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MOE絵本屋さん大賞第1位は『おせち』!人気シリーズ&50年愛される名作の絵本版も。子どもに読みたい一冊が見つかる「MOE絵本屋さん大賞2025」【贈賞式レポ】

  • 2026.1.30

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全国3,000人の絵本専門店・書店の児童書売場担当者が投票し、その年のおすすめしたい絵本30冊を決定する「第18回MOE絵本屋さん大賞2025」。1月26日(月)に日本出版クラブホールで開催された贈賞式に、上位入賞した作家陣が登壇した。部門賞は「新人賞」と、0・1・2歳向けの絵本に贈られる「ファーストブック賞」。まずは、主催の株式会社白泉社から、高木靖文代表取締役社長による開会の挨拶が述べられた。

〈白泉社・代表取締役社長/高木靖文)

小さいときに読んだ本は一生忘れないもの。そんなことを考えていたら、絵本ではありませんが、小学校低学年の頃に読んだ『白いりゅう 黒いりゅう』を思い出しました。村をたびたび襲う黒い竜を倒すために、大工の名人が白い竜を作って戦わせるお話です。当時も今も怪獣が大好きで、今の自分はあの頃にできたのだろうと感じます。1冊の本が各ご家庭で小さなきっかけを生んでいることを思うと、本を送り出す身として嬉しい気持ちになります。

続く贈賞式では、高木氏より、受賞者に記念のMOE絵本屋さん大賞クリスタル楯が贈呈された。本稿では、第1位から10位まで、新人賞第1位、ファーストブック賞第1位の各作品紹介と作家の受賞コメントをお届けする。

1位『おせち』内田有美:文・絵 満留邦子/料理 三浦康子/監修 福音館書店

「くろまめ ぴかぴか あまい まめ。」「きんとん きんかん きんいろ こがね。」——。昔から受け継がれてきた行事食、おせち。一つひとつの料理に込められた想いを、リズムのいい文章に乗せて現代の人たちに届ける。写真のように緻密に表現された、気品あふれる絵に魅入ってしまうこと必至。大人もまた、おせち料理の奥深さを改めて学び直せる一冊。

「おせちは季節ものなので、書店に並ぶ期間が短い作品なのですが、その中でも華やかに売り場を展開して応援してくれた書店員さん。それから本を手に取ってくださった方、すべての方に感謝します。これからも幅広い年代の方が楽しめる作品を届けられるよう、頑張りたいです。ありがとうございました」(内田有美)

2位『大ピンチずかん3』鈴木のりたけ/作 小学館

日常で起こりがちな“大ピンチ”を面白おかしく紹介する絵本シリーズ。第3弾では、ケチャップがとんだ、へんな日焼けをした…など、少々マニアックで笑える描写も続々登場。「うっかりメーター」で見直せば、自分にやってくるかもしれない未来の大ピンチにも備えられる! シリーズの読者からのお便り“わたしの大ピンチ”が作者に届けられている。

「この本は、今まで作った中でも違う売れ方をしていて、どうしてこんなに売れると思いますかと聞かれるのですが、いってみれば、これは“あるある”本なんですね。日常の中にある大ピンチが話題になると、お話の中にも入りやすいし、その話で盛り上がってみんなが幸せになる。失敗談ではありますが、ちょっと笑える大ピンチが、毎日いろいろある中で日常の幸せを見直すきっかけになるかもしれません。作家の考えをびっちり描くというより、読者が自分のものとして読める本を作ることが好きです」(鈴木のりたけ)

3位『どろぼうジャンボリ』阿部結/作 ほるぷ出版

夜ごと、みんなの家に忍び込む、どろぼうジャンボリ。盗み出すのは、みんなが書き損じて出せなかった“てがみのたね”。そこに書かれた“はだかんぼうのきもち”が、ジャンボリの心を満たしてくれるのだ。ところがある日、穏やかな毎日が一変する出来事が!? 手紙の尊さを改めて感じ、読後は誰かにお手紙を出したくなる一冊。

「いつも大号泣して話せなくなってしまうので、今日はがんばって紙に書いた文章を読ませていただきます。この本は、4年前に目についた現実から、日常を奪われないために自分は何をしなければいけないのかと考えたことをきっかけに作り始めた物語でした。私は毎日、本を読みます。それができるのは、日常があるからです。作家として本を作り、できた本を書店員さんが読者に届けていくことは、読者の日常をささやかに守る行為だと思います。自分を、日常を、自分たちのやり方で守っていくことが、今も起こり続けているあらゆる争いに抗う1つのアクションになるのではないかなと思っています」(阿部結)

