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デザインで巡る、世界の美しいイソップ店舗22

  • 2026.2.3
IMAGES COURTESY OF AESOP

オーストラリア・メルボルンで創業したスキンケアブランド、イソップ。研究を重ねた植物由来成分と選び抜いた非植物由来成分を用いてつくられるスキンケア、ヘアケア、ボディケア製品は世界中にファンをもつ。

ブランドの原点は、1987年に創業者が構えた前身となるヘアサロン。彼がそこで学んだのは、ゲストをもてなす空間のあり方だった。顔色を美しく見せる落ち着いた照明、椅子の高さや奥行き、そして心安らぐ音響……。インテリアの細部こそが、顧客との親密さや誠実さを高めると知ったのだ。以来、イソップが大切にしているのは、ショップがその場所の調和を乱すことなく、街に新たな価値を加える存在になること。出店地の文化を理解し、世界観を体現した「一つとして同じものがない」店舗デザインは、ブランドを語る上で欠かせない要素になっている。

ここでは世界に370以上あるイソップの拠点から、特にインテリアデザインに個性が光る22軒をピックアップ。お気に入りの店舗を見つけてみて。

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イソップ ソチョン(韓国・ソウル)

ソウル北部の歴史ある地区に建つ「イソップ ソチョン」は折り畳み式のドアを開けると、半屋外のようにオープンな空間になるユニークな店舗。設計を担当した韓国の建築事務所「サムソ ヒョジャドン(사무소 효자동)」は、かつて自然に囲まれた場所で人々が集い、安らぎの場として活用していた韓国の伝統的な東屋「亭子(チョンジャ)」から着想し、壁のない開放的なプランを考えた。インテリアには粗削りな石の塊のディスプレイ台(写真左)や伝統的な「ハンジ(韓紙)」を思わせる壁面、花崗岩の床材など自然素材を多用されている。

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イソップ サウンズ ハンナム(韓国・ソウル)

ソウルのハンナム地区にある複合施設「サウンズ・ハンナム」内の店舗は香港を拠点に活動するMlkkスタジオが設計を手掛けた。施設自体の外壁が冷たい印象のグレーのレンガだったことから、あえて店内の床・壁・天井やカウンターまでをあたたかみのある赤レンガで構成し、施設との調和を保ちつつも居心地の良い空間を生み出した。緩やかなカーブを描くアーチ状のニッチ(壁のくぼみ)は韓国の伝統的な登り窯「マンデンイ窯」からイメージ。 棚板や洗面スペースのマテリアルに銅を取り入れることで、素朴なレンガでまとめられた空間にソリッドなアクセントを加えている。2階には、韓国初となるフェイシャルトリートメントルームも併設。




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イソップ トンロー(タイ・バンコク)

「イソップ トンロー」はタイの中でブランド初となる旗艦店で、活気あふれるトンロー地区に位置する。タイの建築スタジオ、シェアメーカースタジオとのコラボレーションによるショップは、メインのショップフロアと、写真の「ファーライルーム」と名付けられた五感を研ぎ澄ます場として作られた空間が用意されている。ファーライとはタイ北部の住居に見られる壁面を指す言葉。写真手前のように、2枚の木板を互い違いにずらして配置し、片方の壁を引き戸のようにスライドすることで、光や風を室内に取り込むという仕組みだ。中央には同じくタイの農村の台所で使われる土のかまどを模したストーブがアートピースとして配置され、火のぬくもりに家族や友人が集う、豊かな時を詩的に表現している。

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イソップ WF セントラル ハウス19(中国・北京)

中国・北京の巨大な商業施設「WF CENTRAL(王府中環)」の敷地内にあった清朝時代の伝統建築、四合院を復元・再現した建物「ハウス19」をリノベーションしたイソップの北京1号店。この壮大なプロジェクトを担ったのは中国の建築・インテリアデザイン事務所であるアトリエ suasua。歴史的価値のある建物の再現であることから、建物に手を加えることや壁や床に直接什器を取り付けることができなかったため明朝の家具を着想源にしたキャビネットや陳列棚を置き家具のように配置することで課題を解決した。大門をくぐり抜けた先にある中庭には、金魚鉢を置くという水にまつわる伝統を意識し、手洗い場を設けている。





