1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【九州国立博物館】開館20周年記念特別展 「平戸モノ語り」高校生以下無料!

【九州国立博物館】開館20周年記念特別展 「平戸モノ語り」高校生以下無料!

  • 2026.2.6

お正月が終わり一ヶ月が経過しましたね。みなさん2026年を楽しんでいますか? 長崎県平戸市出身のリビングふくおか・北九州Web地域特派員のひすいです。

今年初めての取材は、九州国立博物館開館20周年記念特別展「平戸モノ語りー松浦静山(せいざん)と熈(ひろむ)の情熱ー」の記者内覧会に参加してきました。約200年前に生きていた平戸のお殿様、親子二人で集めたコレクションの展覧会です。 私は昔から松浦熈のダイナミックな書に魅了されています。けれど、どんな人物なのか詳しく知らなかったので、今回の展覧会を楽しみにしていました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

20周年を迎えた九州国立博物館。周辺の景色を、鏡のように映し出す外観、堂々たる姿ですね。

出典:リビングふくおか・北九州Web

まずは研修室で展覧会の概要説明を聞きました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

左が九州国立博物館館長 富田淳さん、右は九州国立博物館 文化財課 主任研究員 松浦晃佑さん(同展の主担当)です。 館長挨拶では「20周年の感謝を一人でも多くの方々に伝えようと企画した、20周年の掉尾(ちょうび)を飾る特別事業です。松浦家9代、10代藩主の二人が生涯をかけて集めた文化財と情熱に焦点を当てています。松浦研究員が科学研究費(国からの研究費)を獲得して4年に渡って松浦史料博物館に通い続け、調査をした成果を発表するという特別展です。名品もありますが、名品以外の未発表資料が約8割あります。」と話されました。なんと!ほとんどが初お目見え!

若いときに見た文化財というのは生涯に渡って記憶に残り続けるので、若い人にもこの展覧会を気軽に見てほしい、との思いから高校生以下・18歳未満が観覧無料です。特別展としては初の取り組みだそうです。

松浦史料博物館とは

出典:リビングふくおか・北九州Web

長崎県平戸島の北部に1955年(昭和30年)に開館しました。1893年(明治26年)松浦家の邸宅として建てられた建物を利用しており、平戸藩主松浦家に伝来した資料を保存・公開する博物館です。開館から70年、歴史資料、美術品を多数収蔵しています。その中でも江戸時代後期の平戸藩主 松浦静山のコレクションは特別です。 詳しくはホームページをごらんください。 松浦史料博物館ホームページ

ここから松浦研究員(愛知県出身で松浦家とは関係ないそうです)に展示の案内をしてもらいながら、「平戸モノ語り」の展示を見ていきます。

出典:リビングふくおか・北九州Web
出典:リビングふくおか・北九州Web

入場してすぐにモニターがあり、映像で松浦静山と熈の紹介をしています。まずはここで、二人の人となりと展示の内容を見てください。 随筆甲子夜話(かっしやわ)で有名な静山に対し、息子の熈はあまり知られていません。しかし、父静山にも負けない情熱を持って、文化財を残しています。

松浦静山ってどんな人?

出典:リビングふくおか・北九州Web

三勇像 内藤業昌筆、佐藤一斎賛 江戸時代 画:天保10年(1839) 賛:天保11年(1840) 長崎・松浦史料博物館

平戸藩9代藩主の松浦清は、号の「静山」で知られています。この絵の一番右側の人物が松浦静山。静山は肖像画を描かれるのがすごく嫌いだったという人物。姿が描かれているものは、ほとんどないそうで、この肖像画の上に「静山は老いてもなお高い志を抱き、外見は穏やかだが、内面は強靭」との説明書きがあります。当時80歳なのですが、鋭い眼光です。

