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W不倫された被害者のはずのサレ妻が、慰謝料を請求された!? 常識の通じないシタ女の暴走による恐怖と地獄を描いた物語【書評】

  • 2026.2.3

【漫画】本編を読む

理不尽に屈せず、自分の人生を取り戻すことはいかに難儀なことか。『W不倫サレたのに165万請求されました 史上最悪のホラ吹き女』(華子:原作、まゆか!:漫画/KADOKAWA)は、不倫をテーマにしつつ、現代社会に潜む“無敵の人”との戦いを描いた作品だ。

物語は、専業主婦の華子が、居酒屋チェーンの店長をしている夫・昌和と以前アルバイトをしていたナミエがW不倫をしていることを発見したところから始まる。そんな状況でも悪びれることなく浮気を続ける夫、周囲を巻き込みウソだらけの発言で攻撃してくる不倫女。夫の肩を持つ常識外れな義両親も加わり、挙句の果てに華子はなぜか慰謝料165万円を請求されてしまうのだった――。

華子が不倫された側でありながら、不倫した側の悪意によって「加害者」のように扱われるのは衝撃的だ。華子が弁護士を通して内容証明を送りつけても無視され、東京と佐賀で離れているにもかかわらず、ナミエは家に嫌がらせをされたと警察に駆け込む。ナミエは道理の一切通じない、まさに“無敵の人”なのである。この手の人間と向き合うことは容易ではない。華子は徐々に心を侵食されながらボロボロになっていく。

不倫をテーマにした作品の多くは、痛快な復讐劇や「ざまあ」展開で描かれるのに対し、本作は思わず屈してしまいそうな加害者の強引さと理不尽さが描かれる。厚顔無恥なナミエ、ナミエに洗脳されおかしくなっていく夫、自分を守るために手続きを積み上げていこうとする華子、3人がどうなっていくのかヤキモキすることだろう。

誰にでも起こりうるとはいえないが、起こったとしても驚かない不思議なリアリティを感じさせる本作。こんな時、怒りや悲しみの感情に任せて反撃するのは悪手だ。ひとつずつ理不尽を可視化し、自分に向けられた不当な請求の根拠を崩していくことができるように、心構えをしたくなる一冊である。

文=おおぞら木馬

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