1. トップ
  2. マンガ
  3. 終電を逃した夜、バーで愚痴をこぼした客に常連が真顔で「気をつけろよ」と言った理由【マンガ】

終電を逃した夜、バーで愚痴をこぼした客に常連が真顔で「気をつけろよ」と言った理由【マンガ】

  • 2026.10.20

終電を逃した夜にかぎって、ふだん素通りしている小さな店の灯りが妙に目に留まります。『怪異バーへようこそ』は、そんな夜更けにぽつんと灯る、ちょっと不思議なバーを描いた作品です。

この店の特徴はただひとつ、怪異と人間が同じカウンターに並ぶこと。切り盛りするのは寡黙で物腰のやわらかいマスターで、カウンターの定位置にはフーディーを着た河童の常連客が陣取っています。妖怪が隣で飲んでいるのに、店の空気はどこまでも普通。この気の抜けた普通さが、本作の入口になっています。

終電を逃した客のいつもの愚痴

この夜、扉を開けたのは、終電を逃してやってきたスーツ姿の会社員でした。行こうとしていた居酒屋はとっくに閉店し、使っていたはずの駅はもうありません。本人の記憶の中の街と、いまの街が、少しずつ食い違っています。

undefined
『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

愚痴の聞き役は、よりによって河童です。それでも男はまるで気にせず、妖怪相手にサラリーマンの悲哀をこぼしていきます。深夜のバーだけが受け止めてくれる類の愚痴が続いた先で、ぽろりと出たのが「最近妙に視線感じるんだよね」という一言でした。

怖いのは、幽霊でも妖怪でもありません。和やかな会話の端々にひそむ、この小さなずれでした。読んでいる側だけがうっすら気づく違和感が、誰にも指摘されないまま静かに積もっていきます。

笑っていないのは店の側だけ

視線の話を口にしたそばから、男は自分で茶化してしまいました。冴えない男にストーカーなんて、と自嘲で笑いに変えるあたり、本当は少し気にしているのでしょう。

undefined
『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

マスターは静かに口をつぐみ、河童の常連客は真顔で「ま、気をつけろよ」と返します。

酔客の軽口に、常連客が静かに釘を刺す。それ自体はどこの店にもある光景です。ただ、この店でそれをするのが本物の怪異だという一点が、あとからじわじわ効いてきます。ひと言の重さに気づかないまま、男は「ありがとさん常連仲間!」と上機嫌で帰っていきました。

翌夜のニュースと常連のひと言

翌日の夜、テレビから流れたニュースによって、前夜の何気ない会話に潜んでいた違和感の正体が浮かび上がります。その意外な真相は、ぜひ本編で確かめてみてください。

undefined
『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

重くなりかけた空気をすくい上げるのは、マスターと河童のいつものじゃれ合いでした。怖い話を怖いままで終わらせない、この緩急が本作の持ち味です。

何気ない会話の裏に潜む不穏さと、それを包み込むバーの穏やかな空気。この一話には、怪異と人間が当たり前のように同じカウンターを囲む、本作ならではの魅力が詰まっています。ぞっとする話のあとにも、どこか肩の力が抜ける。そんな不思議な夜を味わえる『怪異バーへようこそ』。次はどんな客がこの店の扉を開けるのか、続きが気になる作品です。

 

『怪異バーへようこそ』(c)夏ソラわか

※本記事はコンテンツの権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています。



▶︎ 『怪異バーへようこそ』本編を【第1話から読む】

#1 河童さんこそ怖いですよ
#1 河童さんこそ怖いですよ

クリエイター情報

夏ソラわか

ブラックコメディやクスッと笑える漫画、人外やダークファンンタジー等をよく描く同人作家。商業で漫画を描いたことも。趣味はペットの亀のお世話と漫画を描くこと。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