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イソップ グァンヂョウ ドンシャンコウ(中国・広州)

広州・東山口(ドンシャンコウ)の伝統的な広東様式の邸宅の中にある「イソップ グァンヂョウ・ドンシャンコウ」。インテリアで印象的なのは、主に中国の古典庭園などで見られる「月洞門」という円形の門。ひとつの世界からまた別の世界へと移り変わる、象徴的な境界としての役割を果たすこの門を店内の2つの空間をつなぐ要素として取り入れ、ゲストをブランドの世界へと誘う。また、写真の正面に置かれたシンクは手作業で磨き上げられたブラックスティールで出来ており、シンク内部には広州の琺瑯工芸へのオマージュから、伝統的な琺瑯引きが施されている。




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イソップ プリンセンス ガーテ(ノルウェー・オスロ)

2014年、ノルウェーで初めてできた「イソップ プリンセンス・ガーテ」はブランドにとっても世界で100店舗目という節目のショップでもある。設計を手掛けたのは、オスロとニューヨークを拠点に活躍するスノヘッタ。白のみで構成された空間は、正教会や修道院に見られるドーム状の天井をイメージし、天井には複数のドームが交差するように配置。そのデザインを中央にあるシンクカウンターにも踏襲している。




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イソップ フリンダース レーン(オーストラリア・メルボルン)

1500枚以上の工業用段ボールを積層させて作った波打つ壁が来訪者を空間の奥に導く、印象的なメルボルンの店舗。実はもともとは短期のインスタレーションとして登場した段ボールの壁だったがあまりに好評を博したため、そのまま店舗デザインとして採用された経緯をもつ。時を重ねることで摩耗し、柔らかさを増し、進化を続ける段ボールという素材に対し、ほかのインテリアにはコンクリートや黒染めのスチールなど硬質な素材で構成するというマテリアルの対比も面白い。



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イソップ ユトレヒトセストラート(オランダ・ユトレヒト)

「イソップ ユトレヒトセストラート」は気鋭の家具デザイナー、ヴァレンティン·ロエルマンを起用し、17世紀にたてられた建物をリノベーションしている。ヴァレンティンは、堅木や金属といった素材を有機的なフォルムに削り出し、まるで生き物のような独特の表情を持つ家具をつくりあげるデザイナーで、今回もウォールナット材のカウンター(写真右)や銅製の照明などを制作し空間に豊かな表情を与えている。












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イソップ ジェームス ストリート(オーストラリア・ブリスベン)

オーストラリア発のブランドということもあり、オーストラリア国内には多くの店舗があるが、中でもブリスベンにあるこの店舗は「ひっくり返されたファイバーグラス製のスイミングプール」というユニークなコンセプトをもつ。ファイバーグラスで壁や天井を大胆に覆い、中央のシンクカウンターも同素材でまとめほかにはない空間体験が得られる。ファイバーグラスは、溶かしたガラスを細い糸状にした素材のことで、カヤックやサーフボードなどに用いられる。ウォータースポーツが盛んなこの地の文化が色濃く反映されている。

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イソップ デューク オブ ヨーク スクエア(イギリス・ロンドン)

記念すべき100店舗目である「イソップ プリンセンス・ガーテ」と同じく、スノヘッタが空間を手掛けたロンドンのイソップ。建物にもともとあった柱を生かし、柱から12本のアーチが放射状に伸びて天井を覆う未来的なデザインが特徴だ。壁や天井はベリーのようなピンク色の漆喰を繊細なグラデーションをつけて左官で仕上げた。柱を囲むように配した鏡面仕上げのステンレス製シンクにダイナミックな柱の表情が写り込み、幻想的な景色を作り出している。

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イソップ スピタルフィールズ(イギリス・ロンドン)

