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「いい一日」とはどんな一日?謎の生き物と男子大学生3人の日常を丁寧に描くマンガ『憶星の舟』

  • 2026.10.29

わたしたちにとって、「いい一日」とはどんな一日だろう。行きたかったお店で美味しいご飯が食べられた。時間を忘れて自分のしたいことに没頭できた。気心の知れた友人とどこかへ出かけて楽しい時間を過ごせた……。どんな一日を過ごせたら「いい一日」と思えるのだろう。

ポカ木ポカ美氏によるマンガ作品『憶星の舟』は、そんな「いい一日」を静かに積み重ねていく、不思議な生き物の日常を描いた物語だ。

『憶星の舟』は、うさぎみたいな謎の生命体ポコ田と、大学生の男の子3人の日常の交流を描く物語。ポコ田はうさぎのような耳を持った、ぬいぐるみのような生命体。人間の日常世界に溶け込み、人の言葉を話し、ご飯も食べるし、お風呂にも入る。そして、睡眠も取る。アパートに一人で暮らしていて、人間と同じように生活している生き物だ。

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『憶星の舟』(c)ポカ木ポカ美

 

人間で言ったら大学生くらいの年齢らしく、本と音楽が好きで、1000枚以上のレコードやたくさんの本を自分の家に持っている。働いているような描写は無いが、自由に使えるお金はあるらしく、悠々自適で誰もがうらやむような生活を送っている。

街の人たちと日常的な交流もあるポコ田。食料を買いに行ったり、銭湯に行ったりすることもある。ポコ田は誰にでも優しくおだやかに接し、街じゅうみんなが知っている人気者のような存在だ。

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『憶星の舟』(c)ポカ木ポカ美

欲しいものが買えて、食べたいものが食べられて、好きな時に寝て、起きて、好きなことをして過ごす。そんな日常を、ポコ田自身も「今日もいい一日だった」と振り返っている。

わたしたちは、お金の心配をしなくても好きなことができるような生活を目指して、日々何かしら我慢したり食いしばりながら一生懸命働いている。ポコ田の暮らしは、まさにわたしたちが思い描く悠々自適な生活そのものかもしれない。

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『憶星の舟』(c)ポカ木ポカ美
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『憶星の舟』(c)ポカ木ポカ美

ただ、ポコ田はわたしたち人間と似た暮らしをしていながら、どこか人間とは違う時間の流れの中にいるようにも見える。自分の感情をあまり表に出さないポコ田だが、影の入れ方や微妙な表情によって、言葉にされない感情の機微が繊細に描かれているのもこのマンガの特徴だ。ポコ田がどんな存在なのか、読み進めるほどに少しずつ見えてくるような余白がある。

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『憶星の舟』(c)ポカ木ポカ美

個人的には、ポコ田が一人で過ごす長い夜の描写に、どこか心細さのようなものを感じた。

ポコ田は男子大学生のセナ、ケイ、ノアと知り合い、いつしか3人がポコ田の家に入り浸ることが日常になっていく。ポコ田が作ったご飯を食べたり、本とレコードに囲まれた秘密基地のようなポコ田の部屋で思い思いの時間を過ごしたりしている。あるとき、会話の流れで、ポコ田の家を訪れるような友達は3人以外にいないことを知る。

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『憶星の舟』(c)ポカ木ポカ美

 

ポコ田は、それを特別なことのように話すわけでもない。

たくさんの本とレコードに囲まれ、自分なりの「いい一日」を積み重ねてきたポコ田。その暮らしにセナ、ケイ、ノアの3人が加わったことで、これからどんな時間が生まれていくのだろう。

人間とは少し違う時間を生きるポコ田と、やがて大学生から社会人へと歩みを進めていく3人。4人で過ごす日々の先に、どんな「いい一日」が待っているのか。その行方を、そっと見届けたくなる。



『憶星の舟』(c)ポカ木ポカ美

※本記事はコンテンツの権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています。

ポコ田と大学生3人の出会いとは...『憶星の舟』▶本編を最初から読む

#1 気になんだよな~
#1 気になんだよな~

 

 

クリエイター情報

ポカ木


主にPixiv、Xにて漫画を連載中。雨女。動物好き。


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