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台所も風呂もない、3階建てのビルを買う。壮絶で孤独なDIYのはじまり。写真と文:ねむようこ (漫画家) #1

  • 2026.2.6

変な家を買ってしまったな。

そう気づいたのは、購入してから2年ほど経った頃だったかもしれない。私は漫画家という仕事をしていて、おそらく「世間一般」というものから少し距離のある生活をしていた。

そのせいで、私たちの家が一般的でないということに気づくのに少し時間がかかってしまったように思う。

しかし、それは明らかに「変」だった。何せその家には、台所も、快適なトイレも、そして風呂もなかったのだから。

変というより、暮らすために必要なものがことごとく欠けている、ただの「建物」だった。

出典 andpremium.jp

15年前、結婚が決まり、私と夫には住む場所が必要になった。猫と一緒に暮らせること、集合住宅ではないこと、そしてDIYができること。そんな条件で物件を探していた。

私も夫も、人から与えられたイメージをそのまま受け取るのが苦手な人間だ。平たく言えば、天邪鬼なのだろう。自分たちのイメージにぴったりのものが売っていれば喜んで買ったと思う。だが、そんなものはどこにもなかった。だから、自分たちで作るしかなかった。

幸い、夫は器用で、そのうえ、「自分が思い描いたものは必ず形にできる」と自分自身を信じている人だった。

そうした条件の末にたどり着いたのが、この3階建ての小さなビルだった。

先述した通り、家として住むには不向きな建物で、過去には美容院や会社の事務所が入っていたような代物だ。ところどころには雨漏りの跡も残っている。

ここから、私と夫の……いや、正確には夫の、壮絶で孤独なDIYの物語が始まった。

出典 andpremium.jp

この連載では、そのビルが家になるまでの記録を綴っていこうと思う。

漫画家 ねむようこ

出典 andpremium.jp

1980年生まれ。岐阜県出身、愛知県名古屋市在住。2004年に漫画雑誌『FEEL YOUNG』にてデビュー。2013年に初連載作『午前3時の無法地帯』(祥伝社)、2023年に『こっち向いてよ向井くん』(祥伝社)が実写ドラマ化。ほか、『ペンとチョコレート』(芳文社)、『とりあえず地球が滅びる前に』(小学館)、『神客万来!』(芳文社)、『トラップホール』『三代目薬屋久兵衛』『ボンクラボンボンハウス』『君に会えたら何て言おう』(4作ともに祥伝社)など著書多数。現在、『OUR FEEL』にて『たぶんここから始まる恋』(シュークリーム)を連載中。

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