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寝かしつけのあとにこっそり描いた…北海道生まれの漫画家が夢を叶えた「ちょっとした勇気」【描き下ろし漫画つき】

  • 2026.10.7

「漫画家は憧れの職業。でも、叶う夢ではないと思っていました」

そう話すのは、北海道生まれ、今も北海道で暮らしている漫画家・東野ねこ先生です。

現在、全書店に配信される電子書籍として「北風と太陽の恋ひ恋ふ日誌」(ライブコミックス)を連載中。
先生の経験も基に、北海道の高校を舞台に、教師や生徒たちの日常をユーモラスに描いたラブコメ作品です。

2024年のデビュー以来、読み切り作品でキャリアを積み、今作品が初めての連載!

精力的に活動している東野先生ですが、実は絵を描くことからは長く離れていたのだといいます。

そんな東野先生が、もう一度「描く」ことを始めた「きっかけ」を聞いてみました。

Sitakke

連載|私のきっかけ

発売日が待ちきれなかった「りぼん」

小さいころから絵を描くことが好きで、漫画を読むのも大好きだったという東野先生。
なかでも夢中になったのが、少女漫画雑誌「りぼん」でした。

「発売日が待ちきれなくて、数日前から書店をのぞきに行っていたほど大好きでした。好きな漫画の模写もよくしていました」と話します。

そんな東野先生にとって漫画家は、幼いころからずっと憧れの職業。
だけど、遠くから、そして紙面の向こうから眺める存在でした。

「子どもながらに叶う夢ではない、と思っていましたし、年齢が上がるにつれて紙に向き合うことは少なくなっていって…大人になると絵を描くことはまったくなくなっていました」

子育てをきっかけに、もう一度「描く」

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「北風と太陽の恋ひ恋ふ日誌」第1話より (左から 若手教師の五十嵐龍太郎と先輩教師の兜森雪乃)

そんな東野先生の転機になったのは、子どもを出産したあとのことでした。

最初のきっかけは子育てエッセイを読むようになったこと。

「私と同じ、子育ての悩みや感動を漫画で表現している方たちの存在をみて『ステキだなぁ』と思ったんです」

子育てエッセイを入口に、次第にSNSでも漫画を読むようになりました。
そこで感じたのが、「昔とはまったく違う」ということ。

絵や漫画を描いてそれを自分で発表することがインターネットやSNSを通じて本当に身近になっていることに気づいたのです。

「気づいたらもう衝動的にiPadを購入していました」

「自分もやってみたい」。デジタルで絵を描くのは初めてでしたが、まずは好きなドラマや漫画のファンアートを描いてSNSに投稿してみたのだといいます。

「初心者の拙い絵だったんですけど『いいね』を押してくださる方々がいて。ものすごく感動したことを覚えています」

自分の描いたものを、どこかで誰かが見てくれて、心を動かしてくれたこと。
そのことが、東野先生をさらに動かします。

寝かしつけのあとにこっそりと

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「北風と太陽の恋ひ恋ふ日誌」第1話より

再び、幼いころに夢中になった「絵を描く楽しさ」に気づいた東野先生。

ただ、当時は産後。子育てはまだ始まったばかり。

「子どもを寝かしつけたあとにこっそり起きて描いていました。もちろん、眠い…!眠気との闘いでしたけど、それでも描くことがとにかく楽しくて仕方がなかったです」

徐々に短編漫画に挑戦するようになると、SNSで編集者から声をかけてもらう機会が訪れました。
それが、漫画家としての現在へとつながっていきます。

「本当にこの時代だからこそ、私でも漫画を描いて発表させていただくことができています。ありがとうございます…と感謝でいっぱいですね」

今も時間との闘いだけど

子育てと執筆の両立は、今も時間との闘いです。

それでも最近は、原稿と家事・育児の切り替えがある、この生活の方がいいと感じるようになったのだとか。

「生活にメリハリがつく感じがして、結果原稿にも集中できている気がするんです」

「オフィス」がわからなくて、「職員室」に

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「北風と太陽の恋ひ恋ふ日誌」第1話より

現在連載している「北風と太陽の恋ひ恋ふ日誌」は、北海道の高校を舞台に「雪女」と恐れられるクール教師と気弱な若手教師のもどかしくも温かい恋模様が繰り広げられるストーリー。

