1. トップ
  2. マザコンエリートと無職ヤンキー、どちらと結婚するのが幸せ?自分を押し殺してきた妻が「離婚」を意識し始めた日【作者に聞く】

マザコンエリートと無職ヤンキー、どちらと結婚するのが幸せ?自分を押し殺してきた妻が「離婚」を意識し始めた日【作者に聞く】

  • 2026.2.7
もう我慢しない——。シュウの後ろにチラつく女のことをハッキリとたずねるユイ。 (C)横山了一/ウォーカープラス
もう我慢しない——。シュウの後ろにチラつく女のことをハッキリとたずねるユイ。 (C)横山了一/ウォーカープラス

「三つ子の魂百まで」という言葉がある。幼い頃の性格は一生変わらない、という意味だが、本当にそうだろうか。人は変われるのか、変われないのか。考え方や立場を大きく変えようとすると、相応のエネルギーが必要になり、ときには周囲との摩擦も生まれる。そんな重たいテーマを、なぜかクスッと笑わせながら突きつけてくるのが横山了一さん(@yokoyama_bancho)の「どちらかの家庭が崩壊する漫画」だ。

縦読み告白と月100万円の罠、家庭崩壊フラグが二本立てで点灯

「どちらかの家庭が崩壊する漫画」01 (C)横山了一/ウォーカープラス
「どちらかの家庭が崩壊する漫画」01 (C)横山了一/ウォーカープラス
「どちらかの家庭が崩壊する漫画」02 (C)横山了一/ウォーカープラス
「どちらかの家庭が崩壊する漫画」02 (C)横山了一/ウォーカープラス
「どちらかの家庭が崩壊する漫画」03 (C)横山了一/ウォーカープラス
「どちらかの家庭が崩壊する漫画」03 (C)横山了一/ウォーカープラス

物語の一方の軸は、エリート社員として「仕事ができる」と評判の薬師寺シュウと、その妻ユイの家庭である。家事も育児もすべてユイ任せ、さらに義母はアポなし訪問に真面目な話を茶化す常習犯。積もり積もった違和感の上に落とされたのが、シュウのスマホに表示された「田尻モナ」という女性からの着信だった。SNSを辿ると、そこには縦読みで「しゅうあいしてる」という、冗談にしては胃が痛すぎるメッセージが潜んでいた。

もう一方では、元ヤンキーの主夫・毒山(ぶすやま)ゴンが登場。妻子のために稼ぎたいと考えていた矢先、「電話をかけるだけで月100万円稼げる」という、聞いた瞬間に怪しさが爆発する誘いを受け、その話に乗りかけてしまう。こちらもこちらで、家庭崩壊へのカウントダウンが軽快に始まっていく。

我慢がデフォルトだったユイ、その変化をどう描いたのか

ユイが「変わる」と宣言する場面は物語の大きな転換点だが、そこに至るまで彼女が自分の意見を言えずにきた理由について、作者はごく現実的な背景を挙げている。ユイは専業主婦であり、「経済面をシュウがすべて担っているので、意見を言いづらいというのはあると思います」と語る。また、作中でも触れられている通り、ユイは叔父と叔母に育てられ、「気を遣いながら過ごしてきた」経験から、周囲の様子を伺い、あまり主張しない性格になったのではないかという。

一方で、横山さん自身は「僕は割となんでもハッキリ言ってしまうタイプ」であり、「むしろ歳を重ねて我慢を覚えてきたかもしれません(笑)」と、ユイとは対照的な一面を明かす。そのため、創作にあたってはユイに対して「100%シンパシーを感じていたわけではありません」が、「このキャラクターならこう考えてこう動くだろう、という部分をとても大事にしながら描きました」と、距離感を保ちながら人物像を組み立てていった。その結果、「同じような境遇の方に、ユイの変化が少しでも響いていたとしたらうれしいですね」という言葉に行き着く。ユイの変化は、作者自身の理想論ではなく、積み重ねてきた性格や環境を踏まえた末の選択として描かれている。

人の顔色を伺い、我慢を重ねてきたユイ。しかし、どんな関係であっても、自分を押し殺し続ければ、いずれ限界はやってくる。今まで意見を言わなかった人が変わろうとするのは勇気がいる。それでも、その一歩がなければ何も変わらない。重たい現実を、修羅場と笑いを行き来しながら描くこの作品は、ユイの変化を見守り、つい応援したくなる不思議な力を持っている。

取材協力:横山了一(@yokoyama_bancho)

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる