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『竜とそばかすの姫』から5年、没入型音楽フェスで体感する〈U〉の世界<ゲネプロレポ>

  • 2026.10.14
アニマーシブライブ『竜とそばかすの姫 - PROJECT LAYRA -』ゲネプロの様子 width=
アニマーシブライブ『竜とそばかすの姫 - PROJECT LAYRA -』ゲネプロの様子

細田守監督の大ヒットアニメーション映画『竜とそばかすの姫』が、現実とアニメーションの境界を超えるライブ体験“アニマーシブライブ”として新たな物語を紡ぐこととなった。没入型音楽ショーとは何か? その実態を目撃すべくゲネプロに参加した。

【写真】圧倒的没入感!アニマーシブライブ『竜とそばかすの姫 - PROJECT LAYRA -』ゲネプロの様子

◆一歩足を踏み入れるとそこは仮想世界〈U〉

開館以来、次々と新しい試みを手掛けるMon Takanawa企画。「アニメ」+「イマーシブ」=「アニマーシブライブ」と名付けられた本作は、『竜とそばかすの姫』から5年後の世界を描く物語。

会場となるMoN Takanawa: The Museum of Narratives Box1000に入るとまず目にするのはステージを中心にした3面の巨大なLEDスクリーン。流されているアニメーション映像から、ここは『竜とそばかすの姫』に登場した超巨大インターネット空間の仮想世界〈U〉で、自分が住人であるアバター〈As〉として〈U〉に参加しているのだということを認識する。

開演30分前からスクリーンでは〈U〉に関する時事ニュースが流され、はじめて足を踏み入れた私たちにも現在の〈U〉がどのような状態かが自然とわかる仕組み。また、“スマホを使った演出があるので準備をしましょう”というアナウンスもあり、開演前から「アニマーシブライブ」自体がかつてない体験になることにワクワクさせられる(スマホの設定があるので開演30分前には入場することをオススメ)。

◆ヒロちゃん(幾田りら)が仕掛ける市場最大の音楽フェスが開幕

映画で描かれた“竜のアンベイル事件”から5年。ベル(声:中村佳穂)のプロデューサーだったヒロちゃん(声:幾田りら)が新たな歌姫LAYRAを〈U〉でプロデュースしているというところからスタート。すでにベルが持っているヒット記録を塗り替えるスターになっているLAYRAだったが、更に多くの人に歌を届かせるため、ヒロちゃんは5年前より更に巨大になった〈U〉で史上最大の音楽フェス〈Utopia〉を仕掛ける。

驚かされたのは現実から仮想世界〈U〉への移行がとてもスムーズなこと。それは視界いっぱいに広がる3面LEDの迫力と、NO MORE Inc.の広屋佑規によるデジタル映像演出によるところが大きい。加えて、違和感なく音楽フェス〈Utopia〉をリアルに楽しめるのは、映像だけじゃなく、照明の華やかさと音響の良さによって身体的に感じられる感動が得られるから。スクリーンをただ観るだけではない体感は得難い。

ゲストアーティストAZKiの歌唱からスタートしたフェス〈Utopia〉は、メインアーティストLAYRAの歌唱へ。Adoとの仕事でも知られるTeddyLoidによるプロデュース楽曲『わたしはLAYRA』を歌うLAYRAの迫力ある歌声で、会場は一気にひとつになる。スクリーンではイラストレーターMika Pikazoがキャラクターデザインを担当したLAYRAが、バーチャル空間ならではのアクションと振り付けで歌い、踊る。これぞまさに映画で見ていた〈U〉の世界。

一気にライブハウスにいる感覚になるのは、MoN Takanawa: The Museum of Narratives Box1000という応用が効く会場の特性を最大限に利用しているから。ステージ前をスタンディングエリアにし、客席でも立ってライブを楽しめるようにするなど、演劇とライブの気持ちよさを計算した絶妙な空間作りはBox1000ならでは。スタンディングエリアでは声をあげ、手を振り上げるオーディエンスも少なくなく、ライブハウスと劇場が同居している不思議な感覚もこの公演の大きな魅力だ。

また、ライブシーンになると事前に設定したスマホの仕掛けが面白いように機能するのも特筆すべきところ。スマホから歌声が響くだけでなく、サイリウムのような点灯や発色をするなど、ステージとリンクした演出は、私たちが現実ではなく〈U〉の世界の〈As〉として存在しているのだと実感させてくれる効果がある。

だが、物語はある出来事によって大きな転換点を迎える。〈Utopia〉が大ピンチが陥るのだ。

◆ライブ? 映画? 演劇? LAYRAが目の前に現れる衝撃シーン

「アニマーシブライブ」が本当に楽しめるのはここから。そこで私たちが目にするのは、LAYRAのオリジンであるコトミが目の前に現れ、圧倒的なライブパフォーマンスを披露する。LAYRA役は各日でキャストが日替わりで出演するが、ゲネプロで登場したのはmiwa。篠田利隆による映像と緒方達郎によるCG映像、山崎彬のライブ演出によって、〈As〉である私たちは特別な瞬間に立ち会っているという感覚に陥る。

miwaが演じるLAYRAはキュートさと繊細さを兼ね揃えつつ、歌唱シーンでは圧倒的な“声”で魅了する。miwaがステージに立った瞬間から文字通りの“ライブ”となったフロアは、そこが〈U〉の世界であることを忘れ、 LAYRA=miwaの歌とダンスにただただ集中している自分に気づく。

