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ジョニー・デップの約30年ぶりの監督復帰作『モディリアーニ!』を鑑賞。芸術家モディリアーニの人生を変えた“狂気と情熱の72時間”に圧倒!

  • 2026.2.4

2026年1月16日より全国公開された『モディリアーニ!』は、パリを舞台に芸術家アメデオ・モディリアーニの人生を変えた激動の3日間を描いた作品。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。

映画『モディリアーニ!』 (C) Modi Productions Limited 2024
映画『モディリアーニ!』 (C) Modi Productions Limited 2024

【ストーリー】

物語の舞台は戦争で荒廃した1916年のパリ。友人たちからモディと呼ばれるボヘミアン芸術家アメデオ・モディリアーニ(リッカルド・スカマルチョ)は、警察からの逃亡中、芸術家を辞めてパリを出たいと考えていた。

ところが、芸術仲間のモーリス・ユトリロ(ブリュノ・グエリ)、シャイム・スーティン(ライアン・マクパーランド)、そしてモディリアーニのミューズ的存在のベアトリス・ヘイスティングス(アントニア・デスプラ)が彼を引き止める。

モディは、友人であり画商のレオポルド・ズボロフスキ(スティーヴン・グレアム)に助言を求めるが、彼の心は混乱するばかり。

やがて彼の人生を変えるアメリカ人のコレクター、モーリス・ガンナット(アル・パチーノ)と出会うのだった。

イタリア人芸術家アメデオ・モディリアーニ(リッカルド・スカマルチョ) (C) Modi Productions Limited 2024
イタリア人芸術家アメデオ・モディリアーニ(リッカルド・スカマルチョ) (C) Modi Productions Limited 2024

アル・パチーノが長年温めていた企画をジョニー・デップが映画化!

ジョニー・デップにとって、『ブレイブ』(1997年)以来約30年ぶりの監督作となった本作。きっかけは、なんと長年の友人アル・パチーノのからの提案だったという。1997年に『フェイク』で共演した当時は、モディリアーニをテーマにした映画をアル・パチーノが監督するつもりで、ジョニーには主役を任せたいと考えていたそう。そこから時を経て20年後の2017年、デップとパチーノの間で再びアメデオ・モディリアーニの話が再浮上し、この企画が実現した。

イタリア人芸術家アメデオ・モディリアーニは、画家や彫刻家としてフランス・パリで活動していたが、不摂生な生活による貧困、肺結核、薬物依存などにより35歳で亡くなった。本作では、そんな彼の人生を変えた激動の72時間を描いている。

実はジョニー自身も画家の顔を持っていて、子どものころから絵を描くことが大好きだったという。そんなジョニーが俳優としてブレイクする前の20代からこれまでに手がけた100点を超える絵画やドローイングを展示した没入型アート展「A Bunch of Stuff - Tokyo」が、高輪ゲートウェイ NEWoMan 高輪 South 2階“+Base 0”(プラスベースゼロ)で現在開催中だ。

【写真】約30年ぶりに映画の監督を務めたジョニー・デップ (C) Modi Productions Limited 2024
【写真】約30年ぶりに映画の監督を務めたジョニー・デップ (C) Modi Productions Limited 2024

本作でモディリアーニを演じるのは、『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年)での犯罪組織の幹部役や『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(2023年)での名探偵ポアロのボディーガード役などで知られるイタリアの俳優リッカルド・スカマルチョ。

“破天荒だけどどこか繊細”というモディリアーニの独特な個性を、スカマルチョが説得力のある演技で完璧に表現している。スカマルチョはイケオジだけどモディリアーニがだらしないせいか、正直最初はあまり魅力を感じなかった。ところが話が進んでいくうちにどんどん魅力的に見えてくるのが不思議。さすがスカマルチョ、その辺も計算して演じたに違いない。

(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024

モディリアーニの恋人であり、ミューズ的存在のベアトリス・ヘイスティングスを演じたのは、オスカー・アイザック主演の『オペレーション・フィナーレ』(2018年)に出演したアントニア・デスプラ。美しくてサバサバしていて包容力のあるベアトリスは、個人的に一番好きなキャラクターだった。

モディリアーニの恋人であり、ミューズ的存在のベアトリス(アントニア・デスプラ) (C) Modi Productions Limited 2024
モディリアーニの恋人であり、ミューズ的存在のベアトリス(アントニア・デスプラ) (C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024