壁面に固定された幾何学的なレリーフが、時間の経過とともにさまざまな影を落とし、印象的なインテリアの“皮膚”を形成する。
ロンドンのスピタルフィールズ店は、デザインを手掛けたイソップのデザインチームが予期せぬ幸運によってこのレリーフと出会ったことから始まった。実はこの彫刻は、イギリスのアーティスト、ポール・マウントが、1984年に「レオズ・スーパーマーケット」のために制作した巨大な帯状装飾の一部。別のプロジェクトのリサーチ中にイソップのデザインチームがこの彫刻がコレクターのガレージに眠っていることを知り、本人と交渉。作品に再び光を与えるというアイデアにコレクターが賛同し、この唯一無二の空間が誕生した。

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イソップ フラン ブルジョワ(フランス・パリ)

オランダの「イソップ ユトレヒトセストラート」と同じくヴァレンティン·ロエルマンがインテリアを手掛けたマレ地区のショップは、店のすぐ近くにあるパリ最古の計画広場「ヴォージュ広場」がインスピレーション源になっている。空間を構成するのは3つの不完全な円。広場の噴水からイメージした中央のセンターピースや、回遊をうながす有機的な無垢材のキャビネットやカウンター、そして曲線の天井に流れる木製のリボンのような意匠だ。
店内の家具や漆喰の壁はいずれも職人の手作業で仕上げられ包み込まれるような温かみが漂う。

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イソップ ディアゴナル(スペイン・バルセロナ)

アントニ・ガウディの名作「カサ・バトリョ」の改修を手掛けたことでも話題を集めた、スタジオ・メスラによるバルセロナの店舗のコンセプトは「Creative anastylosis(創造的復元)」。アナスティロシス(anastylosis)は古代のモニュメントの部材を可能な限り再構成し保存する建築用語を指し、この空間も19世紀の建物から出た使われなくなったモンジュイック石を使用。この石は、その強度と絶妙な色合いが魅力で、スペインを代表する建築サクラダファミリアにもこの医師が使われている。そのモンジュイック石を職人がパズルのように組み合わせ、什器や壁面として再生させることで、土地の記憶を内包した空間を完成させた。

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イソップ サン ロレンツォ イン ルチーナ(イタリア・ローマ)

『君の名前で僕を呼んで』などの作品で知られる映画監督、ルカ・グァダニーノが初めて店舗デザインを手掛けたのが、ローマにある「イソップ サン・ロレンツォ・イン・ルチーナ」。元照明店だったコンパクトな空間は1930年代のローマ建築と20世紀半ばのイタリアデザインにオマージュを捧げている。店内の床は建物のすぐ近くにあるサン・ロレンツォ教会のデザインに呼応するようにダークグレーとオフホワイトのトラバーチンのタイルで構成、中央のカウンターはダークグリーンとローズピンクの大理石というイタリア建築に見られる重厚な美意識が見事に表現されている。

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イソップ ノリータ(アメリカ・ニューヨーク)

かつてイタリア系移民が多く暮らしていたことから「North Little Italy」の頭文字をとって、ノリータと名付けられたこのエリアはイソップがアメリカ初の実店舗を設けた場所。そこから数軒先の敷地に新たにオープンしたこのショップは、もともとイタリア菓子を販売する「パスティッチェリア(菓子店)」だったという。店舗に足を踏み入れると、目に留まるのは壁に並ぶ杉板がずらりと並ぶ姿。これはニューヨークのいたるところにある建物の屋上に置かれている杉板張りの給水塔の廃材。壁の白いレンガも菓子店時代のものをそのまま残し、建物とニューヨークという街の景色を取り込んでデザインされた。

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イソップ モンタナアベニュー(アメリカ・カリフォルニア)

サーフカルチャーが根付くモンタナ・アベニュー。この地に流れる「気負わない、のんびりとした空気感」こそが店舗デザインの核だ。店先に古いサーフボードが飾られた趣きのある景色が広がる一方で、実際に販売されているのは最新のグラスファイバー製のボード。その2つの素材を組み合わせ、建築へと再解釈した。グラスファイバーは中央の巨大なシンクに、マホガニーの木を収納棚に取り入れそのほかはほとんど既存の建物の躯体をそのまま残している。この飾り気のないアプローチが海風を感じて過ごす街の空気に静かに調和している。

