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「甘いものかしら!」どんなに記憶が曖昧になっても、好みはブレないようで<母の認知症介護日記>

  • 2026.9.29

アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。
母・あーちゃんと散歩中、気に入った洋服を見つけ、試着をさせてもらったワフウフさん。そのまま購入することにしました。クレジットカードで支払ったところ、横で見ていたあーちゃんが「そのカードなあに?」と不思議そうな顔をして聞いてきました。そして、現金のやりとりがなかったからか「そのカードがあれば、お金を払わなくてもいいの?」と言ってきたので、ワフウフさんは驚きつつも「クレジットカードだよ!」と答えました。あーちゃんは納得したように「クレジットカードね!」と言っていました。しかし、その表情からおそらく理解できていないだろうと、ワフウフさんは悟っていました。78歳の母が以前のようには物事を理解できなくなっていることを、改めて認識した瞬間でした。

寒がりで冷え性のあーちゃん。自宅では寝るときにあんかを愛用していましたが、施設ではあんかなどの暖房器具を部屋に持ち込めないルールとなっているため、足の冷えを防ぐとうたっているハイソックスを履かせ、大きなカイロを毛布と布団の間に入れるなどして、パジャマを今よりも温かいものに替えて……と、ワフウフさん姉妹も工夫をしています。ハイソックスは、お出かけ中にあーちゃんが履いて、何度も「温かい!」と言うので、ワフウフさんは張り切って追加で買おうとしていたのですが……。翌日、姉・なーにゃんが面会に行ったときには、靴下の存在すら忘れていました。その後、改めてワフウフさんが靴下の話をすると、今度は「施設は家と違って温かいから、いらない」と言われてしまい、あーちゃんが寒いのかどうかわからず、ワフウフさんは困惑してしまいました。

「温かい!」と言っていたのに…

日常的にウィッグを着けることがなくなったあーちゃん。薄毛になっているので、帽子を買ってあげました。

なかなか似合っていると思います。

実は昔、長兄に「おまえはブスだから帽子が似合わない」と言われて以来、あーちゃんは帽子がトラウマで、最初は「いらない」と言っていました。でも、いろいろ試しているうちに気が変わって、お買い上げ。

お出かけにもかぶっていき、「帽子をかぶると温かいのよ」と気に入っている様子だったのですが……。

数日後。父からブスだから帽子が似合わないと言われたと言い、着用を断固拒否。なぜか、何十年も前の長兄の発言が、父の発言にすり替わってトラウマが復活していました。

※たんたん:ワフウフさん姉妹の実父。あーちゃんの夫。

父、濡れ衣を着せられています。

しかし、父は「帽子が似合わない」以上の暴言を吐き続けてきたので、これくらいの濡れ衣ならたいしたことはありません。

商店街を歩いていると、あーちゃんの足が止まりました。めずらしく、果物ではなくスモークサーモンの前です。

スモークサーモンを見て「食べたいなー」とつぶやくあーちゃん。

「ワサビとお醬油をつけて……」と言っていて、どうやらサーモンと勘違いしているようです。

そこで、姉・なーにゃんが「お刺身が食べたいの?」と聞きますが、自分から言ったわりには食いつきがイマイチ。

そこで、もう一度なーにゃんが「何が一番食べたい?」と聞くと……。

「やっぱり、甘いものかしら」と即答。どんなに記憶が混同していても、ここはブレません。

もともとパンが大好きなあーちゃんですが、最近はシンプルなパンではなく、いわゆるスイーツ系のパンを選びたがります。それも「パン」が食べたいのではなく「甘いもの」が食べたいんだろうな……。

日常的にウィッグを使うことが減ったあーちゃん。だいぶ薄毛になっているので、帽子を買ってあげました。実は昔、長兄に「おまえはブスだから帽子が似合わない」と言われて以来、あーちゃんは帽子がトラウマになっていました。そのため、最初は「いらない」と言っていたのですが、いろいろ試しているうちに気が変わったようで、お買い上げ。お出かけでも愛用していて「髪が薄くなっちゃったから、帽子をかぶると温かい」と言い、気に入っている様子だったのですが……。

数日後。「私、夫にブスだから帽子は似合わないって言われたのよ! 絶対かぶりたくないわ!」と着用を断固拒否。なぜか、何十年も前の長兄の発言が、父の発言にすり替わってトラウマが復活していました。父、濡れ衣を着せられています。でも、父は「帽子が似合わない」以上の暴言をあーちゃんに吐き続けていたので、この程度の濡れ衣ならたいしたことはありません。最近のあーちゃんは、こんなふうに言うこともやることもコロコロ変わっていて、私たち姉妹は翻弄されています。

でも、そんな状態でもブレないこともあります。先日、商店街を歩いていたときに、めずらしくスモークサーモンの前であーちゃんの足が止まりました。「食べたいな……。ワサビとお醤油をつけて」と言うので、普通のサーモンと間違っているのかと思い、姉・なーにゃんが「お刺身が食べたいの?」と聞くと「まあそういうのも食べたいけど……」と、自分で言ったわりには食いついてきません。そこで「じゃあ、何が一番食べたい?」となーにゃんが尋ねると、あーちゃんは「やっぱり、甘いものかしら」と即答。「甘いものが食べたい」というのは、絶対にブレないようです。

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記憶や気持ちが行ったり来たりして、帽子ひとつにも翻弄されるのは大変だと思います。そうした中でも「甘いものが食べたい」という、いつだってブレない「あーちゃんらしさ」が残っていることに、ちょっとホッとするのではないでしょうか。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

シニアカレンダー編集部では、自宅介護や老々介護、みとりなど介護に関わる人やシニア世代のお悩みを解決する記事を配信中。介護者やシニア世代の毎日がハッピーになりますように!


著者:マンガ家・イラストレーター ワフウフ

ベビーカレンダー/シニアカレンダー編集室

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