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「世界で最も景色が美しいサッカースタジアム」絶海の孤島、アジアの城塞、北極圏まで

  • 2026.9.26

世界には、試合を観るだけではもったいないスタジアムがある。数万人を収容する巨大アリーナだけが、サッカーの魅力を伝える場所ではなく、そこにしかないような風景が広がるスポットも存在する。

今回は『FourFourTwo』から、「世界で最も景色が美しいサッカースタジアム」をご紹介する。

ヘニングスヴァール・スタディオン

画像1: (C)Getty Images
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場所:ノルウェー/ヘニングスヴァール

まるで海に浮かぶ島に、ピッチだけを置いたかのよう。ノルウェー北部、ロフォーテン諸島の漁村ヘニングスヴァールにあるこのグラウンドは、世界で最も美しいサッカー場の一つとして知られる。

上空から撮った写真を見れば、立地の異様さは一目で分かる。ごつごつした岩に囲まれた小島の真ん中に、鮮やかな緑の長方形。大きなスタンドも商業施設もなく、あるのは海と岩とピッチだけ。

そのそばには、魚を干すための木製の棚が並ぶ。この地域は古くからタラ漁が盛んで、干物は地元の重要な産業だった。サッカー場のすぐ隣に、漁村の日常がそのまま広がっているスタジアムだ。

北極圏に近いため、夏は白夜の季節を迎える。子どもたちは夜遅くまで明るい空の下でボールを蹴り続けられる。冬は一転、雪と寒さに閉ざされる。多くのスタジアムが屋根や照明で外の環境を遮ろうとするなか、ヘニングスヴァールは真逆だ。

エスタディオ・エルナンド・シレス

画像2: (C)Getty Images
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場所:ボリビア/ラパス

標高は3600メートル。ボリビアの事実上の首都ラパスにあるエルナンド・シレスは、世界屈指の高地に建つスタジアムだ。アンデスの山々に囲まれ、すり鉢状の地形に建物が密集するラパスの街並みを見渡せる。建築そのものより、巨大都市と山岳地帯が重なり合う景観こそが見どころである。

ただ、選手にとってこの景色は美しいだけでは済まない。空気が薄く、高地に慣れていない選手には激しい運動を続けること自体が大きな負担になる。ボリビア代表のホームゲームは南米予選で屈指の難所とされ、ブラジルやアルゼンチンでも簡単には勝てない。

2007年には、この環境を巡って騒動が起きる。FIFAが選手の健康面などを理由に、標高2500メートルを超える会場での国際試合を制限する方針を示したのだ。ただ、ボリビア国内は猛反発し、最終的に制限は緩和・撤廃された。

そしてボリビアは2026年ワールドカップ予選に向けて、さらに高い場所へホームを移している。ラパスに隣接するエル・アルトの、標高4100メートルのスタジアムだ。世界屈指の高地を本拠地にしていた代表が、もっと高い場所を選んだことになる。

スバル・パーク

画像3: (C)Getty Images
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場所:アメリカ/チェスター

アメリカのサッカースタジアムといえば、巨大なNFL兼用スタジアムや近代的な複合施設を思い浮かべるかもしれない。MLSのフィラデルフィア・ユニオンが本拠地とするスバル・パークは、それとはまったく別の魅力を持っている。

ペンシルベニア州チェスターを流れるデラウェア川のほとりに建ち、すぐ隣には鋼鉄製の巨大な橋、コモドア・バリー・ブリッジが架かる。無数の鉄骨が組まれた橋を背に緑のピッチが広がる光景は、アメリカの都市型スタジアムのなかでも強く印象に残る。

景観は設計段階から意識されていた。クラブ公式サイトによれば、観客席の屋根は雨風からファンを守りつつ、川と橋の眺めを遮らないように造られている。川や橋が見えるのは偶然ではなく、見せるための設計だった。

昼間は川の青とピッチの緑がくっきり分かれ、夕暮れには橋のシルエットと照明が別の表情をつくる。大自然に囲まれたほかのスタジアムと違い、ここにあるのは人がつくった巨大構造物とスポーツ施設の組み合わせであり、アメリカらしい会場だ。

ケケルタルスアーク・スタジアム

画像4: (C)Getty Images
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場所:グリーンランド/ケケルタルスアーク

ゴールの向こうに、巨大な氷山が浮かんでいる。そんな非現実的な光景が見られるのが、グリーンランド西部ディスコ島のケケルタルスアーク・スタジアムだ。

スタジアムといっても、大きな観客席はなく、緑のピッチの向こうに海がある。グラウンドの目の前にはディスコ湾が広がり、季節や海の状況によっては流れてきた巨大な氷塊を眺められる。

ここを本拠地としているケケルタルスアークG-44は1944年創設の歴史あるクラブで、グリーンランド国内選手権では2009年と2011年に優勝。2009年は地元で開かれた大会を制している。

スヴァンガスカル

画像5: (C)Getty Images
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場所:フェロー諸島/トフティル

大西洋の孤島で、フィヨルドを眺めながら代表戦を観る。そんな体験を提供してきたのが、フェロー諸島の「スヴァンガスカル」だ。

フェロー諸島はノルウェーとアイスランドの間に浮かぶ北大西洋の島々。スヴァンガスカルは、その代表がかつて本拠地にしていたスタジアムである。エストゥロイ島の小さな町トフティルの高台に建ち、周囲のフィヨルドや山々を一望できる。ここでは実際にかつて欧州選手権予選も開かれてきた。

現在は代表のホーム会場は首都トースハウンのトースヴェトリュルに移り、スヴァンガスカルで代表戦が行われることはなくなった。それでも、フェロー諸島代表の歴史を刻んできた場所であることは変わらない。

チャンリミタン・スタジアム

画像6: (C)Getty Images
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場所:ブータン/ティンプー

ヒマラヤの麓に、王宮のようなサッカースタジアムがある。ブータンの首都ティンプーのチャンリミタン・スタジアムだ。

ブータン代表のホームとして知られるが、雰囲気は一般的な競技場とまるで違う。観客席には伝統的な建築の屋根が載り、鮮やかな装飾の柱が並ぶ。まるで寺院か宮殿のような佇まいで、周囲には緑の山々、遠くにはヒマラヤの山並みが連なる。

そして、その歴史もブータン王室と深く結びついている。現在の施設は1974年、第4代国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクの戴冠式に合わせて整備されたものなのだ。2007年には第5代国王の戴冠式に向けて大規模に改修され、照明設備や人工芝も導入された。

加えて、世界的に知られる一戦もここで生まれた。2002年6月30日、日韓ワールドカップ決勝と同じ日に、ブータンはカリブ海の英領モントセラトと対戦する。

両国とも当時のFIFAランキングで最下位付近にいたことから、「アザー・ファイナル(もう一つの決勝)」と呼ばれた試合だ。ブータンが4-0で勝ち、その模様はのちに同名のドキュメンタリー映画にもなった。

ヴィクトリア・スタジアム

画像7: (C)Getty Images
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場所:ジブラルタル(旧スタジアム・解体工事中)

見上げれば巨大な岩山、振り返れば飛行機が離着陸する滑走路。そんな環境に建っていたのが、ジブラルタルのヴィクトリア・スタジアムだ。

ジブラルタルはイベリア半島南端に位置するイギリスの海外領土で、スペインと国境を接し、地中海と大西洋を結ぶ海峡に面している。象徴は標高426メートルの石灰岩「ジブラルタルの岩山」。海沿いの街から突然そそり立つ姿は、この地域を代表する景観だ。

ヴィクトリア・スタジアムは、その岩山の麓にあった。南を向けば岩山が視界いっぱいに広がり、北側にはジブラルタル国際空港の滑走路があった。また、小さな地域のため、国内リーグでは多くのクラブがこのスタジアムを共用していた。

ただ、2013年のUEFA加盟で代表の国際大会参加が本格化したため、ヴィクトリア・スタジアムは設備基準を満たすのが難しくなってしまった。ジブラルタルサッカー協会はUEFAのカテゴリー4基準を満たす施設の整備を打ち出し、2026年2月には旧メインスタンドなどの本格的な解体が始まった。残念ながらすでにこの光景を見ることはできなくなっている。

ケープタウン・スタジアム

画像8: (C)Getty Images
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場所:南アフリカ/ケープタウン

2010年南アフリカワールドカップのために建てられたケープタウン・スタジアムだ。大会時には約6万4000人を収容した、世界大会仕様の巨大な競技場である。

白いリング状の屋根が全体を覆い、中央には楕円形の開口部。周囲には緑豊かな公園が整備され、すぐ近くには大西洋が広がる。そして背後にそびえるのが、ケープタウンの象徴テーブルマウンテンだ。頂上が平らなことからその名が付いた山の輪郭を、スタジアムの屋根越しに眺められる。

サッカーの歴史の上でも重要な場所である。2010年大会ではグループステージから準決勝まで8試合が開催された。イングランドがアルジェリアと0-0で引き分けた試合、ポルトガルが北朝鮮を7-0で圧倒した試合もここだった。準々決勝では、ドイツがリオネル・メッシ擁するアルゼンチンを4-0で粉砕。若きトーマス・ミュラーやメスト・エジルの台頭を印象づけた一戦として知られる。

準決勝では、ディエゴ・フォルランやルイス・スアレスを擁するウルグアイと、ウェスレイ・スナイデルやアリエン・ロッベンを中心とするオランダが激突。5ゴールが生まれた一戦をオランダが3-2で制し、32年ぶりの決勝進出を決めた。

※選出基準は、各選手の実績に基づきながら筆者またはメディアの主観的判断も含んでおります。

筆者:石井彰(編集部)
画像提供:Getty Images

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