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老人ホーム入所者「悪いけれど手伝ってほしい」いつも真面目な男性→日を重ねて見せてくれた“意外な素顔”に「嬉しかった」

  • 2026.11.4
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

有料老人ホームに入所された男性利用者様。入所当初は居室で過ごされることが多く、どこか緊張した様子も見られました。

しかし、日々の生活を重ねるうちに、過ごし方やスタッフとの関わりにも少しずつ変化が見られるようになりました。今回は、利用者様との日々の関わりのなかで、心に残った出来事をご紹介します。

笑顔の奥に感じた緊張感

有料老人ホームで働いていたときの出来事です。

身体の衰えや持病をきっかけに、入所された男性利用者様がいらっしゃいました。

認知症はなく、身の回りのことはほとんどご自身でされている方でした。

日中のラウンドで居室を訪れると、読書や調べ物をされている姿をよく見かけました。

「昔の仕事のことが気になってね。退職したけれど手を動かしたくなっちゃって」

いつも何かに取り組まれている姿から、まじめな印象を受けました。

スタッフにはいつも笑顔で接してくださいましたが、どこか緊張した様子も感じられました。

利用者様の新しい環境での生活は始まったばかりです。

どのような思いで毎日を過ごされているのだろうと、考えることもありました。

少しずつ変わっていった日々の過ごし方

入所から時間が経つにつれて、利用者様の過ごし方にも少しずつ変化が見られるようになりました。

それまでは机に向かって作業されていることが多かったのですが、ラウンドで居室を訪れると、昼寝をされている日も増えていきました。

お菓子をつまんでいたり、電話で楽しそうに話されていたりすることもありました。

また、施設内での体操やレクリエーションに参加される機会も増えていきました。

顔馴染みになった他の利用者様とフリースペースで談笑されている姿を見かけることもあり、

入所当初とは違う一面を知ることができました。

日々の過ごし方だけでなく、スタッフとの関わり方にも変化が見られるようになりました。

「悪いけれど、部屋の片づけを手伝ってほしい」

「背中にクリームを塗ってほしい」

以前は身の回りのことをご自身でされていましたが、少しずつスタッフに手伝いをお願いされるようになったのです。

遠慮がちな言葉ではありましたが、必要なときに頼ってくださることが、わたしにはうれしく感じられました。

日々の関わりを重ねるなかで

過ごし方の変化とともに、わたしの印象に残っているのは、利用者様の表情です。

入所当初は笑顔で接してくださったものの、どこか緊張した様子がありました。

しかし、日が経つにつれて、何気ない場面でも穏やかな表情を見せてくださることが増えていきました。

施設での暮らしに少しずつ慣れ、以前よりも安心して過ごせるようになったのかもしれません。

もちろん、実際にどのような思いで過ごされていたのかは、ご本人にしか分かりません。
それでも、少しずつ変わっていく姿を見られたことは、わたしにとってうれしい出来事でした。

入所当初には見られなかった表情や、スタッフを頼ってくださる姿。

そうした小さな変化から、時間をかけて関わることの大切さを改めて感じました。

利用者様との関係は、一度の会話や関わりだけで築けるものではありません。

すぐに距離を縮めようとするのではなく、ご本人のペースを尊重しながら関わっていくこと。

介護士として、そんな日々の積み重ねをこれからも大切にしたいと感じた出来事でした。


文:しまむら けいこ/介護福祉士・Webライター

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在も介護職として働くかたわら、Webライターとして活動。介護や暮らし、働き方について発信している。2児を育てるワーキングマザー。


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