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私はこうやって「恥ずかしい気持ち」を消している…102歳の女性医師が教える「黒歴史」を引きずらない方法

  • 2026.2.9

幸福な人生を送るにはどうすればいいか。103歳で亡くなった女性医師グラディス・マクギャリーさんは「もっとも手放しにくい感情は羞恥心だ。私は99歳になっても恥ずかしい思いをすることがよくあった。そういうときは、状況を面白がってしまうことが恥から抜け出すきっかけになる」と語った。新刊『102歳の医師が教える健康と幸せを保つ6つの秘訣』(辰巳出版)の一節を紹介する――。

杖を持って座る人
※写真はイメージです
初めて人前で転んだときの恥ずかしさ

羞恥心というのは、もっとも手放しにくい感情のひとつだ。生涯その感情に支配されたまま過ごす人も少なくない。思いだしたくないのに、過去に恥をかいた経験が何度もよみがえったりもする。恥の感情ほど、私たちから生命力を奪うものはない。

どんな人でも、一度くらいは恥をかいた経験があるだろう。私の場合、どういうわけか何度も舞台上で滑って転んでいる。恥ずかしいのに、なぜかそうなってしまう! 今でも思いだすと胸が少し痛むが、そのことをユーモアに変えることを覚えた。そうすることで、恥ずかしさが薄れる気がする。

初めて人前で転んだのは、小学生のときだった。学校で「カエルは池を飛びこえた」という劇に出演していたときのことだ。

私は主役を演じられるのがうれしくて、緑色の衣装を着て、決定的瞬間を待っていた。池になっている水の入ったたらいを見事に飛びこえる見せ場だ。観客は見守っている。そして飛んだ瞬間、何がどうなったのか、まずは音で、次に冷たさで、水を感じた。

気がつくと水びたしでたらいのなかに座っていて、観客の笑い声が響きわたっていた。衣装の色が溶けだして水は緑色に染まり、私は恥ずかしくて身動きできずに泣きだした。

羞恥心をユーモアに変える母の教え

その後、夕食の席で兄たちがその話を始めたとき、母は教えられることがあると気づいたようだ。兄たちがひとしきり笑い終えるのを待ってから、母は言った。

「面白いのはいいけど、次にグラディーが恥ずかしい思いをしたときに、みんなに笑われるんじゃなくて、みんなといっしょに笑えるようになるには、どうしたらいいと思う?」

その言い方には、愛情と共感がこもっていた。私が泣いたことに対しても、兄たちが笑ったことに対しても、恥ずかしい思いをさせなかった。

母の質問自体に、答えがあった。水に落ちた自分を恥ずかしいと思う気持ちを手放したら、別の見方ができるようになる。「カエルは池を飛びこえた」という劇を観にいって、カエルが池に飛びこんでしまったら、確かに笑える。羞恥心を動かすと、それは変化する。この場合はユーモアに変わった。

この教訓はその後、何度も役立つことになった。舞台上で転ぶという失態を何度も経験し、あれが記念すべき第1回となったからだ。

失敗した自分を許すことから始める

大学では、パブリック・スピーキング101というクラスを受講した。全員ひとりずつ前に出て、自己紹介をする場面があった。私はインドからオハイオ州に引っ越してきたばかりで、他の女学生たちとは違うという意識があったので、緊張していた。そして演壇にあがるとき、段差につまずいて尻もちをついてしまった。

着地音が響く前、他にもふたつの大きな音が聞こえた。私の頭が机にガンとぶつかる音と、スカートが膝の上でビリッと破れる音だ。でも学校劇での母の教えを思いだし、すぐに気を取り直して羞恥心を手放した。そして驚いてざわついている人たちに向かって言った。

「スピーチで大事なのは、最初に注意をひくことです。今のはどうでした?」

クラスは大爆笑に包まれた。そして私もいっしょに笑った。動いていくのは大切だ。うまくいっていないことがあれば、そのことを認識して手放し、他を見てみるという具合に。私の場合は失敗した恥ずかしさを手放したことで、その先にユーモアがあるのを見つけた。そしてユーモアは、喜びをもたらしてくれた。

