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【小瀧望さん】視察?旅行? 難役に挑むためプラハへ!現地で得たものとは

  • 2026.10.15

舞台『ロックンロール』で、激動の時代を生きる青年・ヤンを演じる小瀧望さん。難役に向き合うため、なんと自ら物語の舞台・プラハへ! 現地で感じたことから、ロックを聴き込む役作り、膨大なセリフの覚え方、そして自身にとっての“自由”について伺いました。

小瀧望
1996年大阪府出身。 2014年CDデビュー。俳優としても幅広く活躍し、2020年の主演舞台『エレファント・マン』で第28回読売演劇大賞の杉村春子賞、優秀男優賞を受賞。近年の主な出演作は舞台『DEATH TAKES A HOLIDAY』『梨泰院クラス』『うま-馬に乗ってこの世の外へ-』、ドラマ『刑事7人』シリーズ、『小さい頃は、神様がいて』『未来のムスコ』など。

「めっちゃむずいよ!」の一言で決意。役作りのためプラハへ

僕は舞台のお仕事が大好きなんですが、まず稽古場が好きなんです。サンクチュアリというか、僕にとってすごく神聖な場所です。考えてきたものを稽古場で出して、「お、すごいのが返ってきた」って思うんです。最後の最後まで発見がある場所ですごく楽しいし、真面目に取り組んでみんなに敬意を払う場所。
本番は緊張感や高揚感、臨場感などいろんなものが入りまじりながら、皆さんに目の前で体感してもらう。演劇は観るのも好きですし、出るのも好きです。今回の演出の(小川)絵梨子さんと初めてご一緒した『検察側の証人』で、成河さんや那須(佐代子)さん、斉藤直樹さん、あとテラ(寺西拓人)もですが、スーパー演劇人たちに揉まれた経験。他の作品でもいい演出家、いいキャスト、いい主催、いいプロデューサーに恵まれてきたことが、僕が今、舞台が好きだって思えている理由だと思います。人と人との巡り合わせですね。

基本的に年に1本舞台をやっていたんですが、演出家の藤田俊太郎さんと小川絵梨子さんの舞台は「どっちもやりたいです。どっちも頑張ります。大丈夫です」ってわがままを言わせていただいて、今年は2本やることになりました。
藤田さんとご一緒させていただいた『うま-馬に乗ってこの世の外へ-』の間は、今回の『ロックンロール』の準備には手をつけられなくて。『うま』の稽古中に、今回もご一緒する(大鶴)佐助くんが「のんちゃん、『ロックンロール』の台本読んだ?」って聞いてきたので、「いや、ちょっと今、手一杯。情報を入れたくなくてあんまり読んでないです」って答えたら、「めっちゃむずいよ!」と言うので「なおさら読めない」ってなりました(笑)。
さらに佐助くんが「俺、全然わかんないからチェコに行ってくるよ」と言うので、「マジですか⁉ 佐助くん、チェコに行くの?」って。そんなに難しいなら俺も行ったほうがいいんかなと思って、一人では行けないので、友達に「頼むからちょっとついてきてくれ」ってお願いして、3泊で行ってきました。

「永遠にディズニーみたいな感じ」プラハを訪れて感じたこと、そして役作り

実際にプラハに行って、石畳の景色や歴史的な大聖堂、プラハ城、国民劇場等を見て回って足がパンパンになりました。『うま』のために山形に行った時ほど、勉強という感じはなく、ほとんど旅行。
現地の料理を食べたり、男2人でパドルボートを漕いで川から街の景色を見たり。プラハ城の近くにあるスターバックスが“世界一の景色のいいスターバックス”と言われていて、そこからプラハの街並みを見下ろしたり。

