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実の父に「お前が死ねよ」と言われ…毒親育ちの女性が子ども時代をマンガに描いた理由

  • 2026.11.3

人間が生きていく上で、一番最初に所属するコミュニティである「家族」。「家族」という言葉はあいまいだ。「理想の家族像」は想像しやすいが、実際の家族のかたちは人の数だけあって、「こういう家族はいい家族」という明確な線引きもない。
だからこそ私たちは、正解の分からない家族の正しいかたちを模索し続けようとする。『毒親育ちADHDリケジョが〇〇するまで』は、家族の在り方や、子ども時代の経験がどれほどその先の人生に影響を及ぼすのかを深く考えさせられる作品だ。

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© いちこ / 毒親育ちADHDリケジョが〇〇するまで

本作は、著者の子ども時代の実体験をベースにした人生ふりかえりコミックエッセイ。著者であるいちこ氏は企業で研究開発職をしている30代の理系女性だ。周囲に恵まれ充実した日々を送る一方で、パニック症状や依存体質など、「自分は人とは違う」ことを違和感として感じていた彼女が、職場でのある出来事を機に子ども時代の記憶を掘り起こす必要があると思い立つ。

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© いちこ / 毒親育ちADHDリケジョが〇〇するまで

子ども時代どんな家庭だったのか、どんな子どもだったのか、家族のなかでの立ち位置や、その当時彼女が考えていたことなど、脚色なく客観的に振り返るために描き始めたのが、この作品である。

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© いちこ / 毒親育ちADHDリケジョが〇〇するまで
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© いちこ / 毒親育ちADHDリケジョが〇〇するまで

作品を読み進めると、毒親、虐待、家庭内別居、離婚をはじめ、その環境だからこそ沁みついた、まわりの空気を読み他人を過剰に気遣う性格や希死念慮など、さまざまな問題が連鎖的に見えてくる。疑うことも比較することもなかった子ども時代、家族という閉鎖的で簡単には切り離せないコミュニティだからこそ、深く心に刻まれる言葉や記憶。作者にとっては思い返すのもつらく苦しい作業だったのではないだろうか。

実体験の振り返り作業を通していちこ氏自身がどう変わったのか、そして、重いテーマをなぜあえてほっこりとしたトーンでかわいいウサギの主人公で描いたのか。いちこ氏に、この作品を通して伝えたいメッセージを伺った。


作品を通して自分の感情と向き合ったら、各段に身軽になったーー作者・いちこ氏インタビュー

――作品の発信を通じて、ご自身の中で変化したことはありますか。

自分が本当は何を嫌だと感じているのか、逆に何をやりたいのかが、以前よりも分かるようになりました。一番大きいのは、今の自分には必要のない信念から卒業できたことです。昔は自分が生きていくために身につけていた信念でしたが、格段に身軽になったと感じています。

――作品では重めの実体験を扱いながらも、イラストは優しいタッチで可愛らしいキャラクターですよね。そのような表現を選んだ理由を教えてください。

もともとほっこりした絵が好きなのもありますが、できるだけ多くの人に抵抗なく読んでもらいたくて、柔らかい色味やタッチを選びました。人との関係から身につく信念は、家族に限らず、友達や先生など誰との間にも生まれるものだと思います。だからこそ、家族というテーマを超えて届けたいと思いました。

――読者からの反響で印象に残っているものはありますか。

想像以上にたくさんの方に読んでいただき、コメントをいただいたこと自体が驚きでした。家族を扱う作品なので批判もあるかもしれないと思っていましたが、「自分にも似た経験がある」という声が多かったんです。普段はなかなか話さない家族のことも、それぞれにいろいろな背景があるのだと改めて感じました。

――いちこ氏と同じような経験(毒親・パワハラ等)を持つ読者へメッセージをお願いします。

「世界は広い」ということです。つらい環境にいるほど、今いる場所が世界のすべてのように感じてしまうことがあります。でも、少しだけ普段のルーティンを離れてみると、今まで知らなかった人や考え方、景色に出会えることがあります。自分が見えている世界の外にも、まだ知らない選択肢や居場所があると思います。


客観的な視点で事実を見つめることで自分を救うことにつながることもある

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© いちこ / 毒親育ちADHDリケジョが〇〇するまで

同じ出来事でも、時間が経ったり、違う人と出会ったりすることで見え方が変わる。そんなふうに自分の世界が少し広がるきっかけになる作品を届けたいと語るいちこ氏。無意識に蓋をしていた子ども時代の父母との記憶も、時間が経ってその当時自分がどう感じ、どう立ち回って、何を考えていたのかを客観的に振り返ることで、いちこ氏は自分を取り戻すことができた。「まだ知らないものを知りたい」という、視点を変えることによって発見できる面白さが、いちこ氏が創作を続けるエネルギーにもなっているという。

この作品を通してわたしたち読者は自身の子ども時代を思い出すだろうし、「あの時、あの人はこういう意味で言ったのかもしれない」「あの人が当時ああだったのはこういう理由があったのかもしれないな」と、時間が経ったからこそ想像できることもあるかもしれない。

最近では本業の研究職に加え、「ふとふらっと」という家族向けおでかけスポット紹介メディアも運営しているといういちこ氏。「自分が今何をしたいのか」すらも見失っていたいちこ氏が自分を見つめ直すことで変われたように、この作品が多くの読者の人生にも寄り添い、新たな発見をもたらす機会となることを願ってやまない。

▶ 『毒親育ちADHDリケジョが〇〇するまで』本編を最初から読む

#1 私と妹は虐待サバイバー
#1 私と妹は虐待サバイバー

 

© いちこ / 毒親育ちADHDリケジョが〇〇するまで

クリエイター情報

いちこ

人生ふりかえりコミックエッセイ「毒親育ちADHDリケジョが○○するまで」連載中。誰かの変化のキッカケになったら嬉しいです。 化粧品の研究開発者|臨床心理学に興味しんしん|水族館と博物館とカレーもだいすき

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