1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 【職業紹介】ミュージシャン志望から歯科医師へ。寄り道で見つけた「好きなこと」より「得意」を仕事にする選択

【職業紹介】ミュージシャン志望から歯科医師へ。寄り道で見つけた「好きなこと」より「得意」を仕事にする選択

  • 2026.9.10

現在の仕事を選んだきっかけには、どのような経験や思いがあったのでしょうか。
北上しらゆりデンタルクリニック院長の境英二先生に、ミュージシャンになる夢から歯科医師を目指すようになった転機や、歯科医師として歩み始めるまでの学びについてお伺いしました。進路選択の背景と、現在の仕事につながる経験に迫ります。

ママ広場

「子どもの頃から歯科医師になるのが夢だったんですか?」
そう聞かれることがありますが、実はまったく違います。
小学生の頃になりたかったのは医師。そして中学・高校生になると、今度はミュージシャンになりたいと思うようになりました。
母が歯科医院で働いていたため、「歯医者さんになったらいいんじゃない?」とは昔から言われていました。でも高校生の頃の私は、むしろそれに反発していたように思います。
音楽が好きで、歌うことが好きだった私は、高校卒業後、音楽の専門学校のボーカル科へ進学しました。選択授業ではキーボードやギターも学びました。

ところが、好きなことを仕事にする世界は、想像していたほど甘くありませんでした。
学校とアルバイトを両立する生活で次第に疲弊し、体調も崩してしまいました。そして一度実家へ戻ることになります。
そのときに「せっかくだったら大学へ行ってみたら」と言われ、そこで初めて、本気で歯科医師という道を考えました。

20歳前後からの方向転換。独学で歯学部受験へ

歯学部を受験しようと決めたのは、10月末頃だったと思います。
高校卒業時から歯学部を目指して準備していたわけではありません。高校の先生にも、途中から進路を変えて本当に大丈夫なのか、と心配されました。
予備校には通わず、独学でした。
そこからは1日10~14時間ほど勉強しました。過去問を繰り返し、特定の得意科目だけに頼るのではなく、全体をまんべんなく勉強する。苦手な分野については、配点の大きいところを優先するようにしました。
ものすごく歯科医師になりたいという強い憧れが、最初からあったわけではありません。
それでも私は昔から負けず嫌いで、一度「やる」と決めると、きちんとやりたくなる性格でした。

合格したときも、「ついに夢だった歯科医師への第一歩だ!」というより、「よかった、大学に入れた」という気持ちの方が強かったと思います。母から与えられたノルマを一つクリアしたような感覚もありました。
そんな私が、歯科医師という仕事に対する意識を大きく変えたのは、大学2年生のときでした。

ご献体を前にして芽生えた「ちゃんとやらなければ」という気持ち

大学で特に興味を持ったのが、解剖学でした。
私はもともと人体の仕組みに興味があり、小さい頃から「人体の不思議」のような本を読むことが好きでした。
実際の解剖実習では、ご献体から多くのことを学ばせていただきました。
自分たちが医療を学ぶために、ご自身の身体を提供してくださった方がいる。
その事実を目の前にしたとき、
「ここまでしてもらって勉強しているのだから、ちゃんとやらなければいけない」
という気持ちが強く芽生えました。
「歯科って面白い」というだけではなく、医療を学ぶ人間としての責任や使命感のようなものを、初めて実感した瞬間だったのだと思います。

歯学部の6年間は「毎年が受験」のようでした

歯学部では、一つの科目でつまずくことが、その後の進級に大きく影響することがあります。
私の場合、奨学金が途切れてしまえば、大学を続けること自体が難しくなる可能性もありました。
だから毎年、「今年も受験」というくらいの気持ちで試験に臨んでいました。
今でも時々、「留年してしまった」「国家試験に落ちてしまった」という夢を見るくらいです。
6年生になると毎週のように試験があり、友人たちと夜遅くまで勉強しました。眠い目をこすりながら試験を受けたことも覚えています。
華やかな学生生活とは少し違ったかもしれませんが、振り返れば、この6年間で「必要なことを学び続ける力」が身についたように思います。