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イソップ エッジヒル(アメリカ・ナッシュビル)

パリを拠点とする建築集団、シグーが手掛けたアメリカ、ナッシュビルにあるショップ。店舗の構想は近隣の繊維工場や倉庫、住宅で使われなくなった木材を回収する地元のサプライヤー「ウッドストック・ヴィンテージ・ランバー」を訪れた際に生まれた。木それぞれのの個性が際立つよう空間はシンプルに白でまとめ、時の経過を感じさせる古木がオブジェのような存在感を放つ。

木の間にはアルミニウムの棚板がさまざまな高さでくさびのように差し込まれており、まるで木に突き立てられた「斧」のよう。開拓時代の丸太小屋に見られる伝統的な工法を思わせると同時に、空間に素材のレイヤーを重ねる効果をもたらしている。

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イソップ 青山(東京・青山)

2010年に誕生した日本で最初となるイソップの店舗、「イソップ 青山」は長坂常が設計を担当した。日本での拠点となる店舗をつくるにあたり選ばれたのは、青山の路地裏にあった元青果店。新しい建物が出来ては無くなる青山で、昔からこの地に馴染み、愛されてきた場所にストアを構えることに決めた。店内の棚などの什器はすべて長坂が偶然見つけた中野区の住まいの解体作業によって出てきたもの。床はエポキシ樹脂を敷き、もとの建物の配管や基礎をあえて見えるように残されていおり「あるものを生かし、新しい命を吹き込む」というブランド哲学を体現した店舗だ。




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イソップ ニュウマン高輪(東京・高輪ゲートウェイ)

2025年オープンの商業施設「ニュウマン高輪」内にある店舗の設計はトラフ建築設計事務所によるもの。インスピレーション源となったのは敷地周辺にある建築家・村野藤吾による名建築、グランドプリンスホテル新高輪だった。有機的な曲線や1960年代のスペースエイジに見られる未来への憧れを感じさせるモチーフをイメージ源に、壁と什器が一体となった宇宙船のような空間構成を生み出した。内部は床・壁・天井・什器を同じグリーンで統一。色数を絞ることで、整然と並ぶイソップのアイテムの存在が際立つように計算されている。





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イソップ 自由が丘(東京・自由が丘)

「イソップ エッジヒル」と同じく、デザインスタジオ、シグーが手掛けた自由が丘店。1960年代にできた共同住宅の1階という立地と、付近にある2つの鉄道が店舗のデザインのテーマとなっている。壁に並ぶ半透明のレジンの棚を線路のレールの形状をヒントにデザインしていたり、店の中央にある巨大なシンクは、この建物の屋上にあった共同洗濯場のシンクがもとになっていたりとこの建物に息づく歴史を、詩的に表現している。









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イソップ 鎌倉(神奈川・鎌倉)

緒方慎一郎率いるシンプリシティが2024年に手掛けた鎌倉店は、「海と山」「過去と現在」という相反する要素が共存する古都・鎌倉の特徴を表現している。店内に足を踏み入れると壁全体に見られる版築(土や砂利を突き固めて層にする技法)の仕上げが、地層を想起させ、時の歩みを訪れた人に感じさせる。右側の深い茶色の棚は、1940年代に鎌倉の文士たちが立ち上げ、人々の芸術的・知的探究心を育んだ貸本屋「鎌倉文庫」の書棚をイメージしたものだ。



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イソップ 神戸BAL(兵庫・神戸)

明治維新以降、貿易が盛んになり、海外の文化を取り入れ発展をしていった神戸。その海上交易路の情景をデザインに取り込んだのが神戸BAL店だ。空間で存在感を放つのが、近隣産の淡路瓦。いぶし銀と称される特徴的な色合いの瓦材を巾木や商品を囲うフレームのような意匠に使用している。日本に古くからある素材を用いながらも様式としては西洋の構成を取り入れることで、和と洋が入り混じる神戸という街独自の調和をこのストアで表現した。設計はケース・リアルの二俣公一が担当した。




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