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小澤匡行さんと三田真一さんに聞く、大人のスニーカー観。

  • 2026.3.3

PROFILE

小澤匡行さん
©SELECT by BAYCREW'S

小澤匡行さん

おざわ・まさゆき/1978年千葉県生まれ。大学在学中に1年間のアメリカ留学を経験した後、ライター業をスタート。2017年にプロダクションMANUSKRIPTを立ち上げ、ファッション関連のクリエイティブを担当。著書に『東京スニーカー史』(立東舎)、『1995年のエア マックス』(中央公論新社)など。編集者として『藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング』(集英社)を上梓。集英社『UOMO』、朝日新聞にてスニーカーに関するコラムを寄稿中。

三田真一さん
©SELECT by BAYCREW'S

三田真一さん

みた・しんいち/1975年東京都生まれ。1995年、スタイリスト熊谷隆志氏に師事し、97年に独立。98年、渡英しロンドンを拠点に雑誌・広告に携わる。2001年に帰国。ファッション誌、広告、ライブのスタイリングや映画、ドラマの衣装を手がける。 〈ナイキ〉のスニーカーを分解して甲冑を作るアートピースも製作。

機能か、デザインか。何を基準にスニーカーを履くかは究極の選択。

©SELECT by BAYCREW'S

三田「SELECT by BAYCREW’Sは気になっていたのですが、今回が初めてです。特にスニーカー専門コーナー〈Herringbone Footwear〉は品揃えが豊富で、ワクワクしますね」

小澤「僕も久々に来ましたが、スニーカー専門コーナーで白スニーカーがここまで控えめに並んでいる店は珍しいですよね」

三田「一つのブランドを強く推している感じでもなくて、フラットな視点でセレクトしている意思が伝わってきます」

小澤「これだけ数があると目移りしますが、三田さんは何を基準に選んでいますか?」

三田「基本は見た目の面白さやデザインですね。ただ年齢を重ねて、機能面も大切な要素に変わってきました。結局は“自分の足元を快適にしたい”というのが、いまのベースにあります。最近は日本人の足に合う国産ブランドのデザインも進化して、選択肢に入ってきました。特に〈アシックス〉にはその流れを強く感じます」

小澤「〈アシックス〉は、ある意味で“今”を象徴する存在ですよね。僕も何足か持っています。ただ、流行は追いつつも“人と被らないものを履きたい”というジレンマはどこかにあって、そこが悩みどころなんですよ」

三田「その気持ちはよくわかります」

小澤「三田さんは、〈アシックス〉のように“ランニングとライフスタイルをシームレスに繋げている”タイプは履きますか?」

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三田「アトリエやスタジオで立ち仕事が続く日は、よく〈HOKA〉を履いています。ソールのふわっとした感覚は、足を入れた瞬間から安心感があります。履き心地だけでなくデザイン性も追いついてきているから、支持されるのは当然ですよね」

小澤「〈HOKA〉がこれだけ支持されたのも、“ランと日常をシームレスに繋ぐ”という価値観が時代にマッチしたからだと思います。ここ10年ほどの流れですよね。以前はそれぞれのフィールドで履き分けていて、分断されていた印象があります」

三田「僕らが多感な10代を過ごした90年代は、スニーカー=ストリートカルチャーの象徴でしたからね。いまもどこかで、履き心地とデザインの間で心が揺れている感覚はあります」

小澤「僕も雑誌『Boon』でキャリアをスタートしたので、その感覚はよくわかります。昔の杵柄というか、足に馴染んだ“温度”みたいなものがまだ残っている」

三田「何を基準に履くかは本当に難しい。究極の選択ですね」

服の気分が変わればスニーカーも変わる。スニーカーが変われば服も変わる。

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小澤「やはり服の流れは、スニーカー選びに大きく影響しますよね」

三田「ワイドパンツの人気が落ち着いて、最近は腰から細くまっすぐ落ちるペンシルシルエットが支持されています」

小澤「パンツのトレンドが変わると、当然足元も変わる。太いパンツの時代は〈ニューバランス〉のようなボリューム系がハマったし、いまのペンシルシルエットには薄底がしっくりくる。これがスニーカートレンドの正体とも言えます」

三田「ただ細身のパンツは誰にでも似合うわけではない。そこが難しいところですね」

小澤「去年から今年にかけて一番履いたのは〈ラストリゾートエービー〉のモカシンタイプ。昔から分厚いソールが苦手で、薄めが好きなんです。スケートブランドなので極端な厚底を作らないところも相性がいい。履き心地も気に入っています」

