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お誂えの楽しみ|世界に一つだけの特別な着物

  • 2026.10.3
KEITA(FLAME)

自分好みの特別な一枚を作る「お誂え」。着物好きならば一度はチャレンジしてみたいものですが、どんなふうにオーダーしたらよいか分からず、最初の一歩が踏み出せない人も多いはず。

着物愛好家からの信頼も厚い髙島屋呉服サロンのスタッフの方に、お誂えをするうえでのポイントについて伺いました。

丁寧な対話が成功のカギ

お誂え初心者であるならば、まずは信頼できる呉服店のスタッフと対話を重ねることが成功へのいちばんの近道といえるでしょう。

「お話を伺っていくうちに、お客様ご自身も気が付いていなかったご要望が浮かび上がってきたり、新しいアイデアが生まれたりすることもあります。私たちスタッフもこれまでの経験を生かし、より素敵に仕上がる提案ができるよう心掛けています。せっかくのお誂えですから、あれこれと悩みつつ、完成に至るまでの過程も楽しんでいただきたいですね」と語るのは、髙島屋呉服サロンのスタッフの小池直美さんです。

とはいえ、イチからすべてを決めていくのはなかなかハードルが高いもの。おすすめは、店頭にある商品のなかから好みに近いものを選び、それをもとにアレンジを加えていく方法です。完成イメージが掴みやすいうえに、自分だけのものという特別感も味わうことができます。

アレンジには、おおよそ下記のような方法が考えられます。

・店頭にある商品から、アクセントカラーや地色など、色みを一部変更

・商品に刺繍などの加飾をして華やかさをアップ

・愛着のあるモチーフを加える

・身長や体型に合わせて柄の配置を変える

・着用シーンや好みに合わせて、柄の多寡を加減する

ここからは髙島屋呉服サロンで手掛けた、素敵なお誂え実例を紹介していきます。

しゃれ紋で遊ぶ“メキシカン”な付けさげ

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サボテンの花という、珍しいモチーフが目を引く付けさげは、もともとは江戸染繍の名門「大羊居」が以前作った訪問着からアレンジしたものだそう。

「ほかにはないモチーフを気に入られたお客様から、デニム感覚で気軽に着て楽しみたいとリクエストをいただきました。そこで『龍村錦帯』の間道(かんどう)の袋帯で、あえてカジュアルにコーディネートいたしました。また、せっかくのお誂えですから遊び心を加えてはと思い、付けさげにしゃれ紋を入れることをご提案してみました」と小池さん。

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背にはメキシコをイメージさせるテンガロンハットと髭をデザインした楽しい刺繍紋を入れています。紋の大きさは通常男性の場合は一寸、女性は五分ほどですが、あえて少し大きめの八分にしてさりげなく主張しています。着物の模様と紋をリンクさせた楽しい一枚です。

愛猫のモチーフが彩る道行コート

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江戸染繍の名門「大羊居」の過去の見本帳から選んだという「彩陶青海」の模様は、その名の通り陶器の皿を連ねて青海波に見立てたデザインです。しゃれた洋皿には、依頼された方の愛猫やお嬢様の好きな馬のモチーフを忍ばせて、唯一無二の道行コートに仕上がっています。

道行コートの背中の模様。しゃれた洋皿の模様には、お嬢様が大好きという馬のモチーフも取り入れられています。 KEITA(FLAME)
道行コートの羽裏。東京手描友禅の技法で丁寧に表されています。 KEITA(FLAME)

「羽裏にはお客様のアイデアを生かし、ピョンと飛び跳ねる愛猫3匹とそのシルエットを“波”のようにデザイン化して表現しています。表地の青海波ともリンクして、とても素敵ですよね。こんな遊び心を装いに取り入れることができるのも、お誂えならではでしょう」

男女お揃いで誂えた「松竹梅」の掛け着

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赤地と黒地の2点の掛け着は、着物好きのお祖母様がお孫さんのために誂えたものです。生まれるお孫さんが“男女の双子”と判明した時点で、お宮参りに間に合うように注文されたそうです。

赤地の女児用の掛け着は、まっすぐな竹を着物全体に伸びやかに描き、肩には愛らしい梅の花を。黒地の男児用の掛け着は、竹模様は女児と同様に揃え、肩には松をあしらっています。

背中の刺繍紋。女の子は鴇(とき)色の濃淡、男の子はオレンジ色の濃淡と、それぞれ色みも変え、細やかな配慮が行き届いています。竹葉には宝尽くし模様を詰め、華やかさとおめでたい雰囲気を添えています。 KEITA(FLAME)
巳年生まれにちなみ、掛け着や付紐に鱗模様をさりげなく取り入れています。 KEITA(FLAME)

「二人が揃うことでおめでたい「松竹梅」の意味になるようデザインされています。掛け着の紐も、巳年にちなみ、魔よけの意味もある鱗模様に。お誂えだからこそ細部までこだわって作ることができる、特別なお祝い着です」と小池さんは言います。

おしゃれを楽しむための気軽なアレンジから、慶事の特別な一枚まで、お誂えの実例を挙げて紹介しました。これらを参考に、あなた好みのお誂えにチャレンジしてみてはいかがでしょう。

髙島屋呉服部が答えます

◯着物にまつわるお便りを毎月お届け。

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