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街中から1歩入ると、そこは大正時代。ゆったりとした時間が流れる「萬翠荘」へ

  • 2026.10.5

愛媛県松山市の中心部、松山城の麓に、街のにぎわいから1歩入ると静かに佇む洋館があります。大正11年(1922年)に建てられた「萬翠荘(ばんすいそう)」です。現在は、国の重要文化財に指定されています。 愛媛県庁や大街道商店街からも近く、周辺には「坂の上の雲ミュージアム」や「愛媛県美術館」など、松山の歴史や文化に触れられるスポットも集まっています。 今回は、そんな街の中心にありながら、ゆったりとした時間が流れる萬翠荘を訪ねました。

街中から1歩入ると、そこは大正時代。ゆったりとした時間が流れる「萬翠荘」へ
街中から1歩入ると、そこは大正時代。ゆったりとした時間が流れる「萬翠荘」へ

フランス・ルネサンス様式を基調とした、緑の中に佇む洋館

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ことりっぷ

まず目に入るのは、青空に映える白い外壁と、特徴的な屋根の意匠。

萬翠荘は、旧松山藩主の子孫にあたる久松定謨(ひさまつ さだこと)伯爵が別邸として建てたものです。

フランスでの生活が長かった久松定謨の好みを反映し、フランス・ルネサンス様式を基調とした本格的な洋館としてつくられました。設計を手がけたのは建築家の木子七郎(きごしちろう)氏。

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萬翠荘・管理人舎 遠景(写真提供:萬翠荘)

松山城のある城山の麓に建つ萬翠荘。

木々に囲まれた坂道を進んでいくと、緑の向こうに洋館が見えてきます。

大街道のにぎわいから歩いてわずか5分ほど。それなのに、街中とは少し空気が違って感じられるのがおもしろいところです。

アーチやバルコニー。白い外壁に見る、洋館らしさ

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建物を近くで見ると、白い外壁に施された細かな装飾や、アーチを描く窓やバルコニーが目に入ります。

萬翠荘は、フランス・ルネサンス様式を基調とした建物。屋根の形や窓まわりの装飾など、外観のあちこちに西洋建築らしい意匠が見られます。マンサード屋根や連続アーチのバルコニーなども、その特徴のひとつ。

「建築様式」と聞くと難しく感じますが、実際に建物を歩いてみると、細かな装飾を探すたのしさがあります。

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玄関ポーチのペンダントライト。大正レトロな雰囲気漂うランタン型の照明。

少し離れて全体を眺めるだけでなく、近づいて細部を見てみると、また違った表情に出会えます。

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こちらは愛媛県庁本館。松山には「萬翠荘」と「愛媛県庁本館」という建築物があり、設計者はどちらも木子七郎氏(きごしちろう 1884-1955年)。

設計を手がけた木子七郎は、萬翠荘のほか、愛媛県庁本館など、愛媛県内にも多くの建築物を残しています。

萬翠荘から愛媛県庁までは歩いて行ける距離。

松山の街を歩きながら、「この建物も同じ建築家が手がけたんだ」と思って見ると、いつもの街並みもちょっと違って見えてきます。

階段を彩る、帆船のステンドグラス

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館内に入り、階段を上っていくと、まず最初に大きなステンドグラスが目に入ります。

このステンドグラスを手がけたのは、当時のステンドグラス製作の第一人者だった木内真太郎(きうちしんたろう)氏。平成22年度の文化財調査によって、木内氏の作品であることがわかりました。

帆船と波のモチーフは、久松定謨がフランスへ渡った際に見た海原を象徴しているともいわれています。

色の重なり方も美しく、階段を上る途中で足を止めて、しばらく眺めたくなるポイントです。

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萬翠荘 ステンドグラス(2階より) 写真提供:萬翠荘

そしてステンドグラスのある階段ホールは、萬翠荘のなかでも印象的な空間。

木の手すりや赤い絨毯、アーチ形の窓などが重なり、大正時代の洋館らしい雰囲気を感じさせます。フランス風の意匠が、館内のいたる所でも目にすることができます。

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階段を上がった先には、白い壁とアーチ形の開口部が続く廊下。
「どんな部屋が続いているんだろう」と、部屋に入るのがたのしみになります。

100年以上を経ても、今も人が集まる場所

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萬翠荘 第8展示室(謁見の間) 写真提供:萬翠荘

館内には、部屋ごとに異なる装飾が施されています。壁面の装飾、扉の意匠など、洋館ならではのディテールも見どころ。

こちらは、かつての「謁見(えっけん)の間」。現在は「第8展示室」として、展示会などに利用されています。高い天井や赤い絨毯、壁面の装飾など、当時の洋館らしい華やかさが残る空間です。

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萬翠荘 第9展示室(晩餐の間 ) 写真提供:萬翠荘

萬翠荘は、歴史的な建物を保存しているだけの場所ではなく、現在も、絵画や工芸作品などの展示会、個展、コンサートなど、さまざまな文化活動の場としても使われています。

訪れた日も、館内にはピアノの音色が静かに響いていました。大正時代に建てられた建物が、100年以上を経た今も、展示や音楽をたのしむ場所として使われています。

そんな「今も生きている建物」というところも、萬翠荘の魅力なのかもしれません。

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「萬翠荘」へは、市内を走る伊予鉄道の「大街道」電停から徒歩約5分。

JR松山駅からは伊予鉄道市内電車で約15分、松山市駅から約10分、道後温泉駅から約10分。松山の街歩きとあわせて訪れるのにもぴったりです。

散策の最後は「愛松亭」でひと休み

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愛松亭「漱石珈琲店」 写真提供:萬翠荘

萬翠荘を見学したあとは、敷地内にある「漱石珈琲店 愛松亭」へ。

かつてここには、夏目漱石が松山中学の英語教師として赴任した際に下宿した「愛松亭」がありました。現在は、その場所に小さな珈琲店があります。 木立に囲まれた店内では、「愛媛県産フルーツパフェ」や「マドンナ珈琲」など松山ならではのメニューも味わえます。

洋館を眺め、歴史を感じたあとは、ここでひと休み。松山の中心部にいながら、時間がゆっくり流れているような気分になれる場所です。愛媛を訪れた際は、松山の街を歩きながら、ここでしか味わえないゆったりとした時間を過ごしてみてください。

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