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【劇団ヅッカ・マツモトタクロウが潜入】コンプソンズ『善人はなかなかいないっぽい』稽古場レポート

  • 2026.10.9
コンプソンズ#14『善人はなかなかいないっぽい』稽古場の様子 width=
コンプソンズ#14『善人はなかなかいないっぽい』稽古場の様子

コンプソンズ#14『善人はなかなかいないっぽい』が10月15日より東京・下北沢ザ・スズナリにて開幕する。今回、コンプソンズのファンだという劇団ヅッカのマツモトタクロウが稽古場に潜入。愛と熱にあふれた稽古場レポートをお届けする。

【写真】怒濤の会話劇を実力派キャストで展開! コンプソンズ#14『善人はなかなかいないっぽい』稽古場の様子

おはようございます、マツモトタクロウ(劇団ヅッカ)と申します。

皆様、なんと、コンプソンズ、10周年です。

そんな10周年の記念作品………コンプソンズ#14『善人はなかなかいないっぽい』、10月15日〜20日下北沢ザ・スズナリにて全9ステージ。お見逃しなきよう。

◆本題に入る前に

本題に入る前にまず言いたいのが、コンプソンズが僕にとってどういう存在か、ということでして、いろんな場面で、好きな劇団は???、と聞かれますが、大抵、コンプソンズですかね( ◠‿◠ )、と答えます。最初の出会いは2018年、王子小劇場で上演していた『平成三十年のシェイクスピア』。正直内容はあまり覚えてないですが、とにかくナンセンスで、とにかくブラックで、とにかく破茶滅茶で、それでいてとてもドラマチックだった記憶。僕は、ナンセンスでブラックで破茶滅茶でドラマチックなものに目がないので、そこからよっぽどのことがない限りは基本的に毎公演観るようにしている、めっちゃ好きな劇団、それが、僕にとってのコンプソンズ。

そんなコンプソンズ、なんと、10周年です。


◆『善人はなかなかいないっぽい』

さて、FIRST OF ALL、『善人はなかなかいないっぽい』。なんというタイトリングでしょう。

「善人はいない」わけではなく、「善人はなかなかいない」わけでもなく、「善人はなかなかいないっぽい」のです。

複雑で割り切れないこの世界への眼差しから生まれた、なんとも秀逸なタイトリング。

その内容はというと、「戦争反対」のゼッケンをつけて駅前に立ち続ける青年・大介を細井じゅん。そんな彼の思いに共感した女・玲奈を夏アンナ。大介の活動に複雑な思いを抱えながら、ガールズバーに通う父親・秀夫を川島潤哉。同じく大介の活動に苛立ちながら、ガールズバーに通う大介の友人・智也を大宮二郎。そんなガールズバーで働くベテランスタッフ・えりを星野花菜里。同じくガールズバーで働くおしゃべりなスタッフ・明美をhocoten、同じくガールズバーで働くかたわら、駅前で弾き語りをする女性・夕を村田寛奈。そんな夕に話しかける男・麻生を金子鈴幸。そんな街に現れる謎の女・雅子を平田敦子。というなんとも個性豊かな出演者(敬称略)でお送りする、善意と正しさ、過去と現在、現実と虚構が入り混じるナンセンス群像劇です。


◆稽古

僕が稽古にお邪魔したのは、9月中旬。

先述の通り、僕は単なるコンプソンズのファンですので、稽古場に到着してからというもの、終始、ソワソワ、ワクワク、ドキドキという始末。自分がこの後レポートを書かないといけないということはそっちのけで、ただただ楽しんでしまいました。

それにしても、コンプソンズの稽古をこんな間近で見れるなんて!! 白川さん(編集部注:ローチケ演劇担当)、こんな機会をありがとうございます!!

稽古では、立ち位置や動きを整理しながら、順にシーンを返していきます。

冒頭、プロローグ、「戦争反対」のゼッケンをつけた大介のモノローグ、父親とのとある記憶…細井さんの、飄々としつつも絶望を忍ばせる語り、この時点で既に、切なさと不穏さが場を覆います。

そして、玲奈が、そんな大介に話しかけるところから、この物語は始まります。

始まります、と思ったのも束の間、そこからは疾風怒濤の会話劇。サブカルネタと不謹慎なブラックユーモアのオンパレード。そして、過去との行き来や、メタシアター要素も相まって、てんやわんやです。疾風怒濤・コンプソンズ・疾風怒濤。


◆諦念と叫び

とにかく全員がナンセンスにボケ、それを別の誰かが真面目に受け取り、会話がおかしな所へ行ってしまう。

大きな問題について話していたはずなのに、目の前の小さなやり取りさえうまく進まない。

それをゲラゲラと笑っているうちに、あれよあれよと、物語はあらぬ方向へと突っ込んでいき…気づいたら人生と社会の苦しみを描くグロテスクな物語になっている。それがコンプソンズの劇の特徴なのではないでしょうか。

金子さんの描く世界には、根底に「諦め」や「絶望」がある気がします。

なんとグロテスクな世界に生まれ落ちてしまったんだろう、そしてそこに生まれ落ちてしまった自分はなんとグロテスクなんだろう。そんな絶望、そんな諦め。

しかし、そのグロテスクさこそが、現実だろ?とコンプソンズは突きつけてきます。

大きな問題は考えれば考えるほど解決しないし、近くにいる人とだって分かり合えない。どこまで行っても、どうしようもない。その「諦念」の中で、それでも、登場人物たちは足掻きます。足掻くというか、叫ぶ? 叫び?

コンプソンズは、叫び…。

今作には、「演劇で戦争を止められるのか」という直接的な問いが描かれます。演劇で戦争を止められるのか?

10周年を迎えたコンプソンズ、どのような叫びが見れるのだろうか。いちファンとして、マジで本番が楽しみでなりません。

というわけで、コンプソンズ#14『善人はなかなかいないっぽい』、10月15日〜20日下北沢ザ・スズナリにて全9ステージ。お見逃しなきよう

(取材・文:マツモトタクロウ)

コンプソンズ#14『善人はなかなかいないっぽい』は、10月15日〜20日東京・下北沢ザ・スズナリにて上演。

【マツモトタクロウ】
演劇作家/映画監督/劇団ヅッカ代表。1998年岡山県生。2022年に劇団ヅッカを旗揚げし、以降全ての公演の企画/脚本/演出を担う 。
2024年に上演した演劇作品『陽光』が佐藤佐吉賞2024で最優秀作品賞を受賞。監督した映画『ペキ・ペキ・ペキ』が第26回TAMA NEW WAVEある視点部門に選出。そのほか、CMやミュージックビデオの演出なども手がける。

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