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小さな行動変化で、生活の質を向上させる。今日から試したいデジタルデトックスガイド

  • 2026.3.1

ゆるくてもいい。心身を整えるデジタルデトックスのすすめ

Smartphone on floor with pen and paper

今年、私はある種のデジタルデトックスを始めることにした。最近、普段よりもスクリーンタイムが少ないとスマホに褒められ、詳細を見ると1日平均が7時間に減ったとあった。あろうことか、私は週に49時間、年間で2548時間もスマホに費やしていたのだ。その時間を有効に使えば、新しい言語を習得することもできたし、ロンドンーニュージーランド間を43往復することもできた。自家用機の免許取得に必要な飛行訓練は約60時間だから、飛行機の操縦技術を習得することだって可能だった。

もちろん、私のような人がスマホの利用時間をいきなり激減させるのは無理だろう。それでも、スクリーンタイムを減らすために小さな努力をすることはできる。具体的には、紙とペンを使うこと、起きた瞬間にスマホを見なくて済むように目覚まし時計を使うこと、そして人生がより豊かになる趣味を見つけること。ドゥームスクローリング(ネガティブな内容のニュースやコンテンツを延々と見続けてしまうこと)よ、さらば。ゆるめの“ソフト”デジタルデトックスに挑戦してみることにする。

単に、スマホに費やしている時間を有効活用したいから、デジタルデトックスがしたいわけではない。いつでも連絡が取れ、脳が“オン”の状態であるべきという思考回路を変えたいのだ。「いつも何かしらのデジタル機器に触れている人の神経は、常に興奮状態にあります。通知が来るたびにストレス反応が引き起こされ、ソーシャルメディアやメッセージを確認するのを待つことで、脳は緊張状態に置かれます。これが不安症状を助長し、神経が休まりにくくしているのです」と心理コンサルタントのビジャル・チェッド博士は説明する。

そこで私は、目覚まし時計や紙の日記帳、スマホのロックボックスなど、テクノロジー依存を減らすために日常生活の中の小さなアイテムの置き換えをした。これに加え、チェッド博士はアプリを制限するツールや不要なアプリの通知オフ、UIの視覚的な刺激を減らすグレースケールモードの利用を推奨。セラピーを受けることも提案している。「不健全なテクノロジーとの関係の背景にある心理的な要因に向き合う上で、セラピーは有効な手段になり得ます」。では、実際にデジタルデトックスを始めるのであれば、何をすればいいのだろう? 専門家にアドバイスを聞いた。

デジタルデバイスを使い続けることで起こる不調

Smartphone on pillow under narrow sunbeam, dark bedroom

デジタル時代を生きる現代人の間で、燃え尽き症候群が急速に一般化している。その大きな要因は、常時私たちの手の中にあるスマホにある。「テクノロジーは仕事とプライベートの境界を曖昧にし、完全に仕事から離れられない状況を作りだします。夜11時に仕事のメールを確認したり、家族との時間に仕事のメールのことを考えることで、真の休息と回復が妨げられるのです」とチェッド博士。

また、うつ病はテクノロジーによって引き起こされることもあれば、逆にテクノロジーに頼る原因にもなることもあると、彼女は指摘する。「精神的に弱っている人たちは、現実逃避や感情を麻痺させる手段としてデバイスに頼ることがよくあります。常にデジタル機器を使う生活から距離を置くと、たいてい睡眠の質が向上します。睡眠は感情のコントロールや不安感に大きく影響するのです」

いきなり完全に断つのではなく、小さなことから、ひとつずつ行なっていく

チェッド博士が推奨するのは、徐々に習慣を変えていく方法だ。「テクノロジーを完全に断つのは理論上では良いことのように聞こえますが、継続することが不可能な上に欠乏感を伴うため、逆効果になることも多いのです」と、心理学の観点から彼女は言う。「段階的に制限を設定していく方法がより効果的です。脳が徐々に順応することで、一時的な制限を“我慢している”感覚になるのではなく、持続可能な習慣を築くことができるからです」

ホーム画面から特定のアプリを削除する、仕事の時間外の通知をオフにする、就寝する際に寝室にスマホを持ち込まないようにする。こういった具体的な方法で、無理なくデバイスの利用時間を減らし続けることができると言う。「そうすると、変化と効果を実感しやすいので、継続する動機になります。何かひとつを変え、それが上手くいったら違う習慣を取り入れていけばいいのです」