4位『まてないの』ヨシタケシンスケ/作 ブロンズ新社

お母さんのお腹にいるときは「はやくおそとにでて あそびたいの」。赤ちゃんになったら「ことばをおぼえるまで まてないの」。そのまま大きくなり、学校も仕事も子育ても、待つことなんてできなくて、いつだってかけ足足踏み。けれども、おばあちゃんになり、ちょっとだけ立ち止まったら…。そんなお話。

「“待てなさ”って2種類あると思っています。ひとつは、周りがついてこないという他人を待てない待てなさ、もうひとつは、自分のペースでいたいけど、周りに置いていかれるんじゃないかと思い、早くやらないとと焦ってしまう、自分自身の待てなさ。僕は後者のほうです。そもそもこの本は、出版社の人がなんとか今年中に一冊…と、待っていただけなかった本なのですが(会場笑)。世の中の変化は激しくて、いろんなことが違う形になると、みんなが焦ってくる。その中で私たちは何を待てるんだろうか、と考えることが最近増えました。これからも、紙の本を盛り上げていくことに一役買っていけたら。最終的に待っていただけた出版社の方々にもお礼を申し上げます」(ヨシタケシンスケ)

5位『たれてる(?と!のえほん 1)』鈴木のりたけ/作 ポプラ社

ドーナツにチョコレートをかけたら…おいしそう! あれ、ちょっとかけすぎ? たれてる、たれてる! でも、アイスでナイスキャッチ! と思ったら…。1枚の絵から連想されたお話が、次のお話につながっていく。好奇心の「?」と発見・理解の「!」が交互にあらわれ、最後には笑いと爽快感に包まれるシリーズ第一弾。

「この絵本は、他とは毛色が違う作品。言葉がなくても通じるような、世界中で読んでもらえる絵本を作りませんかとお話をいただき、感性だけで気持ちが盛り上がるような絵本を作りました。普段子どもたちと過ごしている時に、“ソースをかけながら、よそ見をして、あ〜たれてる!”という見慣れた風景があり、そこに妄想が加わって面白い世界を展開させています。読む人が楽しみ、想像できる本。また違う挑戦になりましたが、選んでいただいて嬉しいです」(鈴木のりたけ)

6位『おばけずし』苅田澄子/作 柴田ケイコ/絵 金の星社

はっちゃんのお寿司屋さんは、いつもがらすき。「おばけでもいいから来てくれないかなあ」とつぶやくと、本当におばけがやってきた! おばけのお寿司を握ると、おばけは大喜び。お礼におばけの魚を釣ってきて!? おばけが握ったおすしは、ちょっと不気味だけど美味しそう。人気作家の柴田ケイコが描く愛嬌たっぷりのおばけにも注目を!

「このお話は、7〜8年ほど前に書き、自分で没にしてパソコンの奥に入れっぱなしでしたが、こんなに素晴らしい絵を描いていただき、掘り起こしてくれた方にも感謝の気持ちでいっぱいです。MOEは中学2年の頃に出会った雑誌で、絵本が子どもだけではなく、大人のためでもあるという考え方に衝撃を受けました。それから絵本を読み始めたので、MOEに出会わなかったら絵本を描いていなかったと思います。最近なかなか絵本のアイデアが思いつかず、もう引退かしらと気弱になっていましたが、背中を押していただきました」(苅田澄子)

「絵本を作る前に、読み聞かせのボランティアをしていたんですが、その時に苅田さんの絵本を読む機会がとても多く、大好きな作家さんでした。今回このようにお仕事をいただけたことに感謝し、断る理由もなくお引き受けさせていただきました。おばけずしが飛び回るシーンでは、おばけが作るお寿司ってどんなのだろう…と想像するのが楽しく、自由に描かせていただいたのもありがたいことでした」(柴田ケイコ)

7位『モモ(絵本版)』ミヒャエル・エンデ/文 シモーナ・チェッカレッリ/絵、松永美穂/訳 光文社

原作は、いまから50年ほど前に出版され、3世代にわたって愛され続ける名作。本作は、作者であるミヒャエル・エンデの名作刊行50周年を記念した絵本版。モモにみんなが会いに行くのは、彼女が話を聞いてくれるから。時間に追われる日々の中で失いがちな大切なこととは——。自分が夢中になって読んだ物語を、小さな子どもたちにも。

「ドイツ語文学の翻訳をしている者なので、このような賞をいただけるとは思っていませんでした。ある時から絵本を翻訳したいと思い、ドイツで買った絵本を出版社に持ち込んだりしていましたが、出版社自体が絵本を扱っていないようなこともあり、どうやったら絵本を訳せるんだろうと思っていた時期もありました。『モモ』は50年以上前に書かれた本ですが、今回は原作とはまたちょっとテイストが違う絵をシモーナ・チェッカレッリさんが描いてくださり、それをたくさんの方が読んでくださったことに感謝しています」(松永美穂)

「この物語は、お互いの声に、世界に、そして時間そのものに耳を傾けることを、わたしたちに思い出させてくれます。わたしたちの毎日が静かな驚きに満たされますように。心をこめて」(シモーナ・チェッカレッリ)

※ビデオメッセージで出演

8位『ぼくのいえ』鈴木のりたけ作・絵 PHP研究所

水をかけると崩れる“砂の家”や、引越しするときに転がせる“丸い家”など、へんな家があってもいいんじゃない? 「ぼくの」シリーズ第6弾では、家がテーマ。外観はもちろん、実際に生活した様子が緻密に描かれるなど、遊び心満載。「こんな家に住んでみたい」と子どもたちが想像をふくらませるきっかけに。奇想天外な物語や絵さがしも楽しめる!

