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“死神”を通して知る、生きることの愛おしさ。映画『時給三〇〇円の死神』

  • 2026.9.29

もし、ロスタイムがあるならば

©2026 藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

もし人生に、もう一度だけやり直せる時間が与えられたら何をするだろうか。会いたかった人に会うのか、伝えられなかった言葉を届けるのか。それとも、ただ当たり前だった日常をもう一度味わうのか。映画『時給三〇〇円の死神』は、そんな誰もが一度は考えたことのある問いを、優しく、切実に描き出す。

主人公は、家族の問題や失恋によって人生に絶望していた大学生・佐倉真司(役/西畑大吾さん)。ある日、同級生の花森雪希(役/福本莉子さん)から“時給300円の死神”という不思議なアルバイトに誘われる。仕事の内容は、未練を残したまま亡くなった人々に与えられる“ロスタイム”に寄り添い、あの世へ送り出すこと。

登場するのは、無邪気な小学2年生の少女、わが子の顔を見られないまま亡くなった母親、そしてどこか諦めたような眼差しで川辺に座り続ける少年。彼らはいずれも“死者”なのだけれど、その願いは決して大げさなものではない。誰かに会いたい、気持ちを伝えたい、もう一度だけ確かめたい。そんな小さな心残りばかり。

©2026 藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

死者たちが望むのは、人生を劇的に変える奇跡ではない。彼らの姿を通して、観ているこちら側もまた自分の日常を見つめ直すことになる。

西畑さんは本作について「『死』が残酷で儚いだけではなく、『生』と『死』の美しさも感じられる作品」と語り、福本さんも「『死』があるからこそ今を大切にしようと思える作品」とコメントしている。その言葉こそが、この映画の本質なのだろう。

“死”を描く映画でありながら、“今を生きること”を肯定する物語。今日という一日が、少しだけ愛おしく感じられる一本。

【10月2日公開】映画『時給三〇〇円の死神』

©2026 藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

出演/西畑大吾 福本莉子

渋谷凪咲 齋藤潤 泉谷星奈 佐津川愛美 ほか

原作/藤まる「時給三○○円の死神」(双葉文庫)

監督/酒井麻衣

製作幹事・配給/ギャガ/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

gaga.ne.jp/jikyu-300movie

TEXT=南雲凛子

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