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60代男性「帰れますか?」山でハイキング中に転倒→救急搬送されるも…痛みよりも男性を悩ませた“想定外の誤算”

  • 2026.11.6
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

行楽先でけがをすると、痛みや治療のことだけでなく、「このあとどうやって帰るのか」という問題まで一気に出てくることがあります。

今回は、ハイキング中に転倒した60代男性が、搬送前に何度も同じことを気にしていた事案をご紹介します。

ハイキング中に手首を負傷

60代男性がハイキング中に転倒し、手首を負傷したとして妻から救急要請が入りました。

現場へ到着すると、男性は手首に強い痛みを訴えていました。

どのように転んだのか、どこをついたのか、指は動かせるかなどを確認しながら状態を観察しました。

痛みの強さや受傷した状況から、骨折している可能性も考えられました。

救急隊としては、医療機関で詳しく診てもらった方がよい状態です。

そのことを男性へ説明しました。

すると男性は、

「診察だけで帰れますか」
「この手は動かせますか」
「ここから病院は近いですか」

と、搬送後のことをしきりに確認してきました。

けがの痛み以上に、何か別のことを気にしているようにも見えました。

男性が本当に心配していたこと

私たちは、まずはけがの状態を医療機関で確認することが大切だと説明しました。

ただ、それでも男性は帰宅できるのか、どのくらい離れた病院へ行くのかを何度も気にしていました。

そこで、

「何か心配なことがありますか」

と尋ねました。

すると男性が気にしていたのは、ハイキングに来るために乗ってきた車のことでした。

夫婦は遠方から車で来ており、駐車場に車を残しています。

もし病院へ搬送されたあと、自分が運転できなければ車をどうすればよいのか。

そのまま駐車場へ置いておいても大丈夫なのか。

男性は、そのことが心配で仕方なかったようでした。

「まずは体を診てもらいましょう」

行楽先で突然けがをすれば、車や荷物、帰宅方法のことが気になるのは無理もありません。

ただ、救急隊がその場で「診察後に運転できます」と答えることはできません。

骨折している可能性がある以上、まずは医療機関で状態を確認する必要があります。

男性には、

「駐車場のことは管理事務所へ問い合わせて確認するのが一番だと思います」

と伝えました。そのうえで、

「車のことも心配だと思いますが、まずはご自身の体を診てもらいましょう。運転するにしても、体の状態が整っていなければ難しいです」

と説明しました。

男性も話を聞くうちに少しずつ納得した様子で、最終的には医療機関への搬送を了承してくれました。

受け入れ先を決め、手首に負担をかけないよう注意しながら救急車へ収容しました。

搬送中に大きな容体変化はなく、到着後は転倒した状況や手首の状態などを医師へ申し送りました。

行楽先では「その後」も不安になる

今回の男性は、病院へ行くこと自体を嫌がっていたわけではありません。

けがをしたあとに残される車をどうするのか、診察後に自分で運転して帰れるのかが、大きな不安になっていました。

救急現場では、傷病者が受診をためらっているように見えても、理由を聞くと治療とは別の問題を心配していることがあります。

特に行楽先や旅行先では、車や荷物、帰宅方法など、自宅とは違う悩みが出てきます。

そうした事情を聞きながらも、まず何を優先すべきなのかを一緒に整理することが大切です。

回も、男性の心配を聞いたうえで、まずはけがの状態を確認することが最優先だと説明し、搬送につなげることができました。

本人が何を不安に感じているのかを知ることも、救急現場では大切だと改めて感じた事案でした。


ライター:とし

元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。
現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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