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日本初演から20周年を迎えた今年、宙組『エリザベート』を観劇する幸福

  • 2016.8.13
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前回、今年は『エリザベート』の当たり年であると書きましたが、もう一つの『エリザベート』である宝塚歌劇の宙組公演に行ってきました。ウイーン・ミュージカルだった『エリザベート』の日本初演から、なんと今年で20周年。宝塚歌劇での再演は、これが9回目となり、上演回数は1000回に達するといいます。実在したエリザベート皇后は、悲劇的な人生を送り、まるで死に焦がれていたようだった、というところから、黄泉の国の帝王であるトートとのロマンス物語がうまれたといいます。20年前、宝塚歌劇で上演する際、人間ではないトートは、両性具有(アンドロギュヌス)的な存在。となると、男性が演じるよりも、宝塚歌劇の男役、すなわち女性が演じた方が、もっとミストリアスで美しく、エリザベート皇后との愛憎関係をドラマティックに見せることができるはず、と潤色・演出の小池修一郎氏はいっています。

歴代のトップスターが演じてきたトートを、今回は宙組トップスター、朝夏(あさか)まなとさんが担当。ビジュアル系ロックスターのように現代的でスタイリッシュなトートになっています。娘役スター、実咲凛音(みさき・りおん)さんのエリザベート皇后は、危うさの中に強さを秘めた雰囲気。フランツ役の真風涼穂(まかぜ・すずほ)さんは、美しくカッコよくてうっとり。役替わりのルドルフでは、蒼羽(そらはね)りくさんが、みずみずしい歌と、ガラス細工のような演技を披露。日本での初主演が、宝塚歌劇以外だったら、ここまでのヒットはなかったかもしれない、といわれているのにも納得です。

『エリザベート』にでてくる台詞、歌詞は、そのほとんどがネガティブで辛辣でグロテスク。だけど、そんな中に、人間の弱さやズルさが見え隠れし、共感したり、ほっとしてしまうのは私だけでしょうか? ものごとは短絡的に捉えてはいけない。美しさは、狂気と紙一重の危ういバランスの上に成り立っている、などといったことなどを今回もまた私に提示してくれました。

以前にも、エリザベート皇后が、歴代きっての美容マニアだったことを書きましたが、若さも命も永遠のものではないことは、昔も今も変わりません。でも、だから古より人々は、永遠の若さや美しさに畏敬の念を抱き、少しでも若々しく、少しでも美しく......と欲を抱き、もがき苦しみ、ときには傲慢ともいえる手段にでてきたのです。そんなところにもシンパシーを感じるこの作品。美容ジャーナリストであることはさておき、単なる"宝塚歌劇マニア"として綴ってきた「タカラヅカンゲキ」も今回で幕を下ろすことになりました。私の観劇人生と、美とアンチエイジングへの探求は、これからも続きます。長い間、ありがとうございました。