モディリアーニの芸術仲間のモーリス・ユトリロを演じたのは、テレビシリーズ『エミリー、パリへ行く』に出演しているブリュノ・グエリ、同じく芸術仲間のシャイム・スーティン役には、アフガン戦争の最後の夜の兵士たちの物語を描いた『インビジブル・ウォー』(2017年)に出演しているライアン・マクパーランド。

この2人は基本的に酒場でモディリアーニと飲んだくれていて、最初は関係性が謎だったが、物語中盤から後半にかけて3人の絆や友情を感じられる描写があったため、モディリアーニに仲間がいてよかったとホッとする瞬間があった。クセ強キャラのユトリロとスーティンが、モディリアーニとユニークな掛け合いをする数々のシーンにも注目してもらいたい。

左から芸術家のユトリロ(ブリュノ・グエリ)とスーティン(ライアン・マクパーランド) (C) Modi Productions Limited 2024
左から芸術家のユトリロ(ブリュノ・グエリ)とスーティン(ライアン・マクパーランド) (C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024

モディリアーニの友人であり画商のレオポルド・ズボロフスキを演じたのは、『パブリック・エネミーズ』(2009年)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(2011年)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017年)でジョニー・デップと共演し、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021年)で刑事役を好演したスティーヴン・グレアム。登場から怪しさ満載のキャラクターで、ズボロフスキのメガネの奥の瞳が笑っていないように感じられたときは背筋がゾクッとした。

モディリアーニの友人であり画商のズボロフスキ(スティーヴン・グレアム) (C) Modi Productions Limited 2024
モディリアーニの友人であり画商のズボロフスキ(スティーヴン・グレアム) (C) Modi Productions Limited 2024

アメリカ人のコレクター、モーリス・ガンナットを演じたのは、『ゴッドファーザー』シリーズや『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1993年)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)など数々の名作に出演する名優アル・パチーノ。ガンナットは実在したアートコレクターで、本作のクライマックスシーンに登場する。一流コレクターに作品を売りたくて仕方がないモディリアーニに、ガンナットがどんな言葉を放つのか楽しみにしてもらいたい。

アメリカ人のコレクターのガンナット(アル・パチーノ) (C) Modi Productions Limited 2024
アメリカ人のコレクターのガンナット(アル・パチーノ) (C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024

有名な画家が経験した濃すぎる3日間に驚き圧倒される作品!

『バスキア』(1996年)や『フリーダ』(2002年)、『宮廷画家ゴヤは見た』(2006年)、『永遠の門 ゴッホの見た未来』(2018年)など、実在する芸術家の半生を題材にした作品はたくさんあるが、本作は激動の3日間に焦点を当てて描いたところに監督のこだわりを感じた。

天才たちの想像を絶するような人生を、2時間や2時間半にギュッと凝縮して見せてくれるのはありがたいが、物語が壮大すぎて観終わったあとにドッと疲れてしまうのだ(もちろん映画はおもしろいし見応えあるが…)。

その点、本作は35歳の若さでこの世を去ったモディリアーニが、芸術家としてもがき悩んでいたころの激動の3日間にスポットを当てているため、鑑賞後の疲労感はそんなになかった。劇中では他人の子どもに嘘をつかせて自分の絵を価値あるものとして販売する場面や、モディリアーニの目の前にゾンビのような人間が大勢現れるという幻覚を彼が見る場面があり、個人的にはこの2つのシーンがとても印象深かった。

(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024

モディリアーニの絵画や彫刻は写真でしか見たことがなく、実はこれまで彼の作品に対してそこまで興味を持ったことがなかった。ところが、本作を観てモディリアーニが挫折を味わっていたことに驚き、自身の作品と必死に向き合おうとする姿に圧倒されてからは、いつか彼の絵画や彫刻をこの目で見てみたいと思うようになった。

ジョニーは本作について「私が究極的に描きたかったのは、“愛・芸術・挫折”という普遍的な物語だ」と語っている。芸術を心から愛する彼の監督復帰作『モディリアーニ!』をぜひ劇場で鑑賞してもらいたい。

(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024
(C) Modi Productions Limited 2024

文=奥村百恵

(C)Modi Productions Limited 2024

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