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爪の長さ、荒れ、汚れ…指先の“身だしなみ”が印象に影響 皮膚科医のおすすめケア法

  • 2026.2.7
指先の“身だしなみ”を整える方法とは?
指先の“身だしなみ”を整える方法とは?

爪まわりの肌荒れ治療薬「チュメキュア」などを手掛ける小林製薬(大阪市中央区)が、20~69歳の男女1万人に「手・指先のケアに関する意識調査」を実施しました。調査では、指先の印象がポジティブな場合、その人の印象にプラスの影響があると回答したのは約6割となりました。一方で、清潔感がないと感じてしまうパーツとして、「指先(爪の長さ・荒れ・汚れなど)」と回答した人が45.2%であったことから、指先は他人からの印象にプラスにもマイナスにも働くことが判明。そこで、皮膚科医の田尻友恵さんに指先のケア方法を解説してもらいました。

冬は皮膚のターンオーバーが鈍化

調査は2025年9月12~18日にかけてインターネットで行われました。同調査で、爪や指先の荒れが気になる季節を質問したところ、「冬」が80.4%と最も高く、続いて、44.0%の「秋」、31.0%の「春」、25.6%の「夏」という結果になりました。

冬は、外気の湿度が低く、皮膚からの水分蒸発が加速します。また、暖房器具の使用により、室内の空気も乾燥します。さらに、寒さで血管が収縮すると、指先までの血液循環が悪くなり、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)が鈍化します。これにより、皮膚のバリア機能がさらに低下し、荒れやすくなるという特徴があります。

同調査では、「1年以内に爪まわりの角質荒れを感じたことがあるか」も調べ、男性は40代が28.2%と最も高く、次いで、24.1%の50代、24.0%の30代、23.6%の60代、20.6%の20代という順番でした。一方の女性は40代が45.5%と最も多く、続いて、41.8%の50代、37.7%の30代、37.2%の20代、33.5%の60代という順でした。男女ともに1位が40代、2位が50代、3位が30代という結果となりました。

さらに、「手の荒れの原因」についても質問。最も高かったのは「乾燥」(65.6%)で、2位は「水仕事」(53.0%)、3位は「加齢」(43.2%)でした。

結果を受けて、田尻さんは、40・50代の女性の多くが指先のトラブルに悩む理由について、「女性ホルモンの減少による影響」と「日常生活における指先への負担」を挙げており、女性ホルモンの減少の影響について「同年代の女性は、更年期を迎え、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少します。エストロゲンは、肌のコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促し、水分保持をサポートする重要な役割を担っています。 エストロゲンの低下により、真皮のコラーゲンの合成力が衰えます。コラーゲンなどの減少は、皮膚自らが作り出す保湿成分の力も弱め、肌の水分量・皮脂量が大きく減少し、乾燥が進行します。研究では、60代までにコラーゲン量が20代の半分になるというデータもあります。また、コラーゲンは皮膚のハリや弾力を保つだけでなく、皮膚全体を支える役割も担っているため、減少すると皮膚が薄くなり、外からの刺激に対して弱くなります。 このバリア機能の低下した皮膚は、外部刺激(洗剤、水、乾燥など)に対して非常に敏感になります」と説明。

日常生活における指先への負担については「水仕事や家事、また職種によっては紙幣や段ボールを扱う機会が多いなど、指先に物理的・化学的な刺激が加わりやすい傾向にあります。刺激の強い家庭用洗剤や水、お湯に触れる機会が多いと、皮膚の皮脂膜や角質細胞間脂質が洗い流され、バリア機能が低下し、炎症(湿疹)を起こしやすくなります。熱いお湯は特に皮脂を奪いやすいため注意が必要です。『主婦手湿疹(進行性指掌角皮症)』ともいわれ、乾燥して硬くなった皮膚に摩擦刺激が加わることで、ひび割れやあかぎれへと進行しやすくなります」とコメントしています。

