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新しい1足のストライプの1%は、誰かが履き終えた1足でできている

  • 2026.8.10

スニーカーは、履き潰したらそこで終わる——その前提を設計の段階から外そうとしている1足がある。アシックスが10月15日に発売する「NIMBUS MIRAI 2(ニンバス ミライ 2)」は、走り終えたあとの回収と再利用まで見据えて作られたランニングシューズだ。(フロントロウ編集部)

初代を回収して生まれた素材が、新作のロゴに入っている

アシックスの発表によると、「NIMBUS MIRAI 2」はサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向けて開発されたモデルで、アシックスオンラインストアと直営店各店(ファクトリーアウトレットを除く)で10月15日から販売される。価格は24,200円(税込)、カラーはクリーム×カームインディゴの1色だ。

この靴でいちばん象徴的なのは、アッパー(甲被)に走るアシックスストライプの部分。その約1%に、ランニングやデイリーユースで実際に使われた初代「NIMBUS MIRAI」を回収・リサイクルして生成した再生ポリエステル素材が使われている。誰かが履き込んだ1足が、素材として次の1足のロゴに戻ってきた形になる。

初代「NIMBUS MIRAI」は2024年発売。使用後に顧客から回収して素材を再利用することを前提に設計された靴で、同社のサステナビリティ推進における重要な一歩と位置づけられてきた。初代に続く今回のモデルは、その知見を引き継ぎ、素材の選定や構造設計、そして分解のしやすさまで考慮して開発されている。

「最初の寿命」を前提に作るのをやめる

環境負荷の数字も更新された。温室効果ガス排出量は前モデルより約20%削減して4.9kgCO2e(同社の測定方法バージョン1.4に基づく算出)。商品全体の約30%には重量ベースで植物由来材が使われている。

NIMBUS MIRAI 2 のインソールに記されたカーボンフットプリント表記
画像提供:アシックス

一方で、履き心地を犠牲にしていない点も打ち出されている。前モデルに比べて約37gの軽量化を実現しながらクッション性は向上し、「GEL-NIMBUS」シリーズの性能を保ったまま、足への負担を軽減する走り心地を追求したという。ちなみに「NIMBUS」はラテン語で「雲」を意味する言葉で、雲の上を走るような履き心地から名づけられている。

開発を担当した同社パフォーマンスランニングフットウェア統括部デザイン部プラッシュデザインチームの安藤良泰マネージャーは、設計思想についてこう説明している。「『NIMBUS MIRAI 2』の開発では、サーキュラリティを単なる付加要素ではなく、設計そのものの原則としてとらえることに挑戦しました」。そして「従来、フットウエアはその『最初の寿命』を前提に設計されてきましたが、『NIMBUS MIRAI』シリーズでは、その先まで視野を広げています」と語った。

目標として掲げられているのは、循環をランナーにとって特別なものにしないこと。「私たちの目標は、サーキュラリティをランニング体験の自然な一部にしていくことです」というのが、開発チームの立ち位置だ。

靴のベロにある二次元コードから、返却が始まる

では、履き終えた1足はどう戻すのか。この靴には、ベロの部分に二次元コードが付いている。読み込むと回収プログラムの情報と利用ガイドラインを確認でき、そこから使い終わったシューズを返却すると、素材の回収や再利用につながる仕組みだ。国内での回収はオンラインで受け付けられる。

戻ってきた「NIMBUS MIRAI 2」は、アッパーとソール(靴底)に分別され、それぞれ対応するリサイクル工程へ送られる。ただし同社は、リサイクル工程に投入されたすべての材料が必ず回収・再利用されてリサイクル素材になることを保証するものではない、とも注記している。

この回収プログラムは今回、新たに中国が加わり、米国、英国、オランダ、フランス、日本、オーストラリア、ニュージーランド、中国の8カ国で実施される。アシックスがランナーに提案しているのは「Run. Return. Repeat(走る、回収する、そしてまた走る)」というシンプルな循環で、モデル名の「MIRAI」にも、持続可能な世界が当たり前になるべく次世代のランナーと一緒に考えていきたいという意味が込められているという。

サステナブルな買い物というと、素材や生産の話で終わりがちだ。だが「NIMBUS MIRAI 2」が問いかけているのは、その1足を履き終えたあと、自分が何をするか、という部分でもある。

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