はじめは、編集者からの「ラブコメを描きましょう」という声かけから始まりました。

「社会人ラブコメといえば、オフィスラブかな…」と思ったものの、一般的なオフィスというものが、いまひとつイメージできなかったそうです。

代わりに思いついたのが、「職員室」でした。
実は東野先生は学校勤務の経験があり、イメージしやすい場所だったのです。

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「北風と太陽の恋ひ恋ふ日誌」第1話より 2人の「ラブコメ」はどう動く?

そこから編集者のアイデアも加わり、物語は職員室だけにとどまらず、生徒たちまで登場する学園コメディへ。
作品の世界が少しずつ広がっていきました。

北海道で暮らし、自身の勤務経験から学校現場の「リアル」も描ける、東野先生だからこその作品。

「まだラブコメ要素は薄めなんですけど、そろそろメインの2人を進展させていきたいです」

前髪が気に入らないから「目出し帽」

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「北風と太陽の恋ひ恋ふ日誌」第1話より

作品の第1話には、東野先生が「学校らしさ」を感じる場面があります。
登場するのは、万丈くんという男の子。

なんと、前髪が気に入らないという理由で、目出し帽をかぶって授業を受けるのです。
当然、先生から叱られます。

「『そんな理由で!?』ということが起きるのが、学校の楽しいところだと思っています。自由な生徒たちに、真剣に向き合う教師の龍太郎と雪乃を描けて楽しかったです」

読者からも「くすっと笑える」「このままいやなキャラ出てこないで」という感想がとても印象的だったと話す東野先生。

描くときに大切にしているのは「空気感」です。

「大きな事件が起きる漫画ではありませんが、日々誠実に生きている人たちの漫画になっていればいいなと思います」

北海道のすばらしさを噛みしめて

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「北風と太陽の恋ひ恋ふ日誌」単行本第一巻 表紙

初連載作品の単行本化という、大きな節目を迎えた東野先生。
ここまで来られたのは、とにかく編集者のアイデアと編集力のおかげだと、何度も感謝を口にします。

「漫画編集の仕事って、本当にすごいなぁ…と思う日々です」

そして、今感じているのは生まれ育ってきた北海道のすばらしさです。

「年齢を重ねるほど、この土地のよさを感じて、ここで暮らせる幸せを噛みしめています。今後はこの『北海道』という舞台をもっと生かせる作品を生み出していきたいです」

夢へのきっかけは、特別なことじゃなかった

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「北風と太陽の恋ひ恋ふ日誌」第1話より どうしてこんなことに…⁉

幼いころに憧れた夢。
だけど、「叶わないこと」と一度は追いかけることをやめた夢。
そして、大人になり、叶えた夢。

漫画家として今生きている東野先生が、「きっかけ」をつかむために大切にしていることを聞いてみました。

「ちょっとだけ勇気を出すこと。そして、可能な限り続けること、でしょうか」

自分専用のiPadを買った。
SNSに投稿してみた。
編集者から届いたメールに返信してみた。

「文字にして並べてみると、どれも特別なことには見えないかもしれませんが、当時の私には『勇気』が必要なことでした」

今でも、自信がなくなったり、落ち込んだり、「やめてしまおうかな」と思ったりすることがあるといいます。
でも、それでも最後にはこう思います。

「好きだから、もう少し続けてみよう」

小さな一歩の連続が続く道のりになっていきます。

「細々とでも続けていれば、いつかチャンスが舞い込んでくるかもしれない。またそのときに、もう一度ちょっとだけ勇気を出してみようと思っています」

最後に、東野先生からSitakkeへ、特別描きおろしマンガをいただきました!

Sitakke

連載|私のきっかけ

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文:Sitakke読者編集部たぬき
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は取材時(2026年9月)の情報に基づきます。

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