出典:リビングふくおか・北九州Web

資料について、面白いパネルが設置されているのでこれは必見です。子どもにもわかりやすく書いてあります。

出典:リビングふくおか・北九州Web

久昌院教訓 松浦清識 紙本墨書 江戸時代 18世紀 長崎・松浦史料博物館

出典:リビングふくおか・北九州Web

久昌院とは静山のおばあちゃんです。静山はかなりのおばあちゃんっ子だったようです。 もともと、静山は藩主の後継ぎ候補ではありませんでした。しかし、16歳の時父親が亡くなり、家督を継ぐことになりました。幼少期から青年期にかけて、静山の心の支えであったのが祖母の久昌院でした。「歴史を学ぶ」重要性を教え諭されました。古いものを大切にする、この教えが、その後の静山の人生を形作っていったようです。

久昌院教訓には、おばあちゃんの教えが書いてあります。隣に現代語訳があるのでぜひ読んでみてください。 現在に暮らしている私たちの生き方にも、役立つことが書いてあります。

藩主になった静山は平戸藩の立て直しを図り、藩校「維新館」を設置し文教政策にも力を入れました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

松平定信像 松平定信筆 江戸時代 天明7年(1787) 三重・鎭國守國神社

寛政の改革で有名な松平定信(1758〜1829)は、静山憧れのお殿様でした。全国の文化財を調査して目録化する事業に取り組みました。他の大名たちに影響を与えています。静山もその一人です。息子熈は定信の娘、蓁を妻に迎えました。松浦家は外様大名でしたが、静山は出世したいと考えていました。

※松浦史料博物館では蓁の嫁入り道具のお雛様などが展示される時があります。

静山が62歳(数え年で)から約20年間書き綴った「甲子夜話」

出典:リビングふくおか・北九州Web

甲子夜話続篇 巻第30・箱 松浦清著 江戸時代 嘉永6年(1853)写 長崎・松浦史料博物館

文政4年(1821)11月17日(この日は甲子の日)、隠居した静山のもとに、友人の林述斎(幕府の文書、学問行政に深く関与)が訪れ、「4代藩主・鎮信にならってこれまで見聞きしたことを子孫のために伝えた方が良いですよ」、と静山に勧めました。甲子の日の夜から書き始めたので【甲子夜話】という名前にしました。亡くなるまで約20年間書き続けた随筆で、自然現象、社会風俗、政治経済、外国文化、黄表紙、浮世絵、怪談話にまで及んでおり、全部で278巻あります。

静山の生前には製本できず、静山自筆の甲子夜話の原稿を江戸から平戸に熈が取り寄せ、製本しました。原本は失われてしまいましたが、副本と写本が残っています。関東大震災や東京大空襲のことを思えば、残っていて良かったと思います。

甲子夜話の文章の中身がわかるパネルとともに展示してあるので、どんなことが書いてあるのか読んでみてください。 時代劇の時代考証に使われたり、時代小説を書く作家の間ではネタの宝庫とも称される江戸時代の一大エッセイです。

出典:リビングふくおか・北九州Web

平戸藩楽歳堂蔵書目録 松浦清筆(一部異筆)、藤原順職ら8名編 江戸時代 天明5年(1785)頃〜寛政12年(1800)頃 長崎・松浦史料博物館

静山が平戸城に設けた楽歳堂の収蔵品目録です。知識層・文化人のネットワークを通じて、静山は資料収集をし、楽歳堂には集めたものが収蔵されていました。もし収蔵品が失われたとしても目録は残る、後世の人たちにも自分の集めた思いを知ってもらおう、という思いで目録を作りました。収蔵品をジャンルごとに分け、入手先や内容、静山の見解や考証も書いてあります。

静山のコレクションは美術品の収集、絵画絵図の模写、古典籍の書写、洋書の入手、瓦や石の収集。バリエーション豊かです。些細なことでも歴史を後世に残したい、という情熱は藩主としての責任感でもありました。

ちなみに静山は明治天皇のひいおじいちゃんにあたります。静山の11女、愛子は明治天皇のおばあちゃんです。

松浦熈ってどんな人?

