の数を確保するためという名目で、旧宮家から養子を取るという、“国民の理解が得られていない法案”が決まってしまっているが、歴史的に、そうした筋が通らないことも筋を通してしまうのが、英王室というところなんだろうから。

ただ心情的に、反面教師になるような人がロイヤルファミリーであろうとすることに、何か複雑な思いがするのはどの国であれ同じであると思うのだが。

自己顕示欲の強さが許される人、許されない人

まず考えていきたいのが「自己顕示欲」。いうまでもなく、まわりの人から認められたいという欲求のことで、「承認欲求」の一つの形ではあるけれど、「自己顕示欲」は、単に認められたい褒められたいという気持ちだけではなく、他者にはっきりとわかるように自分の存在を目立たせるため、何らかの言動をとることをいう。

ここはあくまでも一般論として聞いてほしい。自己顕示欲の強い人の特徴は、●自分の話ばかりで、聞き手に回るのが苦手。●否定形が多い。●割に嘘や誇張が多い。●負けん気が強く、嫉妬深い。●協調性がない……などなど。では自己顕示欲を生むものとは一体何なのか?

実はこれ、一見“自信家”に見えても、どこかにコンプレックスを秘めていること、これに尽きるのかもしれない。言い換えれば、プライドは非常に高いが、まだそのプライドが満たされていない。だから必要以上に自己を顕示しようとする、ということ。

こう見てくると、まわりの人を相当に疲れさせる、なかなかに強烈なタイプであることがわかる。だから多くの場合、初対面でもそうであることがばれてしまう。シチュエーションにもよるけれど、一対一よりも複数人でいる時のほうが自己顕示欲は目立ちやすいのだ。従って、どんなコミュニティーでも、そういう人が一人いるだけで、心地よくない時間が増える。ところが自己顕示欲が強い人のほとんどは、そんな自分に気づいていない。もともと空気があまり読めないから、そうした空気の悪さにも気づかない。だから余計に人を疲れさせるのである。

もちろん今は、自己表現の時代、どんどん自分を表現していくべきだし、そうしなければ損な世の中だ。そもそもが承認欲求は誰にだってあるもの。あとは程度の問題であり、一人よがりになっていないかどうか、だけなのである。

つまり重要なのは、自己表現も相手があってのもの、その表現を相手が喜んでくれなければ自分の喜びにもならないと思うべき。にもかかわらず自己顕示欲の強い人の多くは、相手の心をほぼ無視して自分を押しつけるパターンが多い。でももしそこで、ちゃんと相手の反応を見て相手が喜んでくれることを確かめられる人なら、いくら自己顕示欲が強くても好かれる人。相手の気持ちを慮ることができれば、自己を顕示してもよいのである。言うならば、必ず笑いが取れるお笑い芸人のように。

さて、メーガン妃とヘンリー王子は、新しいやり方で王室をアピールすると英王室を離れた。それを正当化しつつ、さらに注目を浴びるために王室批判を始めた。それがちょっと飽きられてくると、今度はグウィネス・パルトロウみたいにライフスタイル提案を始めた。それもイマイチうまくいかないとなると、今度は、もう帰らないと言っていた英国への帰国を考える。それができてしまうのは、やはり相手がどう思うのか、そこには興味がないからではないだろうか。とくに王室批判の時は、相手を悪者にし同情を買うことによって自己を顕示した。相手がどう思うかは関係ない、それどころか相手を犠牲にした? とにかく自分を目立たせ、自分をアピールし続ける、それがテーマだからなのではないか。

自己顕示欲もいろいろ。相手を見ているかどうか、相手に迷惑をかけていないかどうか、それが許されるか許されないかの決定的な差なのである。

傲慢でも好かれる人、嫌われる人

傲慢……言うまでもなく、自分が他者よりも優れていると考え、人を見下すこと。おごり高ぶり、人を侮ること。そして礼を欠くこと。言葉の意味だけ捉えると、まるでおとぎ話に出てくる悪の女王みたいな救いようのない最悪な人を指すことになる。しかし実際には、傲慢だけれど嫌われない人っているもの。

たとえば、映画『プラダを着た悪魔』の編集長ミランダは、明らかに傲慢だけれど、そして恐れられてはいるけれど、最終的に嫌われてはいないという設定。そこにモデルがいるかいないかは別として、傲慢さがもし最低最悪で、おとぎ話の結末のように、最後は抹殺されるべき存在ならば、こんな悪魔編集長などもともと社会に存在しないわけで、とすれば、場合によっては傲慢が許されることもあり、ある意味愛されることすらあるという話になる。

『プラダを着た悪魔』の編集長の場合は、傲慢さが冷酷で高圧的で、そそり立つようなプライドに現れている。じゃあなぜ許されるのか。ひとえに、それが許されるほど優秀だから。一つの業界そのものを動かすほどの圧倒的な能力を持っているから。だからこの人の基準に満たなければ罵られ、容赦なく切り捨てられる。でも、まわりは仕方ないよなと思う。だからますます恐れられ、でも嫌われない。嫌っていたら自分が破滅するからだ。そうして結果的に周囲を成長させたりしてしまう。だから勝者になれるのだ。大女優やトップアーティストが、大きな仕事に何時間も遅刻したり、マネージャーに暴言を吐いても、ちゃんと愛されるように。

一方これも一般論だけれども、厄介なのは、自分の努力や能力ではなく、いきなり地位や名誉や財産が転がり込んできたような場合、たちまち思い上がって人を見下すようになる傲慢。また、自分は可哀想で虐げられた立場であることを主張し、だから何を言っても許されるのだと思ってしまうこと、被害妄想やルサンチマン的な感情をぶつけることも、また一つの傲慢さなのだ。

そして何よりの問題は、傲慢さと自己顕示欲が掛け算になる時。これがもっとも厄介なわけで、仮にもしメーガン妃に対してそういう見方があるならば、英国に戻って彼女が好感度を取り戻すために一番大事なのは、ひとまず黙ること。心静かに英国の暮らしを喜んで生きることなのではないかと思う。結婚当初は大歓迎を受けていたはず。その時の気持ちを取り戻して、にこやかに笑う。それだけできっと英国は少しずつ受け入れてくれるはずだから。

ここから学べることがあるなら、自分が傲慢で自己顕示欲が強いと人に思われていることに気づいたら、まずは黙ってにこやかに笑うこと、相手の気持ちに心を寄せつつ、相手に関心を持ちつつ。それだけなのだと思う。

一番問題なのは、傲慢さと自己顕示欲が掛け算になる時。自分が傲慢で自己顕示欲も強いと人に思われていることにもし気づいたら、まずは黙ってにこやかに笑うこと! 相手の気持ちに心を寄せながら。

撮影/戸田嘉昭 スタイリング/細田宏美 構成/寺田奈巳

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