皮膚の構造に基づいた戦略的なアプローチが鍵

田尻さんは、指先荒れを根本から解決するには、単に水分を補うだけでなく、硬くなった角質層を分解し、炎症を鎮め、皮膚の土台を再構築するという多角的なアプローチが必要だと話します。

まず、「爪まわりがガチガチに硬質化」している人は、角質を「軟化・分解」することが重要です。爪まわりが硬くなる理由は、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥と刺激から身を守ろうと角質を厚くしているためです。これらは、通常の保湿剤では崩せません。市販で手に入るアイテムでも対処ができます。高濃度尿素製剤に入っている尿素には、硬くなったタンパク質(角質)を溶かす角質溶解作用と、水分を強力に引きつけて保持する保湿作用があります。このダブル効果で、硬い角質を柔軟にし、ひび割れのリスクを大幅に下げます。 尿素クリームは、手のひら全体ではなく、爪の生え際、爪の両脇の硬い部分、関節のシワなど、特に硬くなっている部分にのみ少量を塗布します。皮膚が柔らかくなる入浴後が最適です。

また、角質ケアの選択肢として「サリチル酸」や「ヘパリン類似物質」を活用するのもよいということです。尿素が刺激に感じる場合は、マイルドな角質ケア成分であるサリチル酸配合製剤や、血行促進作用を持つヘパリン類似物質を試すのも有効です。これらは皮膚の修復を助け、硬化を防ぐサポートをします。

続けて、皮膚のバリア機能を「徹底的に保護」する“習慣作り”も訴えます。例えば、日中に手を洗う時は、皮脂を奪う熱い湯は避けて、ぬるま湯を使い、低刺激性のハンドソープで優しく洗うのがよいということです。タオルで拭く際もゴシゴシこすらず、優しく水分を吸い取るようにします。手洗い、水仕事、アルコール消毒の後は、30秒以内に保湿剤を塗り直すことを鉄則とすること。皮膚の水分が蒸発しきる前に油分でふたをすることが、乾燥を防ぐカギとなります。

夜は、硬くなった部分をケアし、手に、保湿成分のヒアルロン酸やセラミドが配合されたハンドクリームを塗布した後、その上から純度の高いワセリンを指一本一本にたっぷり塗り込み、綿の手袋をして寝るようにしましょう。ワセリンは水分を閉じ込める力(エモリエント効果)が非常に強く、一晩かけて集中的に皮膚を修復し、翌朝の指先のしっとり感を格段に向上することができます。

赤みやかゆみ、痛みが伴う手荒れは、乾燥ではなく「炎症」という治療対象になります。赤み、かゆみ、水疱(すいほう)のような小さなブツブツ、腫れがある場合は、皮膚内で炎症が起きています。皮膚のバリア機能が崩壊し、異物(洗剤など)が侵入している状態で、保湿剤を塗り続けても改善しません。必ず抗炎症成分であるステロイド外用薬(市販薬または処方薬)を使用し、炎症を速やかに鎮静化させる必要があります。

「あかぎれ」「ひび割れ」など、亀裂が深く、出血や痛みが伴う場合は、傷口を保護し治癒を促進するモイストヒーリング(湿潤療法)タイプの絆創膏や、液体の被覆材(液体絆創膏)を活用して、傷口を外気や水から保護し、治癒環境を整えることを優先してください。

田尻さんは、このような症状で「市販の医薬品や保湿剤で5~6日ケアしても改善しない、または症状が悪化する場合は、皮膚科の受診が必要です。自己判断で症状を悪化させる前に、かぶれや、細菌感染の有無など、皮膚の状態に合わせた専門的な治療を受けることが、最も早く治す方法です」と説明しつつ、「冬の指先ケアは、『硬いところは溶かし、荒れているところは治し、全体を保護する』という皮膚の構造に基づいた戦略的なアプローチが鍵となります」と教えてくれました。

オトナンサー編集部

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