「この勉強、将来何の役に立つの?」への私なりの答え

小中学生の頃、私は数学・国語・理科が比較的得意で、英語や社会は少し苦手でした。
でも歯科医師になった今は、どの科目も仕事につながっていると感じます。
もちろん理科で学ぶ科学的な考え方は、医療そのものにつながります。
国語も重要です。患者さんが何を伝えようとしているのかを理解し、反対に、専門的なことを患者さんに分かる言葉で説明する必要があるからです。
英語も、海外の方とコミュニケーションを取る場面や、海外の情報に触れるときに役立ちます。
社会や歴史からも、人間や社会がどんな選択をしてきたのかを学ぶことができます。

でも、それ以上に役立っていると思うのが、学生時代に身につけた「勉強の仕方」です。
数学なら数学の理解の仕方があり、国語なら文章の読み取り方がある。
「分からないことを、どうすれば分かるようになるのか」
その方法を身につけること自体が、大人になってからの大きな財産になるのではないでしょうか。
歯科医師は、資格を取ったら勉強が終わる職業ではありません。新しい知識や技術を学び続ける必要があります。
私自身、今でも休日を使って研修に参加したり、専門分野について勉強したりしています。
だから学生時代の勉強は、単に試験で良い点数を取るためだけのものではなかったのだと、今になって思います。

「好きなこと」だけでなく、「得意なこと」も探してみてほしい

もし、ミュージシャンを目指していた高校生の自分に今、一言伝えられるとしたら、
「本当に目指すなら、ちゃんとやりなさい」
と言うと思います。
当時の私は、音楽が楽しくて、歌を人に届けることが好きでした。
でも、今プロとして音楽の世界で生きている人たちを見ると、楽しいことだけをやっているわけではありません。
苦しいことや厳しいことがあっても、それでも音楽を続け、努力を積み重ねています。

これはスポーツも同じだと思います。
野球やサッカーの強豪校の選手たちは、日々厳しい練習をしています。それでも、試合で勝った瞬間や、何度も練習してきた技術がぴたりとはまった瞬間には、それまで努力してきた人だからこそ味わえる大きな喜びがあるのだと思います。

私にとっては、それが歯科医療でした。
考えてきた治療計画がうまくいったとき、勉強して身につけた知識や技術を生かせたとき、そして患者さんに喜んでもらえたときは、やはりとても嬉しい。
その喜びは、たくさん勉強し、悩み、経験してきたからこそ感じられるものでもあります。
私は「好きなもの」をそのまま仕事にしたというより、振り返ってみれば、「得意だったこと」を仕事にしたのかもしれません。

私の場合、その一つが勉強することでした。
だから子どもたちには、好きなことだけでなく、「自分は何が得意なんだろう?」ということにも目を向けてほしいと思います。
将来の夢は、途中で変わってもいい。
寄り道をしてもいい。
私自身、医師になりたかった小学生から、ミュージシャンを目指す高校生になり、音楽の専門学校へ進み、そこから方向転換して歯科医師になりました。

大切なのは、最初から完璧な進路を選ぶことではなく、自分が選んだ道で「やる」と決めたときに、どれだけ真剣に向き合えるかではないでしょうか。
そして仕事にしたのであれば、その仕事にプライドを持てるくらいまで努力してみる。
今の私は、それが仕事を面白くしてくれる一つの方法なのではないかと思っています。

※本記事は執筆者の実体験をもとに、生成AIを用いて文章の整理・校正を行っています。

執筆者

プロフィールイメージ
境英二
境英二

歯科医師。北上しらゆりデンタルクリニック院長。

歯学部卒業後、歯科医師臨床研修を経て歯科医療法人に勤務。勤務医・分院長として臨床経験を積み、2024年7月、岩手県北上市に北上しらゆりデンタルクリニックを開院。

現在は一般歯科診療に加え、歯内療法、インプラント治療、矯正治療、歯周治療などを学びながら、患者さん自身が治療について理解し、納得して選択できるよう「分かりやすく説明すること」を大切に診療している。

また、歯科医療は資格取得後も学び続ける仕事という考えから、学会・研修等への参加を続けるとともに、院内でのスタッフ教育にも取り組んでいる。

北上しらゆりデンタルクリニック

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