問題は利用時間の長さより、生活に与える影響

「テクノロジーとの付き合い方が不健全かどうかを判断するには、単にスクリーンタイムだけを見るのではなく、行動パターンや感情の変化、生活への影響を見ることが重要です」と、チェッド博士は言う。「例えば、翌日に疲れが残ることを承知で、深夜2時までコンテンツを消費し続けたり、家族と過ごす時間よりもスマホを見ることを選ぶ場合です。こうした傾向は、テクノロジーとの関係が問題化し、心身の健康や人間関係、キャリアに影響を及ぼしていることを示しています。問題は単にスクリーンタイムの長さではなく、心身の働きや生活の質への影響なのです」

スマホやアプリの利用時間を減らすコツ

「現実的なレベルでアプリやデバイスの利用を制限するためには、どれが必要で、どれが単なる習慣なのかを正直に見極めることから始めましょう。まずは1週間のスクリーンタイムを記録し、実際に何に時間を使っているのか、行動パターンをデータで把握します」とチェッド博士はアドバイスする。その後、データに基づき行動に移す。

「自分の習慣が把握できれば、最も改善が必要な部分が特定できます。例えば、仕事中に必要なのはメールチェックだけなのに、1日に50回もソーシャルメディアをチェックしているのなら、そこを重点的に改善すれば良いのです。次に、一度にすべてを変えようとするのではなく、具体的な制限をひとつだけ設けます。例えば、食事中のスマホは禁止、寝室では使わない、メールチェックは決まった時間のみ、といった具合で、守れると思えるものであることが大事です。最後に、自分が本当に楽しめる、テクノロジーを必要としないアクティビティを見つけましょう。散歩や読書、日記をつけること、料理、家族や友人とゆっくり過ごすことなど、今の習慣をアナログのものに置き換えることがゴールです」

問題行動が満たそうとしている「欲求」に目を向ける

「無意識にしてしまう習慣を断ち切るには、その行動が満たそうとしている欲求を理解する必要があります。求めているのはつながり、気晴らし、それとも刺激なのか。このステップは、ADHDや自閉症などを抱えるニューロダイバージェント(神経多様性)な人にとって、特に重要です。刺激が感情や行動などを調整する役割を果たすことがあるからです」とチェッド博士は説明する。

「その習慣がどういった欲求から来ているのかが理解できれば、より健全な方法でそれを満たすことができます。例えば、刺激が欲しくてスマホを操作しているのであれば、代わりに体を動かしたり、手を動かすアクティビティを行うのが有効ですし、現実逃避が目的ならば、グラウンディング(身体感覚に意識を向ける精神安定法)やオフの時間を計画的に設ける方が効果的かもしれません。セラピーもかなり役立ちます。重要なのは、少しずつ改善するのを目指すことです。時間とともに新しい習慣を定着しやすくし、今の不健全な習慣に戻りにくくするのがゴールです」

デジタルデトックスのメリット

「デジタルデトックスを始めると、最初の1週間でたいてい睡眠の質が向上します。ブルーライトがメラトニンの生成を抑制しなくなるため、早く眠りにつくことができ、より深く眠れるようになるのです。そして睡眠の質が向上すると、ほかにもさまざまな良い変化が現れます。感情がコントロールしやすくなり、集中力がアップするほか、神経が休まる時間ができることで、不安感とそれに伴う身体的な症状も軽減されます。認知面でのメリットも大きく、よく眠れることで記憶力や集中力も高まります」とチェッド博士。

「また、常に通知に気を取られなくなるので、物事を先延ばしにする癖も改善され、仕事や趣味、人間関係により向き合いやすくなるのです。ネット上の誰かと自分を比較する時間も減るため、自己肯定感が上がる人もいます。こうしたメリットを得るために、テクノロジーを完全に断つ必要はありません。スクリーンタイムを適度に減らすだけでも、心身ともにより健やかになっていることを実感できます」

今回話を聞いたのは

ビジャル・チェッド博士: Nos Curare メンタルヘルスクリニック創設者、心理コンサルタント

Text: Ellie Davis Translation: Motoko Yoshizawa

From VOGUE.CO.UK

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