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寛一郎、『たしかにあった幻』で河瀬組に初参戦!「デビュー作のような気持ちで挑んだ」河瀬直美監督は6年ぶり劇映画の公開に「感無量」

  • 2026.2.6

河瀬直美監督の最新作『たしかにあった幻』の初日舞台挨拶が2月6日にテアトル新宿で行われ、寛一郎、岡本玲、松尾翠、中野翠咲、中村旺士郎、河瀬監督が出席した。

【写真を見る】キャスト、監督が晴れやかな笑顔!『たしかにあった幻』の初日舞台挨拶の様子

【写真を見る】キャスト、監督が晴れやかな笑顔!『たしかにあった幻』の初日舞台挨拶の様子
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本作は、“愛のかたち”と命のつながり“をモチーフに、年間約8万人にのぼるとも言われる日本の行方不明者問題と、心臓移植の現実を重ねて描く人間ドラマ。『ファントム・スレッド』(17)、『蜘蛛の巣を払う女』(18)などで知られるルクセンブルク出身のヴィッキー・クリープスが主人公・コリーを演じた。

親子役のキャスト陣がそろって、大きな笑顔!
親子役のキャスト陣がそろって、大きな笑顔!

この日は、河瀬監督がオーディションで見出した子役の中野と中村がステージの真ん中に立ち、舞台挨拶が進行。心臓病を患う少年、久志役を演じた中村は、「僕がセリフのある役をいただいた、初めての作品。この機会をプレゼントしてくれた河瀬直美監督、スタッフの皆さん、ありがとうございました」としっかりと挨拶。河瀬監督が「大人、ヤバいな!」とプレッシャーを感じるなか、小児病棟に入院中の少女、瞳を演じた中野も「明るい瞳が、どんな想いを持って闘病しているのかを想像しながら、撮影に取り組んできました」と役作りについて力強く語り、大きな拍手を浴びた。久志の母である由美役を担った岡本は、「久志に会えて、ステキな日」と“息子”に愛情を傾け、瞳の母親である裕子役を演じた松尾は、「この場所にいさせてもらうことが奇跡。この作品に関わらせてもらたことが一生の宝」だと特別な心境を吐露していた。

河瀬直美監督、「感無量です」
河瀬直美監督、「感無量です」

凛とした表情でコメントを繰り出した子役の2人に、河瀬監督も目を丸くした。「瞳と久志の心の交流、見えないものを見続けた病院の時間は、かけがえのないもの」と劇中の子どもたちに想いを馳せつつ、「私はこの2人、“尾野真千子越え”をしているんじゃないなかというくらい、すごいと思っています。いまのご挨拶を聞いていてもわかると思う。大人顔負けというか、すでに敗北」と信頼関係を育んできた俳優である尾野の名前をあげて、会場も大笑い。「200人以上の候補者をオーディションのなかから選ばれた人たち。堂々と、魂をぶつけてくれた」と中野と中村の演技を手放しで称えていた。

心臓病を患う少年、久志の母親である由美役を演じる岡本玲
心臓病を患う少年、久志の母親である由美役を演じる岡本玲

自身にとって6年ぶりの劇映画の公開に「感無量です」と喜びを噛み締めた河瀬監督は、「今日は、河瀬組を初めて経験した人たちとの舞台挨拶。新しい世代の人たちが日本の映画を背負って立つんだなという感慨と、まだまだこれからも描きたい世界が、日本の課題としてたくさんあるなという想いを新たにしています」としみじみ。「この世界、地球上で、子どもたちができるだけたくさん笑っているような未来。そういう未来に向けて映画を作っているつもりですが、映画監督がすばらしい映画を作っても、戦争は終わらない。その分断のなかでどうか人と人がつながって、よりよい未来がやってきますようにと願いながら、この作品をつくりました」と本作に込めた想いを明かした。

小児病棟に入院中の少女、瞳の母親である裕子役を演じる松尾翠
小児病棟に入院中の少女、瞳の母親である裕子役を演じる松尾翠

続けて、それぞれの役者陣への感謝を口にした河瀬監督。「母親役の2人も、初めての河瀬組への参戦。いろいろな分野で一線を走っていらっしゃる方々が、河瀬組という特殊な現場をよくぞ耐えていただいた。精神が崩壊するんじゃないかと思った」と苦笑いを浮かべながら、病を抱えた子どもの母親という、辛い役柄を演じ切った岡本と松尾に感謝。そして主人公のコリーが屋久島で運命的に出会う謎めいた青年を演じた寛一郎について、河瀬監督は「とても難しい役柄。この人は本当にいるのかという危うさ、消えてしまいそうな存在感を表現しなければいけない」と難役をやり遂げてくれたと熱を込め、「失踪と臓器移植というものを掛け合わせた、オリジナル脚本。俳優の皆さんがそこを理解し、しっかりと体現してくれた」と賛辞を送った。

寛一郎、河瀬直美監督から無茶振りを受ける場面も
寛一郎、河瀬直美監督から無茶振りを受ける場面も

「この仕事をはじめて、10年くらい」と切り出した寛一郎は、「デビュー作のような、“裸のまま出る”じゃないですけれど、自分が10年で培ってきたものを捨てなければいけない時もあった。そういった意味で、初心にかえるのとはまた違うんですが、デビュー作のような気持ちで挑ませていただいた」と告白した。すると河瀬監督は、「三國連太郎さんが観たら、どう思うかな」と寛一郎の祖父の名前をあげ、これには寛一郎も「その無茶振り、難しいですね」とタジタジ。「(佐藤)浩市が観たら、どう思うかな」と今度は父親の名前を出した河瀬監督は、「佐藤さんに仕草や言葉を出す時の雰囲気など、すごく似ているなと思った。でもまったく違うものを持っている。この人に賭けてみようと思った。日本の俳優陣のなかで、英語を即興的に、ネイティブに近いような形で出せる。そういう器用さを持っている。フランス語も含めて、音楽的な言語のセンスを出せる人」だとその才能に惚れ惚れとしていた。

中野翠咲、中村旺士郎のトークに会場からも大きな拍手が上がった
中野翠咲、中村旺士郎のトークに会場からも大きな拍手が上がった

撮影を振り返って、中村が「撮影の時は、心の思うがままにやっていたかな」、寛一郎も「僕も一緒で、思うがままにやりすぎちゃったかな」と続いて意気投合するなど、作品への愛情と楽しい雰囲気の伝わるトークに会場もほっこり。寛一郎は改めて「デビュー作だと思ってやれる作品に出会えて、幸せ。僕にとって大切な作品」と語り、河瀬監督は「皆さんに対する、質問のようなものを組み込んだ作品になっている。それぞれの人生、それぞれの局面において、自分だったらそこでどのように考えるだろう、どんな愛を手渡していけるんだろう、本当のつながりってなんだろうと、ほんの少しでも考えるきっかけにしていただけるとうれしい」と願い、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝

※河瀬直美監督の「瀬」は旧字が正式表記

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