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新作「LV スニーカリーナ」の制作現場に密着。ルイ・ヴィトンの最旬ハイブリッドシューズができるまで

  • 2026.2.6

私のルイ・ヴィトンLOUIS VUITTON)の本命アイテムは、ハンドバッグだ。特にモノグラムがあしらわれたものには目がない。だが、メゾンのシューズには、昔から独自の引きがある。

1997年から2014年までルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターを務めたマーク・ジェイコブスは、メゾンのフットウェアの個性とイメージを確立させたデザイナーだ。彼が考案したシューズは、2026年現在もなお、私のほしい物リストに入っている。だが、単に長年欲しているから、惹かれているわけではない。私がファッションに本格的に目覚めた、90年代後半を連想させるアイテムだから、魅力を感じるのだ。だからもちろん、パドヴァ郊外のフィエッソ・ダルティコにあるメゾンのシューズアトリエを訪れる機会を得たとき、一も二もなく見学することにした。

フィエッソ・ダルティコにあるルイ・ヴィトンのシューズアトリエ。
フィエッソ・ダルティコにあるルイ・ヴィトンのシューズアトリエ。

今回は最新作のひとつ、「LV スニーカリーナ」の製造工程を主に見学した。「LV スニーカリーナ」とは、バレリーナスタイルのソールとスニーカーのアッパーを組み合わせたハイブリッドデザインで、アナ・デ・アルマスからブラックピンクBLACKPINK)のリサまで、早くもセレブお墨付きの1足となっている。

メゾンのシューズの製造拠点であるこのアトリエは、巨大な靴箱のような設計だ。スチールとガラスで建てられており、風通しが良く、手入れの行き届いた芝生には、ジャン=ジャック・オリー作の《Venus à l'Escarpin》、ジョアナ・ヴァスコンセロス作の《Priscilla》、ナタリー・デコスターによる作品など、ルイ・ヴィトンとアートとの長年の関係を物語る彫刻が点在している。それらは、ここが「物づくり」と「表現」が両立する場所であることを意味しているのだろう。

ジョアナ・ヴァスコンセロス《Priscilla》
ジョアナ・ヴァスコンセロス《Priscilla》
ジャン=ジャック・オリー《Venus à l'Escarpin》
ジャン=ジャック・オリー《Venus à l'Escarpin》
ジャン=ジャック・オリー《Venus à l'Escarpin》
ジャン=ジャック・オリー《Venus à l'Escarpin》

しかし、本当の見どころはアトリエの中だ。デザインスタジオに通されると、ウィメンズシューズのチームが選りすぐった、1990年代から今日に至るまでのアーカイブピースが並べられており、ヒット商品はもちろん、製造されることなく、ランウェイ用のプロトタイプで終わった魅力的なものもあった(オフランウェイで間近に見るのは、なんとも感慨深い体験だ)。

整然と並べられた足型。
整然と並べられた足型。

「ここが、スニーカリーナが生まれた場所です」とウィメンズシューズ部門のディレクターであるファブリツィオ・ヴィティは説明する。デザインは、1930年代のバレエシューズと、ニコラ・ジェスキエールが手がけた「アークライト スニーカー」から着想されたという。その狙いは、型にはまらないデザインで、スリムなスニーカーへの需要に応えることだった。「素材、構造、アイデンティティに重点を置きました」とヴィティ。「新しいカラーバリエーションへの需要に後押しされ、早い段階でヒットし、進化を続けてこられました」

250以上ものステップに及ぶ製造工程

シューズは1足1足、職人によって製作される。
シューズは1足1足、職人によって製作される。

スケッチが完成すると、「ラスト」と呼ばれる足型が製作される。デザインがスケッチされたラストはまずデジタル化。後に優れた乾性と、マーキングがレザーを通しても透けて見える木材で作られる。このラスト製作を含め、1足のシューズを作るのには250以上もの工程があり、1,000坪に及ぶであろう広々とした製造フロアで、何世紀も前から培われてきたノウハウを駆使し、レザーを選び、手作業でカットする熟練した職人たちを目の当たりにした。この段階では、精度がすべてだ。きれいに切り揃えられたエッジに、正確な位置合わせ。一寸の誤差も許されない。

スニーカリーナのパーツ。
スニーカリーナのパーツ。

スニーカリーナには、アッパーとライニングを縫い合わせた後、小さなバッグのように裏返しにするイタリアのサケット製法が採用されている。本来はバレエシューズに用いられる技術だが、よりしっかりとした内部構造と取り外し可能なインソールで全体を補強することで、超軽量ながらも手袋のようなフィット感を実現している。つまり、見た目はバレエシューズ、履き心地はスニーカーの1足が完成するのだ。

縫い合わせの工程。
縫い合わせの工程。
一寸の誤差も許されない位置合わせ。
一寸の誤差も許されない位置合わせ。

今季はスエードやタペストリー素材を用いたモデル、ミュールやスリッパのスタイルなどが展開。ディテールへのこだわりもうかがえ、ステッチ、エッジ、メタルのハードウェア、表面の加工などは最終段階で微調整され、仕上げられる。そして完成されたシューズはなんと、1足1足、アトリエで梱包。ひと目見ただけで心躍る、「ルイ・ヴィトン」と書かれたアイコニックな箱に詰められ、ここイタリアから世に送り出される。

シューズ作りは、細かく、骨の折れる作業だ。いくつもの決断が下され、1足1足がクラフツマンシップと人の手による丁寧な仕事の上で成り立っている。少なくとも、ルイ・ヴィトンの世界ではそうだ。アトリエに到着したときはバッグ狂だった私だが、帰るころにはメゾンのスニーカーに夢中になっていた。

Text: Laura Tortora Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.IT & VOGUE.CO.UK

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