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「日経平均は10万円まで上がる」そんな予測が出たら終わりの始まり…世界的投資家が掴む大暴落の予兆

  • 2026.2.4

日経平均株価は5万円台を推移し、人々は熱狂の渦の中だ。世界三大投資家の一人、ジム・ロジャーズ氏は「日経平均は10万円になるといった極端な予想が出はじめるのはバブル崩壊の兆候だ」という――。

※本稿は、ジム・ロジャーズ『大暴落前夜 狂宴バブル後の生き抜き方、資産の守り方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

ジム・ロジャーズ氏
「今回は違う」と熱狂するときこそ危険な兆候

2025年10月、世界の株式市場は依然として強気相場、いわゆる「ブルマーケット」の状態が続いていた。アメリカ市場を見てみると、2009年3月に始まったブルマーケットが史上最長となり、2020年2月のコロナ・ショックまで続いた。その後もAIやテクノロジー分野の急速な成長が追い風となり、S&P500指数は2022年10月から2025年8月までのわずか3年間で、なんと81%以上も上昇している。驚くべき数字であり、これを見て「まだまだ株価は上がる」と楽観的になる投資家も少なくない。「これで景気は永遠に良くなる」と考えている人もいるが、もちろん現実はそう甘くない。

長期低迷の後の上昇相場では、初期段階において多くの新規投資家が市場に殺到し、熱狂が生まれる。日本市場でも、証券口座の開設数が急増したり、株の話題が日常会話やSNSに溢れるといった現象が現れたりする。こうした心理的熱狂は、株価を実体以上に押し上げ、過熱感を生む。日経平均は10万円まで上がるだろう、という極端な予測が語られ始めるのも、バブル崩壊の兆候の一つである。

私は、このような局面では慎重に行動する。市場の動向を観察し続けるのだ。重要なのは、市場がヒステリックな楽観に陥った際に、冷静でいられるかどうかである。

2025年の世界を振り返ると、特にアメリカは非常に長い間、好調を維持してきた。歴史上でももっとも長い安定期にあり、このまま永遠に続くのではないかと思えるほどである。しかし、過去のアメリカには悪い時代も長くあった。だからこそ、私は人々に「用心深くあれ」と伝えたいのである。

1910年代、1920年代、1970年代、そして2000年代、どのブルマーケットもいつかはピークを過ぎ、必ず調整局面や暴落が訪れてきた。どんなに好調に見えても、永遠に続くブルマーケットなど存在しない。市場には周期があり、人間の心理や経済の構造は常に変化する。だからこそ、楽観だけで突っ走ることは非常に危険なのである。

歴史は繰り返すと言われるが、それを実感するのはいつも「後から」である。ブルマーケットの最中に備えを怠ると、次の「ベアマーケット」(弱気相場)で大きな痛手を負うことになるだろう。

結局、投資というのはタイミングのゲームである。市場は上がり続けるときもあれば、下がるときもある。何が起こるのかを注意深く見守ることが必要だ。歴史が示すように、しばらくは厳しい時期が続くかもしれない。しかし、十分な貯蓄を持ち、自分が理解している分野に投資している人ならば、おそらく大丈夫だろう。問題は、多くの人がそうではないということ。だからこそ、皆さんにはぜひ準備をしていただきたいのだ。

インフレ、スタグフレーション、そして長期的な視点

現時点で、インフレが今後も続くのか、あるいは私が近い将来にやってくると読んでいる弱気相場の前後でどのようなことが起きるのかは明言できない。インフレが停滞する一方で経済が鈍化する兆しはすでに現れており、いずれ「スタグフレーション」(景気が停滞しているのに、物価が上がり続ける状態)に至る可能性は高いと考えている。スタグフレーションは、経済現象の中で最悪の組み合わせの一つである。

スタグフレーションが厄介なのは、政策当局が手を打ちにくいということ。景気を刺激すればインフレが悪化し、インフレを抑えようとすれば不況が深刻になる。つまり、どちらに転んでも苦しむしかなく、政府にとっても国民にとっても、本当に厄介な状態なのだ。それは、私たち投資家にとっても決して好ましい状況ではない。そのため、多くの投資家は「株価暴落後もインフレ局面が続く」と予想しているのである。