「このシリーズは、僕が初期に作った絵本のひとつ。「ぼくの」シリーズはフォーマットが決まっていて、本作は“みんな同じような家だから違う家に住みたいな”という発想から妄想が広がっていくストーリー。そのフォーマットに当てはめるとどんなテーマも面白くなるので、自分にとってのアイデア増幅装置になっています。あの頃に思いついた企画がこんなに長く続き、書店員さんに選んでいただいたことに感慨深い気持ちでいっぱいです」(鈴木のりたけ)

9位『すいかのたね』(押本達希/作 ブロンズ新社

スイカがドドンと描かれた表紙はインパクト抜群。美味しそうなスイカをパッカーンと割ってみると、たねがひとつぶ飛び出して!? アリやら、オタマジャクシやら、はたまた音符の中やら…今度はどこに隠れてる? ページをめくるたびにププッと笑いながら、絵の美しさに感服。“無名の自称作家”を名乗る押本達希氏によるデビュー作。

「(新人賞とのW受賞となり)お知らせをいただいたときは嬉しかったのですが、スピーチが2回ありますと言われて憂鬱でした(笑)。まさかの受賞ですけれども、本の発売が夏で、投票期間が秋からだったので、書店員さんたちの記憶に新鮮に残っていたことがラッキーだったと受け止めております」(押本達希)

10位『パンどろぼうとスイーツおうじ』柴田ケイコ KADOKAWA

少し間抜けだけど、いつも全力なキャラクターで大人にも子どもにも愛されるパンどろぼう。シリーズ第7弾の舞台は“スイーツおうこく”。食わずぎらいが多いスイーツおうじは、ご飯も食べずにスイーツばかり。心配した王妃さまが、評判のパンどろぼうをお城に招きますが——。パンどろぼうの中身がバレそうになる危機も!? 迷路や絵さがしでも遊べる一冊。

「まさか、また賞をいただけるとは思わず、感激しております。絵さがしや迷路を描いたことがなかったので、プレッシャーだったのですが、また新たな挑戦ができたことが楽しくて、それが読者にも伝わればと思いながら仕上げました。これからも、このシリーズをいろんな人に手に取ってもらえるよう、自分自身も楽しみながら制作に向かいたいと思います」(柴田ケイコ)

ファーストブック賞『おにぎり ぱく!』はらぺこめがね/作 白泉社

おにぎりを「ぱく!」とかじってページをめくると、しゃけ、ツナマヨ、たらこ…と美味しそうなおにぎりがたくさん登場。最後の巨大おにぎりには、びっくり仰天の具が入っていて!? いろんな中身が飛び出すおにぎりに、子どもたちは大喜び。読み聞かせをスタートさせたばかりの子が、繰り返す読むことで言葉を覚え、言葉を発する練習にもなると話題。

「この絵本はおにぎりと一緒にロマンが詰まっておりますので、これからもたくさん読んで笑って、いっぱいおにぎりを召し上がってください。おにぎり好きな子も、嫌いな子も、楽しめる絵本になっております」(はらぺこめがね)

※ビデオメッセージで出演

新人賞1位『すいかのたね』押本達希/作 ブロンズ新社

「新人賞ありがとうございます。大学1年生の2015年に絵本を作り始め、ちょうど10年目という節目の年に出版と受賞が重なり、とても救われました。絵本はもう出尽くしている感があり、新しいものを作るのは非常に難しいのですが、“すき間”を狙ってこれからも作っていけたらと思います」(押本達希)

※絵本屋さん大賞9位とのW受賞

「MOE絵本屋さん大賞」の常連ともいえる作家陣に加え、デビュー作で入賞および新人賞第1位の押本達希氏ら、新鮮な顔ぶれもそろった贈賞式。昔から受け継がれる行事食を絵本に仕立てた一冊や、50年にわたって愛され続ける海外文学の絵本版など、古き良きものを見直し、新たな価値を見出す動きもあった。書店員たちによる確かな視点が、絵本を読む子どもたちの豊かな未来につながることを願わずにはいられない。

撮影=川口宗道 取材・文=吉田あき

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