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【アニメ化】王子と呼ばれる二人の男女が出会ったらどうなる? 繊細な心理描写と美しい見た目が魅力の少女マンガ『うるわしの宵の月』【書評】

  • 2026.2.5
うるわしの宵の月 やまもり三香/講談社
うるわしの宵の月 やまもり三香/講談社

相手の気持ちに向き合うためには、まず自分の気持ちに向き合わなければいけない。自分は相手のことをどう思っているのか、どんな関係を望んでいるのか…。『うるわしの宵の月』(やまもり三香/講談社)を読むと、出会ったことの無かった自分の気持ちに向き合うときの、手探りで、心許なくて、期待と不安がごちゃ混ぜになったような感情を思い出し、ぎゅっと心を掴まれたような気持ちになる。真剣に人と向き合おうとする姿が愛おしく、眩しく感じられる少女マンガだ。

『うるわしの宵の月』は、KCデザートで連載中の人気マンガ。「ebookjapanマンガ大賞2023」で大賞を受賞、「第12回ananマンガ大賞」で準大賞、「全国書店員が選んだおすすめ少女コミック2022」で1位に輝いた人気作品。満を持して2026年1月11日からアニメ放送が開始されている注目作だ。

主人公の滝口宵は、背が高く、スレンダーで美しい顔立ちとスマートなふるまいから、男女問わず「王子」と呼ばれる高1女子。一方、学校で同じく「王子」と呼ばれる先輩・市村琥珀は、イケメンでお金持ち。長身で、見た目だけではなく育ちの面からも王子と呼ばれている。そんなダブル王子が出会うところから物語は始まる。

初対面の宵に対し、琥珀は「あんためちゃくちゃ美しいな」と一言。王子キャラとしてしか扱われたことが無かった宵は、「美しい」と言われたこと、女の子扱いされたことに赤面する。「ヒロインが似合わないことは自分が一番わかってる」と思いながらも、自分のことを王子としてではなく一人の女性として見てくれる琥珀に次第にガードを緩め、無遠慮に距離を詰めてくる琥珀に戸惑いながらも、一緒に時間を過ごすことが嫌ではなくなっていく。

一方の琥珀は、どこか恋愛には冷めているのに宵は気になってしまう。これが恋愛なのか何かはよく分からないけれど、美しいものはずっと見ていたい、手に入れたいという一種の欲望のようなもので宵に近づいていく。

宵も琥珀も、王子と呼ばれたくて呼ばれているわけではない。ただ、その見た目や置かれている状況から、周囲が勝手に王子キャラと持ち上げているだけ。外面だけではない「本当の自分を見てくれる相手」に出会ったことをきっかけに、相手へ求める欲求や、自分のなかにある本当の気持ちに向き合っていく。

このマンガの魅力は、お互いに「王子」と呼ばれもてはやされ、そもそも感情表現の少ないクールな2人が恋をして、心の内側の想いやセリフでは言語化できない、あふれ出る感情が痛いほど伝わってくるところだ。自分でも理解できないような感情に支配されたり、揺れ動いたりする微妙な感情を、繊細な心理描写で画を通してしっかりと伝えてくれる。これぞマンガの醍醐味と言わんばかりの、2人の表情が尊く美しい。

巻を読み進めるごとに宵は王子からヒロインになっていく。そして、そんな宵にどんどん夢中になっていく琥珀もまた、クールでミステリアスだった登場時からだいぶ表情が崩れて、等身大の男の子になっていく。その柔らかな表情から、お互いが感情をさらけ出せる相手になったことを感じさせてくれる。

そんな不器用な2人の心の機微が、TVアニメでは表情はもちろん、声色からも伝わってくる。落ち着いた印象の2人だが、友達や家族といるときにはまた違った声の表情を見せてくれそうで、そういった面からも登場人物が増えてくるTVアニメの今後が楽しみだ。

1月13日に発売された最新10巻は、クリスマスをともに過ごした幸せな雰囲気から一転して、新学期に琥珀が学校に来ないという不穏な雰囲気から始まる。どんなことでも相談してほしかった宵と、自分でも受け止めきれない環境の変化にどう伝えたらよかったのか困惑する琥珀。「王子」と呼ばれる2人に最大の試練が訪れる…。

出会い、恋に気づき、心が動き、悩んだり苦しんだりしながら自分の気持ちに真正面に向き合っていく王子2人の今後に、これからも目が離せない。

文=鈴木麻理奈

TVアニメ「うるわしの宵の月」

[公式HP]https://uruwashi-anime.com/

[公式X]https://x.com/uruwashi_anime

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