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放置すると悲惨な80代に突入!?和田秀樹さんが語る「70代前半でしがちな油断」とは

  • 2026.2.20

放置すると悲惨な80代に突入!?和田秀樹さんが語る「70代前半でしがちな油断」とは

女性の「80歳の壁」は分厚いといいます。夫の世話・介護などからくるストレス、家族を亡くした寂しさ、さらに自身の健康問題……。その壁を乗り超え、その先の高齢期を楽しみ尽くすために、今から何ができる? 和田秀樹さんの話題の書籍『女80歳の壁』(幻冬舎刊)から、一部抜粋してお届けします。第2回は、「老いの二部制」のススメ。

衰えは 認めたほうが 気が楽だ

人はいつか死ぬ——。頭ではわかっていても、なかなか受け入れられませんよね。そこで提案するのは「老いの2部制」です。

「人生は2部制で」と前述しましたが、老いの時期も、前半と後半で分けてみるのです。

2部制に分けることで、老いを受け入れやすくなります。それだけでなく、元気で過ごせるようになるのです。

前半は「老いと闘う時期」です。70代中頃〜80代前半の人が相当します。

後半は「老いを受け入れる時期」で、年齢的には80代中頃〜90代の人が該当するでしょうか。個人差があるので、年齢はあくまでも目安です。

前半の「老いと闘う時期」には、衰えてくる体の機能を、できるだけ衰えさせぬよう“現状維持”を心がける時期です。

70代前半で、認知症や要介護になっていく人の割合は1割もいません。ここに油断と言うか、勘違いが生まれます。「私は大丈夫」と、永遠に元気でいられるような“錯覚”を起こしてしまうわけです。じつはこの油断が、後々に響いてくるのです。

運動機能や脳の機能は、放っておけばどんどん低下します。しかし、元気なうちに機能を維持するよう心がければ、低下の速度はゆるやかになります。

「今日できたことは明日もできる。明日できることは明後日もできる」と、日々の「できる」を積み重ねていく習慣を身につける。そうすれば、80代、90代の生活の質は、ずいぶん保てるでしょう。

とはいえ、老いを完全に食い止めることはできません。

そこで大事になるのが、後半の「老いを受け入れる時期」への上手な切り替えです。切り替えがうまくいかないと、老いていく自分に失望してしまいます。

「昔はよかったのに、今の自分はダメだ」と敗北感や挫折感を覚えて、寂しい晩年を過ごしてしまいがちなのです。

いっぽう、うまく老いを受け入れられると、「できなくなったこと」よりも「できること」に目を向けられます。また、杖や車いすの力を借りたり、家族や他の人の力を借りたりすることへの心理的な負担も少なくなります。

80代、90代の幸齢者を診ていると、ある時期にうまく老いを受け入れた人のほうが、最終的には、元気で長生きしています。

残された 時間を悔いなく 使い切る

人はどうせ、いつかは死ぬ——。

この言葉は、じつは体験から出たものです。私自身が数年前、死を意識したときに思ったことです。

体調がひどく悪く、めったにやらない血液検査を受けました。すると、血糖値が660㎎/dL。「重度の糖尿病か……」と思いましたが、体重が激減しており、「すい臓がんの疑いもある」と言われ、嫌いな検査をあれこれ受けました。

インスリンが出なくなって重症の糖尿病になるようなすい臓がんなら、もはや末期です。「ああ、自分は死ぬのか」と思いました。以前から血圧も高く、慢性の心不全になりかねないと言われていたので「長生きはできないだろうな」となんとなく思っていました。とはいえ、どこか「死」は他人事であり、遠いものでした。はっきりと「死ぬのか」と自覚したのは、初めてだったのです。

私は以前から、がんが見つかっても治療は受けないと決めていました。手術、抗がん剤、化学療法のどれをやっても、体力がひどく落ちて、やりたいことができなくなると思っているからです。

たとえすい臓がんでも、最初のうちは生活もできるだろうから、好きな仕事に全力で取り組もうと思いました。本も書けるだけ書く、可能な限り借金して撮りたい映画も撮る、と決意したのです。

若い頃から、医師として人の死は見てきました。「人は死ぬんだな」ということはわかっていました。だから「生きているうちに楽しまなきゃダメだな」とも思っていました。しかし、死をはっきりと自覚するようになり「生」への思いを強くしたのです。

延命のためにがんと闘うのではなく、残された時間を力いっぱい生きよう。どうせ死ぬんだから、自分の好きなことをやり尽くそうと、肚(はら)が決まったのです。

幸いなことに、がんは見つかりませんでした。しかし、そのときに死と向き合ったことは、いまの私に生きています。「どうせ死ぬんだから、生をまっとうしよう。命ある限り、好きなことをして生きよう」と、自信を持って患者さんや、すべての幸齢者に言えるようになったのです。

※この記事は『女80歳の壁』和田秀樹著(幻冬舎刊)の内容をウェブ記事用に再編集したものです。

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