公演前までは映画のスピオンオフをどうリアル空間で繰り広げるのか? という疑問もあったが、劇場に足を踏み入れた瞬間からそんな疑問は些細なことで、いつの間にか〈Utopia〉というフェスを楽しんでいた。

映画『竜とそばかすの姫』で掲示された〈U〉の世界。それは時を経て遂に現実に飛び出した。なにより新たなエンターテインメントの誕生に立ち会えるのは単純に嬉しい。そして1度観てしまうと、他の4人のLAYRAも観てみたくなる。miwa以外のキャストも昆夏美、鈴木このみ、みきまりあ、ASCAといったジャンルは違えど実力は折り紙つきの歌姫たちが集う。それぞれ魅力的なLAYRAなのは間違いないだけに、気になって仕方がない。「アニマーシブライブ」はこの先、私たちの新しい遊び場になることだろう。

(取材・文:高畠正人)

アニマーシブライブ『竜とそばかすの姫 - PROJECT LAYRA -』は、11月15日まで東京・MoN Takanawa: The Museum of Narratives Box1000にて開催中。

※出演者、細田守監督のコメントは以下の通り

【ゲネプロ後に行われた出演者及び細田守監督の囲み取材でのコメント】

◆miwa

細田守監督の映画が大好きなのでその世界の一員になれることが嬉しくてオファーを受けました。私はこれまで舞台に出たことがないので(稽古など)想像を超える大変さでした。自分のライブよりも何百倍も緊張しつつ、頑張りました。特にスクリーン上の演出と、現実の世界が融合するなかで自分がどのように役を演じるべきか、その表現は難しかったです。

演出家の方から私は無邪気なところがいいところって言われたので、その無邪気さが自然に出るように反復練習をして、ありのままのLAYRAになれるようにという気持ちで演じています。

ぜひ、原作を見返してお越しいただければより「〈U〉の世界」に没入できると思います。

――これから作品を見に行こうと思われる方へのメッセージ

まずは原作の映画『竜とそばかすの姫』を絶対に見直してからきてください。それと、早く会場に着いてください。開場時から〈U〉の世界に誘う準備が整えているので、そうすると最初の没入感が違います。


◆昆夏美

私自身、とても楽しんで作品の世界に入ることができました。みなさんもきっと何か新しいものを観たという感覚になると思います。新しいエンターテインメントが誕生する一員として選ばれたことに嬉しく思っています。

演じるという部分では普段からやっているんですけど、ライブの要素も大事なので、その温度感をどうするかで悩んだりしています。この作品のパワーをライブを通して私らしく届けたいと思います。

――これから作品を見に行こうと思われる方へのメッセージ

映画がお好きな方も、ライブがお好きな方も、舞台がお好きな方もみんなが楽しめる上手い具合に融合された作品です。観に来て頂けたら150%になって帰っていただけるようなものになっていますので是非、足をお運びください。


◆ASCA

当時、「歌の力は凄い」と思った『竜とそばかすの姫』にLAYRA役として参加できることを嬉しく思います。映画の感動をお返ししたいと思います。

LAYRAを演じるにおいて5色のLAYRAが出ていくことが大切という話を伺いました。LAYRAは私が普段やらせていただいているシンガーと似ている部分もあるので、ひたすらLAYRAの言葉を自分に取り入れて、自分がライブのMCで話しているように繰り返し練習をしました。ぜひ会場まで足を運んで5人の歌とダンスを体感していただけたら嬉しいなと思っています。

――これから作品を見に行こうと思われる方へのメッセージ

スマホの充電をMAXにしていてください! スマホと連動するので事前の充電は大事です。


◆みきまりあ

普段はアーティストをしていて、舞台や演劇は初めてなのでどうしようか悩んだんですけど、監督から「深く考えなくていいよ、ありのままでやればいいよ」と言っていただいたことが印象に残っています。右も左もわからないだけに、ありのままにまっすぐにやろうと思っています。

自分にとって新しい挑戦ができました。是非、5人それぞれのLAYRAを楽しんでいただけたらと思います。

――これから作品を見に行こうと思われる方へのメッセージ

世界初のアニマーシブライブという試みです。歌も演技もダンスも全部やるし、バーチャルとリアルの融合。私たちにとってもみなさんにとっても新しい世界を見えるのではないかと思います。


◆細田守監督(『竜とそばかすの姫』)

今回、ひとりの観客として観させていただきました。非常に新鮮で面白い体験でした。ライブとも、ミュージカルとも、演劇とも違う。それらを融合させ、更にその先へ進化させたようなこれまでにない不思議な体験でした。

『竜とそばかすの姫』をこんなふうに拡張していただけて、みなさんに演じていただけて素晴らしいな、面白いなと思いました。

バーチャルな世界でありながら、生身のキャストが登場するなど、これまでのカテゴリに当てはまらない新しいエンターテインメントだと感じます。

――これから作品を見に行こうと思われる方へのメッセージ

どんなふうな舞台になるのか5者5様のものが観れて、そこがまた楽しい。ひとつのストーリーだけど違う体験ができるというのをみなさんのお話を聞いて思いました。

キャストのみなさんのまた違う面も見られるのも見どころだと思います。

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