1. トップ
  2. 火災保険の“盲点”を専門家が明かす「水漏れや窓のヒビ」修理は自腹…その思い込みで数十万円の損?

火災保険の“盲点”を専門家が明かす「水漏れや窓のヒビ」修理は自腹…その思い込みで数十万円の損?

  • 2026.1.30

空気が乾燥し、暖房器具の使用が増えるこの季節。ニュースで「火災」の文字を目にする機会も増えてきた。「うちは火災保険に入っているから、万が一のことがあっても大丈夫」。そう安心している人こそ、要注意かもしれない。

実は、火災保険には多くの人が見落としている“請求の盲点”があるのをご存知だろうか。さらには、その知識があるかないかで、数十万円、ときにはそれ以上の負担額の差が生まれてしまうこともあるそうだ。

そこで今回話を聞いたのは、カムイ株式会社代表の片山美典さん。企業・個人を問わず、長年にわたり「保険の誤解で損をした」事例を数多く見てきたリスク管理のプロである。そんな片山さんに、意外と知られていない火災保険のあれこれについて、具体的な事例を交えて解説してもらった。

“火災保険=火事の保険”という認識の人は多いかもしれない 【画像提供=写真AC】
“火災保険=火事の保険”という認識の人は多いかもしれない 【画像提供=写真AC】

“火災保険=火事の保険”という思い込みが最大の損

「まず、皆さんに知っていただきたいのは、『火災保険は、火事のためだけの保険ではない』ということです」と片山さん。名前こそ“火災”保険だが、その実態は「住まいの総合保険」に近い。

契約内容にもよるが、火災だけでなく、風災、水濡れ、盗難、外部からの物体の衝突、そして破損など、幅広いリスクをカバーできる可能性がある。だが、この「幅広さ」こそが、逆に請求漏れを生む原因にもなりかねないとか。

「多くの人が『これは火事じゃないから対象外だ』と自己判断し、保険会社に連絡すらしないまま自費で修理してしまうのです。これが最も多い『損』のパターンですね」(片山さん、以下同じ)

 【画像提供=写真AC】
【画像提供=写真AC】

配管は自腹、でも床は補償?「水漏れ」で損しないための新常識

片山さんが挙げる代表的な見落とし事例が、マンションなどで起こる「給排水設備の事故による水濡れ」だ。たとえば、洗面所の配管が老朽化で壊れ、水漏れが発生。廊下のフローリングが水浸しになり、膨張してダメになってしまったとする。

「この場合、多くの方は『配管が壊れたのは自分の管理不足だし、修理費も自己負担だろう』と考えてしまいます。確かに、故障した『配管そのもの』の修理費は、経年劣化などが原因であれば保険の対象外になることが一般的です。ただ、ここが盲点でして…」

片山さんによると、配管の修理費は出なくても、その結果として被害を受けた「フローリングの張替え費用」や「壁紙の修繕費」などは、火災保険の『水濡れ』補償の対象になるケースも少なくないそうだ。

「実際、過去の裁判(東京地裁平成16年判決など)でも、配管自体の腐食は対象外ながら、漏水被害は『突発事故』として、状況によっては数百万円〜1000万円を超える支払いが認められた事例もあります。配管の修理費は数万円でも、水浸しになった床や階下の修繕費はその何十倍、何百倍にもなることも...。原因と結果を区別し、請求できる可能性をしっかり確認すべきですね」

 【画像提供=写真AC】
【画像提供=写真AC】

冬の朝、窓にヒビが…。「熱割れ」を自費で直すと損するワケ

もう1つ、近年の気候変動とともに増えているのが、窓ガラスのトラブルだ。「冬の寒い朝や、猛暑の夏場に、何もぶつけていないのに窓ガラスにピシッと亀裂が入ることがあります。これは『熱割れ』と呼ばれる現象です」と片山さん。

熱割れは、ガラスの中で直射日光が当たって温まった部分と、サッシに隠れて冷え切った部分との温度差に耐えきれず、ガラスが割れてしまう現象のこと。これを「自然現象だから仕方ない」「経年劣化だろう」とあきらめてしまうのは早い。

「『不測かつ突発的な事故』の補償があれば、熱割れもカバーできる可能性があります。過去の裁判(東京地裁平成19年判決など)でも、熱割れは経年劣化ではなく『突発的な事故』として支払いが認められ、約60万円の保険金支払いを命じられたケースもあります。特殊なガラスや、交換に足場が必要な場合、請求額は一気に跳ね上がりますから、知っておく価値は大きいですよ」

 【画像提供=写真AC】
【画像提供=写真AC】

スマホや掃除機から出火?急増する「リチウムイオン電池」の脅威

水濡れにせよ、ガラスの破損にせよ、重要なのは「自分で勝手に『対象外』と決めつけないこと」だと片山さんは語る。

また、片山さんは最近の傾向として、モバイルバッテリーやロボット掃除機などに使われる「リチウムイオン電池」からの発火事故が増えていることにも触れた。便利な家電が増えれば、リスクの種類も変わる。

「万が一の火災はもちろん、それ以外の日常的なトラブルでも、保険は生活再建の最後の砦です。自己判断であきらめず、何か家のトラブルが起きたら『これは保険で直せるものですか?』と、代理店や専門家に尋ねるクセをつけてください」

 【画像提供=写真AC】
【画像提供=写真AC】

トラブルは予期せぬタイミングでやってくる──。

そのとき、知識という備えがある人が、賢く生活を守れるわけだ。今一度、加入している保険証券を取り出し、「どんなときに使えるのか」を確認してみてはいかがだろうか。

【画像】火事だけじゃない...。火災保険の意外な使い道一覧 【画像提供=片山美典】
【画像】火事だけじゃない...。火災保険の意外な使い道一覧 【画像提供=片山美典】

著者プロフィール・片山美典

カムイ株式会社 代表取締役。企業の「まさか!」に備えるリスクマネジメント/損害賠償のスペシャリスト。製造・運輸・建設から医療・介護事業まで、幅広い業界の危機管理をサポートしている。noteでは、実例に基づくトラブル対策と、有事の際の経営を守るコスト防衛戦略を中心に情報を発信している。

【コンプライアンス表記】

本稿は一般情報であり、勧誘目的ではありません。商品名・補償・適用可否は各社の約款・引受基準・査定により異なります。比較推奨や有利表示の誤認を避けるため、必要な注意点を同一視野で記載します。

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる