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【中尾ミエさん・80歳】自分にとって最後のミュージカルができれば、満足のいく芸能人生になるんじゃないかな

  • 2026.10.3

【中尾ミエさん・80歳】自分にとって最後のミュージカルができれば、満足のいく芸能人生になるんじゃないかな

80代を迎えてもなお精力的に活動を続けているミエさん。11月に公開される映画、現在出演中のミュージカル秘話から、この先の“終活”まで近況報告と今の思いをたっぷりと!

中尾ミエさん
なかお・みえ●1946年、福岡県生まれ。
62年「可愛いベイビー」でデビュー。
歌手だけでなく俳優としても映画や舞台などに多数出演し、バラエティ番組でも幅広く活躍。
著書に『60代から女は好き勝手くらいがちょうどいい』(和田秀樹さんとの共著/宝島社)など。

学びたいという気持ちに年齢も国籍も関係ない

ありがたいことに、この年になってもさまざまなお仕事のチャンスに恵まれ、脳も体もフル稼働。慌ただしい毎日を送っています。

その一つが、11月6日に公開となる映画『星の教室』。私は夜間中学の生徒役で出演しています。

夜間中学に通うのは年齢も国籍もバラバラな人たち。私の役どころは、12歳のときに働くために韓国から日本に連れてこられた女性です。関西を舞台とした物語だから、もちろん関西弁。それだけでもひと苦労なのに、私は韓国語なまりの関西弁を話さなきゃいけない。これが本当に大変でした。

演じるにあたって、夜間中学の見学にも行きました。生徒は幅広い年代の人たちだから、イジメなんて一切ない。むしろ本気で学びたい人が集まってくるから、先生たちも教えがいがあるし、楽しいとおっしゃっていました。

学びって、それが本質じゃないかと思うんです。自分が学びたいと思ったときに、学びたいものに出合う。私も中学しか出ていないから、こういう学校で改めて学んでみたいなと思いました。

それに、いろんな年代の人と交われる場所って、なかなかないじゃない? でも夜間中学のような学校は、それができる環境。教科の勉強だけでなく、人生についての話もできるから、大きな学びが得られるはずです。

夜間中学はあまり知られていないかもしれませんが、この映画を通して多くの方に知っていただけたらうれしく思います。

『星の教室』

ベストセラー作家・髙田郁の同名小説を原作に、日本映画界の伝説・角川春樹がラストとなる総監督作品として手がける希望と感動の物語。さまざまな事情で義務教育を終えられなかった大人たちの集う“夜間中学”を舞台に、人生につまずきながらも再び希望を見出していく人々の姿を描く。

監督/中川龍太郎 総監督/角川春樹
原作/髙田郁『星の教室』(角川春樹事務所)
出演/桜田ひより、浅野温子、中尾ミエ、山本學 他
11月6日(金)全国公開
©2026映画「星の教室」製作委員会

大変な思いをしてこそ自慢できる作品になる!

そしてもう一つは、9月8日に幕を開けたブロードウェイミュージカル『ファニー・ガール』。東京公演は終了していますが、10月から大阪、福岡、愛知と全国公演が控えています。

この作品は1964年にブロードウェイで初演されたミュージカル。実在した女優、ファニー・ブライスの半生を描いた物語で、私は主人公・ファニーの母親役です。母親役だから大したことはないだろうと思っていたら、これが大変! ただ歌っていればいいと思っていたのに容赦なく振り付けされるし、やたらと出番が多くて、共演の方々からも「え!? ミエさん、出番多くありません?」と言われました。「本当よねぇ」なんて言いながら、日々頑張っています。

歌も振り付けも理屈じゃなく、体で覚えるしかありません。私は幸いにもデビュー時から歌と並行してお芝居もダンスもバラエティもやっていました。今、それが全部役に立っていると感じます。

それに、何をやるにしても、大変なことをやらないとお客さんにも楽しんでもらえないでしょう? 大変なぶん胸を張って「観に来て!」と言えるし、大げさに言えば「生きている」という実感にもつながります。

ミュージカルといえばブロードウェイが本場ですが、私はずっと「日本製のミュージカルをつくりたい」と思っていました。ようやくチャンスを得て上演したのが、『ヘルパーズ!~あなたがいる風景~』や『ザ・デイサービス・ショウ』、私、中尾ミエプロデュースのオリジナルミュージカルです。

そして来年、自分がプロデュースする最後のミュージカルをやりたいと思っています。「最後の作品はこの人たちとやりたい」という思いはあるけれど、みんな年寄りばかりだから、生きていてくれるだけで半分は成功です。

年を重ねたからこそできる、私の芸能生活の集大成。最後の最後まで悔いなくやりきる……それが一つの終活だと思っています。

ブロードウェイミュージカル『ファニー・ガール』

女優を目指すファニー・ブライス(望海風斗)は、母(中尾ミエ)から反対されつつも、持ち前のユーモアと根性でスター街道を駆け上がる。ハンサムなニック(坂本昌行)と恋に落ち結婚するが、ニックは詐欺罪で逮捕され……。

[公演スケジュール]
10月9日(金)~18日(日)
大阪・梅田芸術劇場メインホール
10月24日(土)~11月1日(日) 福岡・博多座
11月10日(火)~15日(日) 愛知・御園座
製作:東宝/ワタナベエンターテインメント

取材・文/本木頼子

※この記事は「ゆうゆう」2026年秋号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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