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「嫁に刺されたんだ!」店で大騒ぎする男性。その正体を知っている店主「どうしますかね」

  • 2026.9.7

本音というのは、しらふのままではなかなか言えないものです。しっかり隠していたはずの寂しさも、酔いが回ると案外あっさり漏れてしまいます。『怪異バーへようこそ』の舞台は、怪異と人間が同じカウンターに並ぶ、ちょっと不思議な深夜のバー。物腰のやわらかいマスターと、フーディー姿の河童の常連客が、今夜も見知らぬ客を迎えます。

今回は、度数96の酒を一気にあおった、騒がしくも切ない酔っ払いの一夜です。

強い酒をいきなり大声で注文する客

現れた客は挨拶もそこそこに、いきなりの大声で注文を放ちました。

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『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

「スピリタスをショットで出してくれ!」

度数96の強い酒を、ショットで一気に。その剣幕に、マスターも河童の常連客も思わず面食らいます。

聞き捨てならない単語が混ざる管巻き

一気にあおった客は、あっという間に呂律が怪しくなりました。

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『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

「俺は生前は凄かったんだぁ~!」と管を巻く客に、河童は「こいつ酔いたかっただけかよ!」と呆れ顔です。ただし、「生前」という聞き捨てならない単語が、さらりと混ざっていました。

景気のいい自称・元社長の昔語りにうんざりしつつも、強い酒で気を大きくしたい夜があるのは、生きている側も同じでしょう。トイレを勧めるマスターにも聞く耳を持たず、死んでいる身だと周りに見透かされてなお、強気の一点張りでした。

妻への恨み言に周りは冷ややか

沈黙のあと、客は突然、自分の死因を語り出しました。

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『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

「嫁に刺されたんだよ~!」と一方的にまくし立てる言い分に、周りの反応は実に冷ややかです。身勝手な恨み言ほど、聞き流されるのが酒場の常。強い酒と大声で塗りつぶしたいものが、少しずつ透けて見えてくるようでした。

トイレに間に合わず壁の中で粗相

直後、今度は本当に足元がふらつきます。トイレへ向かうも間に合わず、たどり着いた先は、まさかの壁の中でした。

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『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

壁の中で嘔吐するという、幽霊ならではの失態です。後始末をめぐり、「幽霊の実態のない吐瀉物はどう清掃しますかね」と悩むマスター。この店の困りごとは、どこまでも浮世離れしていました。

強がりの奥にひそんでいた本音

やがて落ち着きを取り戻した客に、河童は、スピリタスの一気飲みはもうやめろとたしなめます。騒ぎが収まり、場面が静かな夜空へ移ると、客はあれほど強い酒を求めた理由を、ぽつりとこぼしました。わずかなひと言なのに、それまでの景気のいい自慢話も、一方的に聞こえた妻への恨み言も、急に違う表情を見せ始めます。

威勢よく管を巻き、大声で過去を語っていたのは、強がらなければ隠しきれない思いがあったからなのかもしれません。読み終えたあとには、あれほど騒がしかった一夜が、不思議なほど静かに振り返られます。

酒の力を借りなければ口にできない本音があるのは、生きている者も、死んでしまった者も変わらない。『怪異バーへようこそ』は、その寂しさを笑いで消さず、夜のカウンターにそっと残していきます。


『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

※本記事はコンテンツの権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています。

 



 

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#1 河童さんこそ怖いですよ
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クリエイター情報

夏ソラわか

ブラックコメディやクスッと笑える漫画、人外やダークファンンタジー等をよく描く同人作家。商業で漫画を描いたことも。趣味はペットの亀のお世話と漫画を描くこと。

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