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三田「僕は扁平足で甲も高いので、ゆとりのある〈ナイキ〉の《エアフォースワン》が合っていて、昔からよく履いています。今日のモデルはペイズリー柄に一目惚れ。最近は茶色にハマりすぎて、その色ばかり見てしまいます」

小澤「確かに最近、茶色の印象が強いですね」

三田「もともと茶色はあまり持っていなかったんですが、試しに買ってみたら新鮮で。いまは茶色ばかり履いています。ただ、持っていた茶色の服は合わせにくくなって出番が減りました(笑)」

小澤「ワントーンって簡単そうで難しいですよね」

三田「大人になるとファッションがマンネリ化しがちですが、履いたことのないスニーカーを取り入れるのは、その打開策にもなります」

“時代遅れ”のスニーカーは存在しない。ただ、“自分の気分じゃない”だけ。

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小澤「“人と被りたくない”と思う一方で、“自分だけ浮くのも嫌だ”というせめぎ合いがありますよね」

三田「“最先端を履くのは気恥ずかしい。でも時代遅れも嫌だ”ということですね」

小澤「最近見た動画で、“時代遅れとは、時代に乗り遅れているのではなく、ただ自分の気分じゃないだけ”と言っていて、なるほどと思いました」

三田「確かに。“気分じゃない”と思うことはあっても、“時代遅れ”と感じることはないかもしれない」

小澤「若い頃に親しんだモデルを見て懐かしく思うことはあっても、それを履いている人を見て古いとは思わない。結局、履きたいときに履けばいい」

三田「何より大事なのは、自分らしく履くことですよね」

スニーカーを自分らしく履くには…

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三田「例えば〈アディダス〉といえばジャミロクワイ、最近ならKing Gnu、というように、履いている姿が思い浮かぶ人がいますよね」

小澤「スニーカーがスタイルの一部になっていますね」

三田「履き続けることで、体の一部のようになっていく。靴紐を替えたり、穴が開いたらリペアしたり、その積み重ねが自分らしい足元を作るのだと思います」

小澤「オーダーメイドの革靴と違って、スニーカーはメーカーが作ったものから選ぶ。だから“何を履くか”以上に、“どう合わせてどう付き合うか”が大事。買ってからを楽しまないと」

三田「それでこそスニーカーは面白い」

(三田さんがセレクトしたスニーカー)

右/ナイキの《CORTEZ LTR SE》。14,300円。サイズ展開はメンズ・レディース。「取り外しできるシュータンは付けたまま履きたい。その方が足元に視線がいき、可愛いですよね。ユニセックスなデザインで、幅広いサイズ展開があるので、女性にもおすすめ」中/HOKAの《SPEEDGOAT 2 TS 》"Available limitedly at mita sneakers / Herringbone Footwear / HOKA official store"。27,500円。サイズ展開はメンズ。「愛用しているホカは、サンダルとハイカットモデルばかりなので、ローカットを試してみたい。色は、やはりブラウンが気になります。リフレクター部分の配色まで、ブラウンに染まっているデザインも面白いなと思いました」左/HOKAの《U ORA PRIMO EXT》。20,900円。サイズ展開はメンズ。「すでに同じモデルの黒を愛用しているので、ブラウンも買い足したい。履き心地を重視するなら断然ジャストサイズ。かかと部分がピタッと収まるように、合わせるソックスの厚さを想定してサイズを選んでいます。秋冬は、春夏用よりもワインサイズアップさせて履いています」

(小澤さんがセレクトしたスニーカー)

右/ROAの《NEAL》。51,700円。サイズ展開はメンズ。「ロケ履き(ロケ撮影用のシューズ)を何にするかって選ぶのが好きで、そういうときに適正なのが、コンクリートの路面以外の悪路でも活躍するアウトドア由来のもの。以前から、カナダのモントリオールで誕生したスニーカーブランド〈norda(ノルダ)〉は気になっていて、おそらくHerringbone Footwearの品揃えは都内随一。見た目以上に軽くて、ケアも手軽そう」中/ONの《CLOUDFLOW 5 AD》。28,600円。サイズ展開はメンズ・レディース。「ONの《CLOUDFLOW 5 AD》は、レーシングシューズのアッパーでありながら、ライフスタイルのカテゴリーから登場しモデルなので、しっかりと走れて、日常でも履ける。異なる2つのシーンをシームレスに繋げるところがいい」左/HOKAの《MAFATE SPEED 2 TS》"Available limitedly at mita sneakers / Herringbone Footwear / HOKA official store" 24,200円 。サイズ展開はメンズ。「僕もホカを1足選びました。ホカで最も好きなシリーズが、この“マファテ”です。オンと同じく、ランも日常も活躍する一足。限られた店舗でしかブラウンは販売されていないそうなので、周りと被らなそうなのも自分好み」

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