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「最後の飼い主になる」老犬を引き取った叔母。数十年後、臨終の病室で「今日ね」家族が震えた理由

  • 2026.9.28

友人から聞いたお話です。市役所を定年退職し、穏やかな毎日を送っていた友人の叔母が紹介された一匹の高齢犬。看取ってあげられるかもしれないと覚悟を決めた叔母と犬が過ごした日々。そして年月が流れ、叔母が人生の最期を迎えようとしていたとき、不思議な出来事が起こったそうです。

「あと数年なら、私でも看取ってあげられるかも」

市役所を定年退職したある日、叔母に、元同僚から「犬好きだったよね?」と連絡が入りました。聞けば、飼い主だった女性が施設に入り、犬の引き取り手が見つからないとのこと。しかも高齢で病気もあり、残された時間は長くないかもしれないといいます。

叔母は「この年齢で、病気の犬を飼えるかしら」と迷いながらも会いに行くと、部屋の隅で小さく丸くなっていた一匹の犬と目が合い……なぜか放っておけなくなりました。

「この子の最後の飼い主になろう」こうして叔母とハナ(仮名)の暮らしが始まりました。

「残りの時間を、楽しいものにしてあげたい」

ところがハナは、なかなか叔母に懐きません。近づけば不安そうにこちらを見て、どこか人の顔色をうかがっているようでした。「今まで、あまり甘えられなかったのかな」そう思った叔母は、ハナとできるだけたくさんの思い出をつくることに。海へ行き、山へ行き、犬と泊まれるペンションへも出かけました。

少しずつ心を開いたハナは、いつしか自分からそばに来て、叔母の膝に顎を乗せるように。その仕草を見るたび、「うちに来てくれてよかった」と思ったそうです。

最後も、いつものように顎を乗せて

そして、とうとう別れの日がやってきました。すっかり弱ったハナは、叔母の手にそっと顎を乗せました。それは、甘えたいときに叔母に何度も見せていた、いつもの仕草。「大丈夫だよ。ずっとここにいるからね」「最後の飼い主になる」と決めて迎えた叔母。その約束どおり、ハナの最期を見届けました。

それから長い年月が流れ、今度は叔母自身が病院のベッドで過ごすようになりました。

「私も、そろそろかしらね」

意識が遠のく時間が増えていたある日、叔母は家族にぽつりと話しました。「今日ね、あの子がお見舞いに来てくれたの」と。「あの子」とは、ずっと昔に看取ったハナのことでした。そしてほどなくして、叔母も旅立ちました。

叔母が最期に何を見たのか、本当のことは分かりません。ただ、「最後の飼い主になる」と覚悟を決めた叔母を、ハナもずっと覚えていたのではないかと思うのです。今ごろ二人で、またいろいろな景色を見ながら旅をしているような気がしています。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:島田歩実
元銀行員として、女性のキャリアやお金にまつわるあれこれを執筆中。アメリカへの留学経験もあり、そこで日本社会を外から観察できたこともライターとしての糧となる。現在はSNSなどを介してユーザーと繋がり、現代女性の声を収集中。

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