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鋭いV字ラインを成功させる秘訣とは?【特集|0.1秒のセルフコントロール】

  • 2026.2.8

サーキットでのスポーツライディングにある程度慣れてくると、ファンライド層でも多くのライダーが、こう思うことだろう。「もっとスムーズに、もっと速く走ってみたい!!」ところが、はやる気持ちのまま立ち上がりで早めにスロットルを開ければ、車速が上がってバイクは途端に曲がらなくなり、立ち上がりでロスが発生。その結果、ストレートは遅く、コーナーはリスキーになっていく。だから元MotoGPライダーの中野真矢さんは、こう話す。「スロットルを開けることを待てる者にのみ、走りの進化が訪れる」と。

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA

取材協力/本田技研工業 ☎0120-086819 https://www.honda.co.jp/motor/

デジスパイス https://dig-spice.com/jp/

鋭いV字ラインを成功させる秘訣はコーナリングの最後に訪れます

最初に言っておきますが、今回のテーマはちょっぴりマニアックに感じるかもしれません。

本誌が主催しているライディングパーティ(通称ライパ)は「速いがエライじゃない」が合言葉とは言え、サーキットでスポーツライディングを楽しんでいる多くのライダーは「少しでも速くなりたい」と思っているはず。そういう人に対して「速く走りたいなら、スロットルを遅く開け始めよう」と解説するのだから、そう思われても仕方ありません。

でも、サーキットを速く、いや上手に走りたいなら、ストレートスピードを伸ばすことがもっとも確実でリスクが少なく、そのためには手前のコーナーでいかに早く車体の向きを変えるかが重要。でも車速が高いと物理的にそれが不可能だから、スロットルを開けることをガマンして、鋭く曲がれるタイミングを待ってあげることが必要なのです。

その結果、例えば単純なレイアウトのヘアピンカーブでは、進入から立ち上がりにかけての走行軌跡が、「U」ではなく「V」に近いイメージになっていきます。もちろんV字というのは、あくまでも感覚的な表現ですが、コーナーの中にグッと向きを変えるポイントをつくることが大切。上級者でも、スロットルの開け始めがほんのコンマ数秒早いことで、これを損なっている“惜しい人”は多いのです。

(中野真矢)

A:開けるのが早いから立ち上がりで膨らむ

進入から旋回初期にかけてしっかり速度を落とせていても、スロットルを開けるのが早すぎれば、結局はその瞬間から車速が上がってしまい、立ち上がりでアウトに膨らみやすくなる。これだと、向き変えをほぼ終えて車体が直立に近い状態になるまでが遅く、その間は全開にできないので、結局のところ加速に対するロスが大きくなってしまうのだ。

B:パーシャルだとそもそも鋭く曲がれない

こちらは初中級者に多いパターン。コーナーに進入してから立ち上がるまでの速度変化が少なく、スロットルをパーシャルにして旋回する走り方。スムーズに走っているから問題ないように思えるが、車体のピッチングが生まれにくいので荷重変化が起こせず、鋭く曲がることも、強く加速することもできない。公道ならこれでもいいのだが……。

C:開けるのをほんのわずかガマンすればV字ライン成功!

立ち上がりでスロットルを全開にするためには、車体が直立に近いことが必須。早くその状態に持ち込むためには、コーナーでの“向き変え”を早めに終える必要があり、そのためにはボトムスピードを確実に落とさなければならないので、スロットルを開けるのをちょっとだけガマンして、車速が落ち切るのを待つ。その結果、ボトムスピード付近でクルッと旋回するV字ラインに。

タイト&低速コーナーほど開けるのをガマンするのが効果的

ライテク

これはブレーキングやトレイルブレーキなどすべてに当てはまることだが、あらゆるシーンで同じ走り方が有効というわけではない。車速をしっかり落として鋭くターンする走り方が最適なのは、ヘアピンカーブに代表されるタイトに回り込んだ低速コーナー。それこそ、ラインが「V」のイメージになるようなコーナーでこそ生きるテクニックなのだ

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2スト乗りが身についた世代は意識改革を!

1990年代中盤までは2ストローク250ccこそが市販スポーツバイクの花形だったので、「これで走りを覚えた」というベテランも多いはず。このクラスは車体が軽く、中回転域のパワーがあまりないので、なるべく高い速度を維持してコーナリングする走りがセオリーだった。現代の重いけどパワフルな大型スポーツバイクにはこの走り方は合わない。

HONDA NSR250R SP (MC21)
HONDA NSR250R SP (MC21)

二輪運動力学の視点から考察

【辻井栄一郎】

本誌連載でもお馴染み。元ヤマハのエンジニアで、二輪工学の専門家

バイクは車速とバンク角(≒キャンバースラスト)で旋回半径が決定します。スロットルを開けると車速が上がり、さらには遠心力で車体が起き、バンク角が浅くなるので、旋回半径は大きくなっていきます。スロットルを開けるタイミングが早過ぎたり、開ける量が大き過ぎると、当然曲がり切れなくなってきます。

一般的にパーシャルスロットルとは、速度が一定で変化しない状態と言えます。したがって、バンク角が変わらない限り旋回半径は一定です。一方、スロットルを閉じるとエンジンブレーキにより減速していきます。この時、バンク角が変わらなければ旋回半径はどんどん小さくなり、ぐるっと鋭く小回りできるのです。

ただし、100Rを超えるようなコーナーではパーシャルになることがあります。この時はプッシングステアなどでバンク角を微妙に調整し、ラインをコントロールします。

しかし、富士スピードウェイの100Rは、後半に95Rへと回り込んでいるので、スロットルオフが必須です。一方、鈴鹿の130Rは出口に向かってRが大きくなるので、スロットルを開けるタイミングが重要になります。

コーナーのRが一定ではないサーキットが多いので、同じコーナー半径でも操縦方法が変わってくるのです。

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