もし恥ずかしい気持ちに閉じこもっていたら、気づけないままだっただろう。まずは失敗をした自分を許すところから始めた。そうすることで、動く力が出てきた。

笑うと副腎が刺激されてリラックスできる

母が教えてくれようとしたのは、こういうことだった。私が水びたしで泣いていたのは、転んだからではない。活発だったので、転ぶのはしょっちゅうだった。泣いたのは、転んではいけなかったのに転んでしまったという恥ずかしい思いからだった。

母は、恥ずかしいと感じたときに笑うよう教えてくれた。笑いには、痛みを忘れさせる不思議な力がある。また笑うと副腎が刺激される。副腎は恐怖や怒り、無関心や憎しみとつながっている。その下のほうには横隔膜があり、笑うとき、私たちは横隔膜を上げたり下げたりしている。

そうすると副腎も軽く揺れる。「ストレスや怒りを感じてない? 手放したいものは?」と問いかけてくる。経験からすると、リラックスしてためこんでいるものを手放すことで副腎の状態もよくなる。

羞恥心は、感情のなかでもとくに根を張りやすいのだ。あの夕食の席で母は、羞恥心にとらわれるのではなく、動いている感情に目を向けることで、恥ずかしさから抜けだすことを教えてくれた。

手を取り合うカップル
※写真はイメージです
99歳でも人の親切心を無下にして後悔する

また羞恥心というのは年齢と共に消えていくのではと思っている人がいたら、それは間違いだ! 102歳の今でも、私は恥ずかしい気持ちを手放さなくてはならないことはある。

99歳の誕生日にも、そんな経験をした。当時はまだ運転をしていたので、車でスーパーに買い物に行った。99歳らしく、ゆっくりと。それで目についたのだろう。年配の男性が近づいてきた。

「お手伝いしましょうか?」彼は言った。

「ありがとうございます。でも大丈夫です」

「いえいえ、ご遠慮なく。こう見えても、意外と力はありますから。86歳ですけれど!」彼は誇らしげに言った。

なぜか私はいらっとした。いまだにどうしてだったのかは、よくわからない。気がついたらこんな言葉を口にしていた。

「ふーん、私は99歳よ!」

そして男性をにらみつけた。その反応に、男性のほうはたじろいだ様子だった。何か親切な言葉をかけて、そのまま立ち去っていった。

私はトランクを閉め、運転席に座り、自分自身に対して怒りを感じた。どうしてあんな口のきき方をしたの? なんで対抗意識なんか? 親切に手伝おうとしてくれただけじゃない!

「グラディス、あなた、いじわるなおばあさんになってきている」

そう思った。落ち着かず、車を発進する気にもなれなかった。

恥ずかしかった状況の面白いところを探す

それから考えた。

グラディス・マクギャリー『102歳の医師が教える健康と幸せを保つ6つの秘訣』(辰巳出版)
グラディス・マクギャリー『102歳の医師が教える健康と幸せを保つ6つの秘訣』(辰巳出版)

「この状況で、何か面白いことない?」

すると見えてきた。老人ふたりがスーパーの駐車場でやり合っている。それって面白いじゃない! しかもおばあさんのほうは86歳のおじいさんを生意気な若造扱い。それだっておかしい! 考えれば考えるほど、コメディのワンシーンのように思えてきた。高齢者ふたりが食料品の入った袋を巡っていがみ合う。私は車のなかで、お腹が痛くなるまで副腎をくすぐった。

あまりにばかばかしくて、もう恥ずかしくなくなっていた。ひとしきり笑って、羞恥心と後悔を手放した。

次にあなたが何か恥ずかしいと感じたら、その状況の面白いところを探してみることをおすすめする。失敗のどんなところが面白い? 意外だったり、ばかばかしかったり、滑稽だったり。

他の人からはどう見えている? 笑えるとしたらどんなところ? 探してみると、意外と面白い解釈はいくらでも出てくるものだ。

グラディス・マクギャリー(Gladys McGarey)
医師
1920年生まれ。米国ホリスティック医学協会(現:総合医療と健康のアカデミー)の共同設立者・元会長。米国ホリスティック協会の創立メンバーのひとりであり、70年以上にわたってホリスティック医学、自然分娩、医師と患者のパートナーシップを精力的に提唱。2024年に惜しまれながら103歳で生涯を閉じた。

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