松浦静山の三男、10代藩主の熈は子どもの頃から、父親に大きな期待をかけられていました。松浦静山の憧れのお殿様、松平定信の娘、蓁(しん)姫との結婚もこの期待の表れでした。4代藩主・鎮信以降、歴代藩主は江戸生まれであるのに対し、熈は平戸生まれの藩主でした。隠居生活も江戸ではなく平戸を選んでいます。熈がいなければ残らなかった文化財は数多くあります。ちなみに熈と蓁は仲良しだったようです。

出典:リビングふくおか・北九州Web

父静山とは反対に熈の肖像画はたくさん残っています。自分が死んだ後、肖像画が身代わりになって平戸と松浦家を守る、という思想を持っていました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

誠意 松浦熈筆 江戸時代 寛政10年(1798) 長崎・松浦史料博物館

熈幼少期の手習い。篆書(てんしょ)体の「誠意」は8歳で書いたとは思えない、筆に落ち着きが見られます。この年でどれだけ練習したのだろうかと胸が熱くなりました。でも名前の筆跡からは年齢相応のかわいらしさとあどけなさが伺えます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

馬図 松浦熈筆 江戸時代 18世紀末〜19世紀初 長崎・松浦史料博物館

今年の干支の馬ですね。熈は絵も上手だったんですね。

出典:リビングふくおか・北九州Web

亀岡随筆 巻第一 自序 松浦熈筆 江戸時代 19世紀 長崎・松浦史料博物館

父と同じように、熈も随筆を執筆しました。亀岡随筆といい、亀岡とは平戸城一帯の地名です。天保4年(1833)頃に書き始め冊数にして89冊。一部は熈の孫で最後の平戸藩主である詮(あきら)が編集しました。序文には「この随筆は後世の人々と子孫に向けた真心そのものだ」と書いてあります。単なる暇つぶしのためでなく、後世の人々にメッセージを伝えるために、自らの心血を注いだものだったようです。幕府の力が弱まり外国の船が来たりと、社会情勢が不安定だった時代に自ら守り神になることを宣言しています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

嵯峨天皇像 住吉広尚筆 江戸時代 文政9年(1826)〜文政11年(1828) 長崎・松浦史料博物館

出典:リビングふくおか・北九州Web

神系 松浦熈筆 江戸時代 天保3年(1832) 長崎・松浦史料博物館

熈が書いた静山までの松浦家歴代当主の系図です。神を始祖とする系図です。松浦一族の祖とされる源融よりさかのぼり嵯峨天皇、天之御中主神から始まっています。先祖の嵯峨天皇像や源融像などの肖像画を手に入れて、偉大な先祖のパワーにあやかり、平戸の平和を願っていました。 熈の筆跡は、強弱や濃淡のある筆文字しか見たことがなかったので、まるで印刷のように綺麗に大きさの揃った熈の文字にはびっくりしました。

精密な記録、家世修古図

松浦家に伝わった家宝や平戸に伝わる宝物の、質感がわかるほどに精緻な図を掲載する家世修古図という記録です。

出典:リビングふくおか・北九州Web
出典:リビングふくおか・北九州Web

裂(きれ)(伝後醍醐天皇袴断片) 南北朝時代 14世紀 長崎・松浦史料博物館

こちら後醍醐天皇の袴のきれ、と伝わる現物です。

出典:リビングふくおか・北九州Web

家世修古図 江戸時代 18〜19世紀 巻第2 後醍醐帝所賜寸断錦 家臣松崎氏蔵

そのきれを描いたものがこの図です。毛の一本一本が見える緻密な絵図。本物の布が貼ってあるのではないかと疑ってしまいます。現代にも通じる、すごい仕事ですね。驚きの連続です。

