1. トップ
  2. 朝ドラで視聴者がざわついた“正直すぎる言葉”「多分向いてない」「残酷だよね」心配の声が多数あがる“異例の男性”

朝ドラで視聴者がざわついた“正直すぎる言葉”「多分向いてない」「残酷だよね」心配の声が多数あがる“異例の男性”

  • 2026.2.6
undefined
『ばけばけ』第6週(C)NHK

朝ドラ『ばけばけ』に登場する銭太郎(前原瑞樹)が、いま視聴者の間で色々な意味で注目を集めている。借金取りという本来は敵役になりがちな立場でありながら、なぜか憎めない存在として人気を博していること。そして、彼の何気ない一言が、松野家、特にトキ(髙石あかり)を思わぬ形で追い詰めてしまったことだ。銭太郎は本当に“嫌な男”なのか。それとも、不器用な“善意の持ち主”なのか。

※以下、本文には放送内容が含まれます。

憎めない借金取りという異例のキャラクター

銭太郎の初登場は第6週。松野家の“借金取り”の二代目として、父・善太郎(岩谷健司)の跡を継いで登場した。父と同じく多くの債務を回収する任務に就くが、彼が注目されるのは、その立場にある。物語における借金取りは、主人公を追い詰める冷酷な“敵”として描かれがちだが、銭太郎は違う。口は悪いものの、どこか愛嬌があり、視聴者の反感だけを買う存在にはならない。その不器用さや人間臭さが、彼を印象的なキャラクターにしているのだ。

また、彼を語るうえで忘れられない言葉がある。
「親父が生きちょるときに返さんか」。

これは、トキがヘブン(トミー・バストウ)と結ばれたことで、返済額が一気に増えた際に銭太郎が口にした一言だ。志半ばで亡くなった父の無念がにじむ、単なる嫌味以上の感情。もし返済がもう少し早ければ、気苦労の絶えなかった父はもっと長生きできたのではないか。松野家の事情を知り尽くすからこそ、今更いったところで仕方ないのも分かっている。その現実を痛感しつつ吐き出した、刺のある言葉である。

銭太郎は、借金取りとしての線は決して越えない。情けをかけすぎることもなく、帳簿上では常に現実的だ。それでも、人としての距離を完全には断ち切らない。この中途半端さこそが、彼の魅力であり危うさでもある。

言葉が人を追い詰めてしまった瞬間

undefined
『ばけばけ』第6週(C)NHK

もう一つ話題となったのが、銭太郎が新聞記者である梶谷(岩崎う大)の問いに答えた場面だ。誰のおかげで松野家の多額の借金が返せたのかと聞かれ、彼はこう答えた。

「ヘブンとおトキちゃんが一緒になってから、一気にドカッと返すようになったけん。だけん、わしが思うに、おトキちゃんが嫁に行く代わりに、借金を返してもらっちょったんだないかの」。

この発言が記事になり、トキは“ラシャメン”として街で白い目で見られる描写は、視聴者にも強い印象を残した。だが、内容そのものは単純に非難できるものではない。松野家がこれまで少額しか返済できなかったのは、経済状況を考えれば無理もないことだ。ヘブンと結ばれたことで返済可能な額が増えた。その事実を自分の予想と合わせて答えただけの銭太郎の発言は、借金取りとしては極めて真っ当な受け答えだったともいえる。しかし、その正直さが結果として誤解を生み、トキが街で白い目で見られる原因に繋がってしまった。

言葉は、自分の想像とは異なる形で人を追い詰めてしまうこともある。このとき、彼に意図的な悪意はなかっただろう。銭太郎はこの状況に陥った松野家をみて「親父の仇だ、ざまあみろ」と心から言える人物ではない。むしろ、そう振る舞えないからこそ、視聴者の共感を集める。実際にSNSには、「銭太郎も悪いかも知れないけどさ…」「正直すぎる」「気に病みそうで心配」「優しい人だから多分向いてない」「残酷だよね…」といった声が相次ぎ、銭太郎の不器用な人間味に注目が集まっている。

仕事としての責任を背負いながらも、人としての情を捨てきれない。その矛盾を抱える存在だからこそ、銭太郎は物語の中で重要なキーパーソンとして機能しているのだ。


NHK連続テレビ小説『ばけばけ』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:柚原みり。シナリオライター、小説家、編集者として多岐にわたり活動中。ゲームと漫画は日々のライフワーク。ドラマ・アニメなどに関する執筆や、編集業務など、ジャンルを横断した形で“物語”に携わっている。(X:@Yuzuhara_Miri