街並みを実際に見られたことは大きいんじゃないかな。街並みを見て、チェコのビールを飲んで、楽しかったです(笑)。プラハの街並みはめっちゃあほなこと言うと、永遠にディズニーみたいな感じ。“美”がずっと続いていて、ゴミ一つ落ちてないんですよ、世界一の街並みと言われてるんですよね。有名なカレル橋は等間隔にすごく綺麗な銅像が並んでいて、とにかく美しかった。見ているだけで「うわー、綺麗。え、何これ?」みたいな感じです。街並みの写真をいっぱい撮ったので、稽古場に貼ってもらうかもしれないです、「こんな感じでしたよ」って。大聖堂のステンドグラスの意味や歴史などを全部追うことはできてないですが、これからいろいろ勉強したいですね。

あとは物語に出てくる音楽の勉強をしないと。やっぱり世代が全然違うんですよね。特に僕はイギリスのロックを通ってこなかったので、いろいろ聴かなきゃいけないと思います。僕が演じるヤンはただロックが好きで、でもそれが奪われるんです。自由にロックを聴けないという、ストレスの2つぐらい上の状態に押し込められる。好きなものや自由を奪われて、当時の政治的、時代的な問題、自分たちの理想やお互いの思いがぶつかりつつ時代が進んでいく。
ヤンは自由でいたいだけだったのに、チェコスロヴァキアの時代の波に引きずり込まれて投獄などいろいろな経験をします。最後は生きたいように生きるというか、光をつかむのを諦めなかった生き様、という感じかな。僕がヤンだったら同じような行動力は持てないかもしれない、もう少し臆病だと思います。
台本をとにかく読み込んで、ヤンとしても小瀧望としても、この期間は本当にロックを好きになるまで聴く、聴き続けるべきだと思っています。その思いがヤンを突き動かしているので、僕もロックを好きになって理解しないとなかなか前に進んでいかないと感じています。物語に出てくるロックはもちろん、それ以外の曲もいっぱい聴いて「小瀧はこのアーティストが好きやな、ヤンはこれが好きやけど」みたいなことも楽しめたらと思います。

「歌うことを禁止されるほうがきつい」小瀧さんにとっての“自由”とは

今回の台本はセリフが膨大なんですが、セリフ覚えは早いほうです。覚える時は家の中でも楽屋でもぐるぐる歩き回ってます。長ゼリフがあったら円を描くように、ずっとその場所をぐるぐる、ぐるぐる。動いていたほうが覚えやすいんですよね。
トム・クルーズや東山(紀之)さんのようにセリフを書いて覚える方法もありますが、今回はあまりにも膨大なのでその方法は大変だなと(笑)。あとはマネージャーに手伝ってもらったり車中で覚えたり。セリフ覚えが早いのはもともとというか、この会社にいたら早くなると思います。セリフだけじゃなくて、ダンスも2日で15曲覚えた時もあるので。覚える訓練はわりとできていると思いますけれど、作品への取り組みはまずセリフを覚えてからの話ですからね。

ヤンは大好きなロックを聴く自由を奪われて立ち上がりますが、僕が奪われたら立ち上がるものは…ウイスキーですね。僕の生活リズムのスイッチでもあるので。家や近くのバーで、「今日も頑張ったな」って一杯やるのがオンオフの切り替えです。ジャパニーズもスコッチも好きですし、ハイボールでもロックでも飲みます、まだ全然詳しくないですけど。

あと、表現も禁止されると厳しいですね。ヤンもそうですが、やっぱり僕も音楽が好きやし、歌うことも好きなので。表現することとウイスキーを禁止されると厳しいです。歌も表現ですし、ドラマも舞台も表現なので。

『ロックンロール』

世界的な劇作家トム・ストッパードによるストレートプレイ作品。小瀧さんは愛するロックンロールと母親を守るため、ソ連軍侵攻に揺れる祖国チェコスロヴァキアへの帰国を決意するケンブリッジ大学の留学生ヤンを演じる。他の出演:村川絵梨 大鶴佐助 上口耕平 那須佐代子 吉原光夫ほか。兵庫公演(11/6~8)に続き、東京公演は11/13~12/6に上演。

 

撮影/古末優一 ヘア・メーク/佐々木麻里子 スタイリスト/村田友哉(SMB International.) 取材/中畑有理

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