出典:リビングふくおか・北九州Web

デジタル化された家世修古図で、展示物を拡大して詳しく見てみましょう。

松浦静山と熈の情熱を受け取りました

静山と熈がなぜ、様々な文化財を集めたのか、模写させたのか、自ら手掛けたのか、よく分かる展覧会でした。収集した人の気持ちがひしひしと伝わってくる珍しい展覧会です。私が熈の書に魅せられていたのは、熈の熱い思いが伝わっていたからかもしれません。

今回の展覧会では、現在のように博物館や美術館が収集し研究や展示ができて、誰でもいつでも気軽に展示物を見に行けるような世の中が、ずっと続いてほしいという願いを持ちました。もし現在に静山と熈が生きていてもきっとそう思うのではないでしょうか。

展示物は、魅力的なものが他にもたくさんあるんですが、紹介できなかったので、実際に足を運んでみてください。あなたにとって面白いものや興味深いものが、きっと見つかります。

出典:リビングふくおか・北九州Web

さて、今回の特別展「平戸モノ語りー松浦静山と熈の情熱ー」の図録(1980円)ですが、読み応え十分です。ただの図録ではありません。静山と熈の物語がこの中にみっちり詰まっています。この記事を書くにあたり参考にしました。かなり面白いので、ぜひ皆さんも手に取って読んでみてください。

お土産に「まごころ製品」をどうぞ

展示コーナーを出てすぐの3階特別展示室前には、物販コーナーが設けられています。障害のある方々が特定非営利活動法人セルプセンター福岡と連携し、この展覧会をモチーフとした「まごころ製品」を販売しています。お菓子やコーヒー、雑貨など様々なものが販売されています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

平戸モノ語りセット1500円(ドリップコーヒー4袋と静山クッキー3枚)

出典:リビングふくおか・北九州Web

百物語化物図 江戸時代 18〜19世紀 長崎・松浦史料博物館

私は展示物の中で、この白くて丸いおばけ(蹴鞠の鞠らしいです)が特に気に入りました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

百物語化物図ステッカー 200円 とってもかわいいステッカーになっています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

木製コースター 880円

出典:リビングふくおか・北九州Web

百物語化物図のおばけのイラストがパッケージになっている かりんとう300円

出典:リビングふくおか・北九州Web

収蔵品の琵琶をモチーフにしたガレット 350円

出典:リビングふくおか・北九州Web

静山名言ポストカード 250円

出典:リビングふくおか・北九州Web

かわいくておもしろくてたくさん買ってしまいました。静山クッキーを食べましたがバターの風味とサクサク食感、最高です。白くて丸いおばけのコースターもかわいい!

出典:リビングふくおか・北九州Web
出典:リビングふくおか・北九州Web
出典:リビングふくおか・北九州Web

松浦史料博物館には、伊能忠敬が平戸周辺を測量した「伊能図」、狩野探幽の屏風など、貴重なものがまだまだありますし、ただいま平戸ではひらめまつり開催中です(3月15日まで)。その他にもお魚や平戸牛など新鮮で美味しいものが平戸にはたくさんありますので、ぜひ平戸に足を運んでください。(西九州自動車道平戸ICが開通したのでこれまでより早く平戸に着きますよ!) 2026年も面白い年にしましょうね!

松浦史料博物館開館70周年記念・九州国立博物館開館20周年記念特別展「平戸モノ語りー松浦静山と熈の情熱ー」 会期:2026年3月15日(日)まで開催中〈前期〉1月20日(火)~2月15日(日)、〈後期〉2月17日(火)~3月15日(日) ※一部作品展示替えあり※写真撮影OK(一部作品を除く) 開館時間:日曜日・火曜日~木曜日9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)、金曜日・土曜日【夜間開館】9時30分~20時00分(入館は19時30分まで)※変更の場合あり 休館日:月曜日〔2月23日(月・祝)は開館、2月24日(火)は休館 〕 観覧料:一般2,000円、大学生1,200円、高校生以下・18歳未満無料 九州国立博物館 - 特別展「平戸モノ語り―松浦静山と熈の情熱 ―」

元記事で読む
の記事をもっとみる