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金曜22時に「月曜朝までに」…え?無慈悲なオーダーに土日を奪われた社畜の絶望【作者に聞く】

  • 2026.1.31

働き方改革が叫ばれて久しい現代においても、深夜の打ち合わせや休日出勤が「当たり前」とされる現場は依然として存在する。金曜日の22時から始まったクライアントとの打ち合わせ、そこで告げられた「月曜ゴゴイチまでに」という無慈悲なオーダー。

大町テラス(@te_rra_ce)さんが描く読み切り漫画『ご自愛ください』は、広告制作会社で働く女性上司の葛藤を通じ、現代の労働環境に潜む「閉塞感」と「美学」を鋭く切り取っている。1.5万件もの「いいね」が集まった背景には、多くの社会人が抱える「何のために頑張っているのだろう」という、むなしさへの共感があった。

「あの時ライブに行けなかった」 過去の傷を後輩には背負わせたくない

ご自愛ください1 画像提供:大町テラス(@te_rra_ce)
ご自愛ください1 画像提供:大町テラス(@te_rra_ce)
ご自愛ください2 画像提供:大町テラス(@te_rra_ce)
ご自愛ください2 画像提供:大町テラス(@te_rra_ce)
ご自愛ください3 画像提供:大町テラス(@te_rra_ce)
ご自愛ください3 画像提供:大町テラス(@te_rra_ce)

主人公の心に深く刻まれているのは、新人時代、苦労して手に入れたライブチケットを仕事で無駄にした記憶だ。「次に行けばいい」と思っていたそのバンドは、その後解散してしまった。失われた時間は二度と戻らない。

だからこそ、上司となった今、彼女は「休日を返上して働け」とは言わない。友人の結婚式がある部下を帰し、一人で作業を抱え込む。それは単なる「良い先輩」の姿ではなく、自分が受けた理不尽を連鎖させないための、孤独な戦いでもある。

「パワハラを断ち切るための頑張り」が招く、新たな自己犠牲の形

作者の大町テラスさんは、本作のテーマについて「自分が受けた理不尽をどう還元するのか」だと語る。

「パワハラを自分の世代で断ち切って優しい先輩になるのか?」という問いに対し、主人公は後輩を守るために「自分が頑張るしかない」という道を選ぶ。しかし、それは美徳であると同時に、過度な自己犠牲という危うさも孕んでいる。

大町さんはインタビューでこう明かす。

自分の時代は「徹夜しても頑張る」のが当たり前だったけれど、いざ自分が上司になったときにはそれは許されない。そうなると、後輩に無理をさせないために結局は自分が頑張るしかない。「パワハラを断ち切るために、頑張る美学」を描いていることに気づいてくださっている読者の方が多くいたことに励まされました。

一方で、読者からは「主人公の行動が自己犠牲的すぎて不快だ」という批判的な声もあったという。それに対するアンサーは、続編となる『私ごとで恐縮ですが』で描かれている。

サウナとごはんで、こわばった心に「ご自愛」を

2021年のコロナ禍真っ只中に描かれた本作には、当時の閉塞的なムードが色濃く反映されている。そんな中で描かれるサウナや食事の描写は、過酷な労働環境に身を置く主人公にとって、唯一自分を取り戻せる「聖域」として機能している。

「ご自愛ください」という言葉は、他者への挨拶として使われることが多いが、本作においては、ギリギリのところで踏み止まる自分自身への切実なメッセージでもあるのだ。

取材協力:大町テラス(@te_rra_ce)

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