1. トップ
  2. マンガ
  3. 深夜のバーに通うセーラー服の女子高生。帰った後、常連がつぶやいた「まだ彷徨ってるのか」の意味【マンガ】

深夜のバーに通うセーラー服の女子高生。帰った後、常連がつぶやいた「まだ彷徨ってるのか」の意味【マンガ】

  • 2026.10.29

深夜のバーにセーラー服。その組み合わせだけで、少しだけ胸がざわつきます。けれど『怪異バーへようこそ』のカウンターでは、そんな違和感さえ当たり前の日常の一コマです。

マンガ『怪異バーへようこそ』は、怪異と人間が同じカウンターに並ぶ、ちょっと不思議なバーの物語。寡黙で物腰のやわらかいマスターと、フーディーを着た河童の常連客が待つこの店に、第2話「終電のない駅」で顔を出すのは、制服姿の女子高生です。

「やってる〜?」と現れる制服の常連

「そろそろ来ますかね」とマスターがつぶやいた直後、カランコロンとドアベルが鳴ります。ピースサインで「マスタ〜、やってる〜?」と入ってきたのは、セーラー服の女子高生。マスターが来店を見越していたあたり、すっかりおなじみの顔のようです。

undefined
『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

「学生が来るような店ではないのですが……」と困り顔のマスターをよそに、河童が「そこだぞ、俺が学生の時は——」と語り出せば、「その話長そうだからやめて」とばっさり。カバンを置いて「マスター、いつものジュース」と注文するまでの流れに、迷いは一切ありません。

河童と女子高生が軽口を叩き合う、深夜のバー。字面だけ見れば奇妙な光景なのに、やりとりはどこまでも気安く、近所の喫茶店のような空気が流れています。

「町絵駅は諦めろ」かみ合わない駅の話

ジュースを手にした彼女がこぼしたのは、地元の駅への愚痴でした。「町絵駅とかさー、なくなってから新しくなるって話だったじゃん? まーだ新しくなってない!」

ところが河童の返事は「町絵駅は諦めろ。あそこはもう撤廃してるぞ」。彼女は建て替えを待っているつもりでも、駅そのものはすでに廃止されているのです。

undefined
『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

「えーだってこの間、私駅のホームで……」と言いかけた彼女は、そこでふっと黙り、「……はー、彼氏欲しいなー」と話を変えてしまいます。河童が「彼氏なら俺がなってやろうか」とドヤ顔で名乗り出ても、「いやーん、未成年と大人はダメでーす」と即答。「なんでそこはちゃんとしてるんだよ」というツッコミで、場は笑いに包まれました。

けれど、もうないはずの駅のホームに「この間」いたという言葉だけは、誰にも拾われないまま宙に浮いています。

「お母さんにいい加減怒られる」と帰っていく

しばらくして、「そろそろ私帰らなきゃ。お母さんにいい加減怒られる」と腰を上げた彼女。

undefined
『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

「おお、帰るんだな。またな」と手を振る河童に「うん」と応え、「マスター、今日もありがとう!」。マスターの「またのお越しをお待ちしております」に見送られ、「じゃあねー」と夜の中へ消えていきました。

門限を気にして行きつけの店を後にする、どこにでもいる高校生の姿です。ただ、「いい加減」というひと言には、もう長いあいだ家に帰れていないような響きも残ります。

帰ったあとに河童がつぶやいたひと言

彼女が去り、マスターと河童だけになった店内。グラスを前に、河童がぼそりとつぶやきます。

「あの子、まだ彷徨ってるのか」

undefined
『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

マスターは「……」と黙ったまま、否定しません。なくなった駅が新しくなるのを待ち続けていること、そのホームに「この間」いたこと、「いい加減」帰らないと怒られること。笑い話に紛れていた違和感が、このひと言で一本につながります。彼女もまた、怪異の集まるこの店にふさわしい客だったのです。

このあと河童が見せる表情と最後のひと言には、彼自身の正体もにじみます。

怖い話をことさら怖がらせず、軽口と笑い声のあとに静かな寂しさを置いていく。読み終えると、第2話のタイトル「終電のない駅」が少し違って響いてきます。次はどんな客がこの店の扉を開けるのか、続きが気になる作品です。

『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

※本記事はコンテンツの権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています。


▶︎ 『怪異バーへようこそ』本編を【第1話から読む】

#1 河童さんこそ怖いですよ
#1 河童さんこそ怖いですよ

クリエイター情報

夏ソラわか

ブラックコメディやクスッと笑える漫画、人外やダークファンンタジー等をよく描く同人作家。商業で漫画を描いたことも。趣味はペットの亀のお世話と漫画を描くこと。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