さらに、その後には深刻な資産デフレ期が訪れる可能性もある。弱気相場とは定義上「資産価格の下落」を指し、これは歴史的に繰り返されてきた現象である。

1929年の世界大恐慌がその例だ。株式市場は暴落し、その後10年以上にわたって資産価格は低迷した。あるいは日本の1990年代に始まった、いわゆる「失われた30年」もしかり。日本経済は今もなお完全には回復していない。

ジム・ロジャーズ氏
「株価大暴落後も、インフレ局面は続く」とジム・ロジャーズ氏が警鐘

もっと最近でいえば、2008年のリーマン・ショックがある。リーマン・ショックは、アメリカの住宅価格が下落したことを発端に、世界中の金融システムを巻き込んだ。株価も商品も一斉に下落し、世界中の投資家が逃げ場を失った。

こうした歴史的事例が示すのは、資産価格の下落は決して一時的な調整にとどまらず、長期的で深刻な不況を伴うことが多いということである。だからこそ私はいつも言うのだ。

「マーケットが熱狂しているときほど冷静に、そして資産デフレのリスクを忘れてはいけない」と。

通貨の切り下げは一時的な快楽でしかなく、やがてすべての国民を苦しめる。多くの政治家は人気を得るために人々が望む「簡単な方法」を選ぶのだ。

そして、日本でさらなる金融緩和を掲げる高市政権の誕生は、国が再び「楽な道」を望んだ結果である。だが、歴史の法則は変わらない。通貨安、債務拡大、人口減少、そして排外主義……。これらが同時に進行する国に、持続的な繁栄はない。

次に来る深刻な弱気相場

2020年のコロナショック以降、私は、近い将来に人生最大の大暴落、弱気相場が起こると警告してきたが、暴落までの期間は、幸か不幸か私が当初予測したより長く、2025年10月の時点で、アメリカの株式市場は2008年のリーマン・ショック以来、歴史的にも最長の上昇局面を迎えている。これは前例のない状況であり、これほど長期にわたり市場が好調を維持したケースは過去にほとんどない。「まだまだ続く」と楽観的に考える人もいるが、これまでの歴史を見れば、永遠に続いたことは一度もないのだ。

アメリカ株式市場は2009年以来、16年間にわたり好調を維持してきた。これはアメリカ史上最長の繁栄期であり、世界的に見ても稀有な事例である。しかし、歴史が示すように、市場には必ず変動がある。これほど長期にわたる好況は、むしろ危険な兆候であり、次に訪れる弱気相場は極めて深刻なものとなる可能性が高い。

やがて株価は長期にわたり下落し、債務不履行が多発するであろう。その結果、ほぼすべての資産価値が下落し、経済は長期間低迷することが予想される。歴史は繰り返されるのであり、次に訪れる経済危機も例外ではないのだ。

ジム・ロジャーズ『大暴落前夜 狂宴バブル後の生き抜き方、資産の守り方』(プレジデント社)
ジム・ロジャーズ『大暴落前夜 狂宴バブル後の生き抜き方、資産の守り方』(プレジデント社)

歴史を振り返ると、弱気相場の原因は常に明確なわけではない。市場が長期間にわたり過熱状態にあると、「誰がこれ以上買うのか?」という問題も浮上する。すでに多くの投資家が買いポジションを持っている状態では、新たな買い手が現れにくく、売り圧力が徐々に高まっていくものなのである。

強気相場のときは多くの人が「今回だけは過去と違う。新しい、特別なことが起こっている」といったことを言うものだ。ただし、世界の経済や金融の根本構造が劇的に変化したわけではないため、私は過去に繰り返されてきたパターンが再び現れると見ている。

投資の世界に「安心していい時期」など存在しない。常に注意を払い、状況を見極める姿勢が必要である。

ジム・ロジャーズ(じむ・ろじゃーず)
投資家
ロジャーズホールディングス会長。1942年、米国生まれ。イェール大学で歴史学、オックスフォード大学で哲学を修めた後、ウォール街で働く。73年にクォンタム・ファンドを設立し、ヘッジファンドという手法にて莫大な資金を運用して財を成した。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び世界三大投資家と称される。『大転換の時代』(プレジデント社)、『世界大異変』(東洋経済新報社)など著書多数。

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